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ポニーキャニオンがIMCJ参加で、世界標準のドメスティックレーベルに


 嬉しいニュースでした。日本の老舗のレコード会社で、フジサンケイグループのポニーキャニオンがIMCJに加盟とのことです。何が、素晴らしいのか一般の方には分かりづらいと思うので、解説したいと思います。

 まず言葉遣いの確認になるのですが、世界においては、メジャーレーベルは、ユニバーサル、ソニー、ワーナーの3社です。以前はBMGとEMIと5社ありましたが、BMGはソニーと、EMIはユニバーサルと合併しました。それ以外のレーベルは、全てインディーズと呼ばれます。ところが日本は、レコード協会正会員のレコード会社(現在は18社ですね)をメジャーと呼ぶことが多いです。「メジャーデビュー」もいまだにメディアで使われますね。強いて言うならドメスティック・メジャーということなのでしょう。
 これまでの日本のレコード会社は、国内市場だけを見てビジネスしてきています。CD時代はそれでみんなハッピーだったのですが、デジタルに主戦場が移ったことで様相は大きく変わっています。音楽ビジネスは「デジタルとグローバル」の時代になったことは何度も指摘させてもらっていますが、日本のレーベルはそのノウハウも、デジタル市場で稼ごうという意図も持たないままの状態がいまだに続いています。

 世界のインディーズレーベルは、デジタル化を好機と捉えています。Worldwide Independent Network(WIN)という組織を通じて、デジタル市場の情報を共有、連携しています。グローバル企業であるデジタル配信事業者と条件交渉するための団体Merlin Networkを設立し、低い手数料で、メジャーレーベルに遜色ない好条件をインディーレーベルに提供しています。
 日本には、このWINやMerlinと向き合う窓口となる団体が無いことが大きな課題でした。動きを見せない日本レコード協会に代わって、IMCJがその役割を担っています。日本には「事務所」という独特の業態があり、影響力が強いこともあって、インディレーベルの団体が相対的にパワーが弱かったのです。近年、関係者の皆さんの努力でここが変化しつつあります。
 L'Arc~en~Cielのマネージメントで有名な、日本音楽制作者連盟の理事長を長く務めた大石さんが、IMCJの共同代表になられたのは驚きました。グローバル化とデジタル市場対応が遅れている日本の音楽業界を活性化しようという思いなのだろうと推測しています。
 ポニーキャニオン吉村社長のコメントも素晴らしいです。

音楽業界がストリーミングビジネスに移行した事で、マーケットが国内中心からグローバル市場へと拡大しました。
 アニメ「進撃の巨人 The Final season Part2」のオープニング曲としてリリースしたSiMの「The Rumbling」は、ストリーミング総再生数 1億4,500万回以上で、海外シェア88%。エンディング曲のヒグチアイ「悪魔の子」は海外シェア64%というように、海外比率の高い作品が増加傾向にあります。変化の激しいデジタル環境の中で、特にグローバル志向の高まる独立系レコード会社にとってはデジタルマーケットの最新動向や戦略ノウハウ等を貪欲に吸収する必要があり、この度IMCJへの加入を決定いたしました。
 ポニーキャニオンでは、2015年、業界に先駆けてIMCJの関連機関でもあるデジタルライツエージェンシーMerlin Networkに加盟し、ストリーミングによるグローバル展開を強化して参りました。今回新たにIMCJに加盟することで、当社は国際的な独立系セクターの一員として、そのネットワークを活用した更なるグローバル戦略を加速するものであります。

 これが、国際標準のドメスティック・レーベルの動きです。昨年、長年勤めたビクターから移籍してデジタル部門の責任者になった今井一成さんの活躍も期待されます。IMCJ/Merlin経由の情報も活かして、デジタル分野で業績を伸ばしてもらって(デジタルとグローバルを普通にやれば、必ず伸びますから)各社に波及効果が生まれることを期待します。
 今井さんGood Jobです!!


モチベーションあがります(^_-)