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職業作曲家の心得[9:推薦図書(後編)]

 前編で書き忘れましたww  作曲家を目指す人向けに僕が書いた三部作があります。電子書籍を中心に、既にロングセラーになり始めています。古くなった部分は、このnoteを使って補足していこうと思いますが、本質的な部分は今でも有効です。是非、読んでみてください。

 DAW(Digital Audio Workstation)は非常にパーソナルな制作ツールです。だからこそ、他人のやり方を知ることは重要です。

 コーライティングが日本でも一般的になってきました。自由にやるのは良いことなのですが、せっかく、国際標準な創作手法で、外国人と一緒にやることで、海外市場への参加も可能になります。そのためには、コーライティングの考え方や基本ルールをしっかり押さえて欲しいです。この本を読めば基本知識はOKです。

 さて、前編からの続きです。国際的に活躍をしているDJで、プロデューサーとして、そして優秀なビジネスパーソンである沖野修也くんの名著です。DJがクラブで曲を掛ける時に何を考えているのかについてまとめた本です。具体的なHow toなのですが、その時に考えていることがあまりに音楽の本質を突いているので、僕は「人は何故踊るのか?」を哲学的に考えてしまいました。ダンスミュージック全盛の時代に、踊らせるということを考えるのは作曲家にとっても重要でしょう。流石に出版から15年経って、具体的な曲名やアーティスト名は昔のものになっています。最高の名著だと思うので、コンセプトはこのままで、最新の音楽で補足版を書いてほしいなと思っています。

 本稿の「職業作曲家の心得:日常編」で楽しみながら、でも自覚的に音楽を聴くようにしようという話をしました。山口ゼミの上級コース「extended講座」の第一回では、「音楽の聴き方の具体についてもアドバイスしています。(このマガジンでも次に紹介する予定です。)自分の音楽的体験を深めるための聴き方について、何から聴くか迷う人は、WATUSIさんが1人で全部レビューを書いている(正気の沙汰とは思えませんねww)600枚のアルバムを聴くことを勧めています。
 「ダンス・クラシックス」というのは、ダンスミュージックの古典、要するにブラックミュージックの名盤集ということですね。僕らが普段何気なく「音楽」と呼んでいる、ポップソングの9割は、アフリカから奴隷としてアメリカ大陸につれてこられた黒人の子孫と、欧州からアメリカに移民した白人の子孫の2つの文化音楽が融合して創られたものです。J-POPの元になっている歌謡曲もその影響下にありますから、職業作曲家にとって、ブラックミュージックはバイブル(聖書)に当たる訳です。楽しんで聴くことが一番なので、お勉強みたいに捉えないでほしいですが、色んな音楽を聴いていこうという意欲があって、方法を迷ったら、この600枚は間違いないです。確認はしてないのですが、SpotifyやAppleMusicでほとんどが聴けるはずです。音楽を探すことに関しては、SoundCloudやYouTubeも含めて、夢のように便利で安価な時代です。活用しましょう。

 作詞家の方が書いた、ハウトゥー本は、いろいろあるようですが、「作詞力」は、そういう類の本ではありません。エッセイ集です。放談暴言にあふれていて、発売前にゲラを読ませてもらった僕の感想は、「思い切ったねー。この本が売れたら、売れっ子エッセイストになるね。」でした。僕にとっては幸いなことにこのエッセイはベストセラーにはならずに、伊藤涼は音楽プロデューサーとして活動し、山口ゼミの副塾長も続けてくれています。でも、とても面白い本です。

 前掲の「コーライティングの教科書」も、伊藤涼と僕の共作(コーライティング)ですが、実はこんな本も出しています。ラブソングのヒット曲の歌詞から名フレーズを拾って、そこから広げているという内容で、編集者にそそのかされて「ラブソングラボ」というユニット名が著者になっています。こちらもセールス的に成功した本ではないですが、作詞に興味のある人には有益な内容だと思います。

 実は、この本を出すきっかけになったのは、文藝春秋CREAwebでの3年半におよぶ連載があったからでした。毎回、これからリリースされる新曲を選んで、二人で対談形式で解析しながら、褒めるという内容です。伊藤涼の「妄想分析」が売りになる予定だったのですが、なれたかどうかは定かではありません。こんなこともやってたのね、とご笑読ください。

 そんなこんなで、7年目の山口ゼミは続いています。秋期生の申込みがまだ間に合います。




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