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新成人に贈る言葉「オトナはだいたい間違える」、自分の感覚を信じてインディペンデントに生きて欲しい!

 2021年の成人の日ですね。2000年生まれを中心としたまさにZ世代の新成人に贈るメッセージを書きたいと思います。

 これは、2018年に順天高校のGlobal Weekで呼ばれた時にしたお話を下敷きにしています。ちょうどあの時に高校生だった彼らも新成人になります。2000年生まれですよね。1999年が終わる時に歴史の中に自分がいるなと思った記憶があるのですが、時代はどんどん進んでいきますね。
 実は順天高校からの依頼は「音楽ビジネスについて話してください」というようなざっくりしたもので、気楽にお受けしたのですが、10日位前に資料を作り始めて、テーマを変えるべきだと思いました。僕の「得意技」で言うと、「音楽業界外の人に音楽ビジネスの構造を説明」したり、「海外の人に日本市場の特殊性を話し」たり、「旧世代の音楽ビジネスを知っている人にデジタル革命の変化の凄まじさ」をわかりやすく話したり、みたいなことです。過去の資料をチェックしながら、高校生向けに何を話そうと考えているうちに、それらの切り口は2000年生まれの人には意味がないことに気づいたのです。「音楽はスマホで聞くようになったんですよ」っ話は驚かないし。「クラウドだと〜」、「SNSが〜」、「UGMが〜」、っておそらく既に自然に使いこなしている世代です。今更何を語るのでしょう、僕がむしろ教えて欲しいです。その時に僕が彼ら彼女らに伝えるべきことって何だろう?ありました。

 「オトナはだいたい間違える」ってことです。言い換えると、デジタルに関しては、「君たちがだいたい正しい」ということ。そしてこれからの生活とかビジネスとか社会とかで、デジタル化が絡まない領域って非常に少ないので、大抵のシチュエーションで、オトナが過去の経験に基づいて行う判断は間違ってていて、自分の感覚が正しい(ことが圧倒的に多い)ということを伝えたいと思いました。
 日本は、長幼の序と言う「目上の人をたてる」という文化があります。伝統の中で生きている日本人なら、目上の人を立てるという文化は大切にしましょう。ただ、残念ながらその伝統のマイナスの側面で、日本では重要な意思決定を高齢の人たちが(しかも合議的に!)決める場合が多いです。デジタル化に伴う、変化は暴力的に激しいので、それでは適切に対応することができません。「失われた〜」と語られるように、この20年間(新成人が生まれて以来)、日本の国際的ポジションが下がりすぎている最大の原因はそこにあると僕は思います。
 日本の最大与党自民党の責任者(幹事長)が80歳であることが象徴的ですね。高齢=悪ではないです。若くても不勉強でコンサバなアホはいるし、高齢でも時代にアップデートした情報をお持ちの方もいらっしゃいます。あくまで傾向ということですが、年寄りを中心に、みんなで相談して最大公約数的な意思決定をして時代を先取りできる訳がないですよね。

 順天高校で話した際のポイントを並べておきます。

<今日のテーマ1:大人達はわかってないことを知る>
・情報のデジタル化、インターネットの発展、IoT、人工知能(AI)など、近年に起きている社会、産業の変化は、本質的かつ不可逆的な人類史上でも稀にみる大きなものである。
・ところが、(特に日本の)大人達は、気づいてなかったり、認めたくなかったりする。
・企業もメディアも(学校も)そんな大人達が制御しているので(特に年功序列型の日本においては)これまで起きてきた過去が未来も続くという前提の言説が広まっている
自分達の当たり前が、大人には驚異的変化だと知っておこう

 もう変化は始まっているので、これから10年の間に起きることは、一定の幅で予見が可能であること、Z世代ならば感覚的に捉えやすいのではないか? 
 未来は予測できないが、予見できるというのは、尊敬する田坂広志さんの『未来を予見する5つの法則』からの受け売りですww

<今日のテーマ2:未来は予測できないが、予見はできる
・半導体やコンピューター、センサリング、人工知能などの発展は、20年位先までは、どんな方向に世の中が進むことは予見できる時代になっている
・世界各国の人口構成や産業規模も20年位先までは、予見可能だ。自分の頭で考えて、きちんと未来を見通そう
・未来を予見して、行動を決めることが重要な時代になっている

 その上で、僕はエンターテックが専門領域なので、具体事例として解説しました。

<エンタメ産業視点で今起きている3つの変化>
クラウド化 ⇒「所有」から「利用」にユーザー行動が変化
モノのオンライン化(IoT)⇒ リアルとネットが繋がり、一体化
ソーシャルメディアの発展 ⇒ すべてのユーザー行動が可視化

この3つの変化によって、
あらゆる産業が、自らの役割や社会における意義を「再定義」し、
ビジネススキームやノウハウを「再構築」する必要に迫られている。

 その上で、旧世代の価値観を唾棄しないで理解してねという話もしました。変化に対してこんな風に捉えていて、だから判断を間違えることになるのだということを説明しています。親や教師の意見に自分の進路を委ねることは危険だということです。

<旧世代の価値観を理解し、受け入れる>
クラウド化 ⇒エンタメコンテンツはパッケージメディアで楽しみたい。そこに思い入れ、深み、記憶、愛情を感じる
モノのオンライン化(IoT)⇒なんでもネットでやることに抵抗感がある。物をネットで動かすことがピンとこない
ソーシャルメディアの発展 ⇒ オンラインだけの人間関係は偽物

できれば変化を忌避したい、一時の流行だと思いたい。少なくとも自分は関係なく生きていたい

 改めて見直して、本当にそうだなと思います。日本のレコード業界が沈没していった理由にそのまま当てはまりますね。
 社会に出て働き始めて、上司の判断がおかしいと思ったら、今日の僕の話を思い出して欲しいと伝えたことを何人が覚えていてくれるかわかりませんが、新成人にも改めて伝えたいです。「オトナはだいたい間違える」と。経験豊富な上司の意見を若輩者として拝聴することは、デジタルという要素が入ってくると、たいてい裏目に出るのです。
 もちろんネガティブなことを言いたいのではなく、本当に伝えたいのはポジティブなメッセージです。まず、客観的に、国際視点で日本人の現在地を知りましょう。

<今日のテーマ4-1:グローバル視点で日本人の危機とチャンスを知ろう〜国際的に見た日本社会の特徴は?>
・コンセンサス積み上げ型の社会⇒「みんなで話し合って、良き落とし所を見つけましょう」な仕組み
・性善説の考え方、仕組みが好き
・年功序列で目上の人を敬うという東洋的文化がある
・同質性が高く、島国であることと、言語の壁があることで国際競争から守られている(ように見える)
・社会的インフラが整備され、勤勉でマナーがよく清潔で安全な国。

 日本の国際的地位が下がることへのフラストレーションのためか「ネトウヨ」と呼ばれる、誤った言説を流布する人たちが増えているようですが、日本に良いところがあること自体は事実なので、冷静に受け入れましょう。

<今日のテーマ4-2:グローバル視点で日本人の危機とチャンスを知ろう〜確実に訪れる日本の危機は?チャンスは?>
<negative>
・少子高齢化社社会で、人口が減る、消費市場と労働人口は下落していく
・なのに、制度的にもマインド的にも、移民受入れの準備ができていない
日本の強みだった、従来型の製造業では勝ち目がない
・イノベーションのジレンマを知る(固定電話やATMの普及がキャッシュレスを遅らせる)
<positive>
・1500年以上の歴史と伝統が世界の(インテリ層から)尊敬されている
・観光立国を意識して、食やファッションも含めた文化を売り物にする
・消費者(ユーザー)の質が高いことを如何に活用するか(UGM、二次創作等)

 これらの僕の解釈が100%正しいとは限りませんけれど、Z世代が、日本の社会や産業の現状、良いところ悪いところを客観的に捉えて、旧来の価値観(わかってないオトナの意見)に囚われずに、やってくれることに日本の未来があると僕は思っています。前回無事に行われた東京五輪の年(1964年)生まれの素朴で、切実な思いです。

<今日のテーマ4-3:グローバル視点で日本人の危機とチャンスを知ろう〜Z世代に必要なマインドセット?>
・組織依存しない、インディペンデントに自分の価値を磨く
・就職と起業を同列で検討する。スタートアップ生態系が日本でも経済構造の(重要な)一部を占めるようになってきている
・海外市場の視点と、そこにおける日本人としての優位性を意識する
・英語はマストスキル。必ずしも英語ネイティブスピーカーになる必要はない。翻訳技術は臆さずに活用する
・インターネットとデジタル技術による「民主化」という概念を知る

 今の僕の立場で出逢える若者は、いわゆる、意識が高い人たちでしょうから、マジョリイティでは無いのかもしれませんが、みんな、インディペンデントな発想で、自分のスキルアップを意識していることを感じて、頼もしく思います。新卒一括採用を続けて、全員にリクルートスーツを着させる同調圧力を放置している日本の大企業はナンセンス過ぎますね。誰も信じていない終身雇用を前提にした人事制度は一から考え直さないとおかしいです。やりたいこと、目標にもよるから一概には言えないけれど、いわゆる「シューカツ」は若者側がしっかり拒否するのが大切とも思います。20代前半の貴重な時間とエネルギーがもったいない。その間に、サービス1つつくって試そうよ。

 僕がエンターテック✕スタートアップに全精力を注ぎ、自分自身も含めた未来に掛ける理由はこのエントリーを読んで頂くとわかっていただけるのではないでしょうか?自分で書きながら思いました。僕自身はStudio ENTREでの新事業開発に精一杯頑張ります。難しい時代に自分が迷わず全力を注ぐ価値がある場があることを感謝しています。

 また、ご依頼を頂いて、100年以上の歴史をもつクラシック系の音楽大学、大阪音楽大学にミュージックビジネス専攻というのを作りました。2022年4月開講です。エンタメビジネスをやりたい若者には薦めてください。僕が特任教授でカリキュラムも1からつくって、デジタル革命の凄まじさを理解した大人たちが、「チーム山口」で責任とってやります。次世代の活躍に心から期待しています。起業でも就職でも徹底的に応援します。是非、噂にしてもらえると嬉しいです!

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モチベーションあがります(^_-)