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ゲームウォッチに翻弄される。

ゲームウォッチ。

ファミコンが発売される前の数年間、当時から電子オモチャはあったであろうが、世間一般にその存在を知らしめ電子ゲームの地位を盤石にしたコンパクトかつ、子供達にボタン電池の普及と取り扱い方法を叩き込んだ魅惑のオモチャ。

今回はそんな正式名称"ゲーム&ウォッチ"とその後から続々と発売された他社の類似品の幾つかについて語りたいと思う。

(*本来、ゲームウォッチの名称は任天堂製のモノなのだが、今回は便宜上、似た形の他メーカーもゲームウォッチとして扱います。)

ゲームウォッチのゲーム性はごく単純。今の子供になぞ1分もあれば飽きられるかも知れない。
展開もごく単純で、一連の速度が段々速くなっていくのが定番。大体、難易度が2段階ほど設定されている。(ちょっとタイミングに緩急があったりと罠がある。)

一つ6000円程(任天堂製)していた記憶があるが、その後、他社から発売されたものはもう少し安価だった記憶がある。


1.パラシュート

弟が私の知らぬところで親に買ってもらっていた、我が家初のゲームウォッチ。
軍用ヘリ(?)から落ちてくるパラシュートを装備した人を海に落ちないようにボートで受け止めるというもの。海にはサメが待ち構えている。

段々と人が落ちてくる速度は速くなり、自分がどこにいるのかさえ分からなくなってくる。
「もぅ!何なんだよぉお!」と絶叫したくなる程にもうバンバン落下してくるのだ。

軍用ヘリの中で何が起こったのか知らぬが飛び降りるタイミングにも加減があるであろう。

最近観た、アニメ「進撃の巨人」で飛行艇から沢山の人々がパラシュートで強制的に落とされながら巨人化するシーンがあったが、このゲーム「パラシュート」を思い出した。

絶対、受け止めたくない。


2.ラッシュアワー

これは私が初めて買ってもらったゲームウォッチだ。私が弟のパラシュートを羨ましくて羨ましくてしょうがなかった。貸しては貰っていたが、やっぱり"マイゲームウォッチ☆"が欲しかったのだ。

私が駄々をこねまくったのかどうだったか忘れたが、取り敢えず買ってもらえることになった。
連れて行かれたデパートのオモチャ売り場。
ショーケースに並ぶ、煌めく沢山のゲームウォッチとその類似品。

色々眺めて選んだのはバンダイの「ラッシュアワー」。
その名の通り、通勤時間にやってきた電車に溢れる人をとにかく押し込んでゆくという殺伐としたゲーム。
溢れかえる人が反対のホームまで落ちてしまうとアウト。
またホーム端っこに時々困っているおばあちゃんが出現するので、助けてあげなくてはならない。
(おばあちゃんがコケてアウトになる。)

80年代のイケイケの日本社会とモーレツ社員を描写したゲームである。因みに舞台は東京。(画面にTOKYOの文字がある。)
昔は満員電車に人を押し込みすぎてガラスが割れることもあったそうなのでその壮絶さは計り知れない。
大都会東京での、駅員さんの日々の苦労と企業戦士の苛烈な日々を感じる事が出来る。

働くって大変。

そんな社会の風刺と会社に滅私奉公をする日本人の真面目さを皮肉ったのだろうかバンダイさん。
あんなコミカルなキャラクターにそんな悲哀とメッセージが込められているのかもしない。

しかし残念な事に、当時の私はそんなメッセージがあったとしても届かず、何も考えずに内山田洋とクールファイブの「東京砂漠」を鼻歌混じりにプレイしていた。何にも考えてない子供だから。
東京だから東京砂漠。昔からイメージ貧困。

↓東京砂漠という言葉を覚えたCM

ただ、「トーキョー人はきっとこのラッシュアワーを経験して一人前と認められるんやろなー。」と満員電車をどこぞの部族の儀式のように思っていた。結構本気で。

そんなことあるかいな。

因みに弟はついでなのか更に新しいゲームウォッチを買ってもらっていた。ズルくない?


3.モンスターパニック

沢山のタイトル(母数)が出てくると、変化を加えたものが出てくるのは自然の理。
それがモンスターパニックだ。
他にも姉妹品があと2種類ほどあった。

ついでに言うと、上記2.で語ったラッシュアワーの時に、しれっと弟が買ってもらっていたゲームである。

今まで受ける、避けるのワンパターンな動作を繰り返すゲームウォッチだったのだが、このモンスターパニックは違う。

画面狭しと5匹のモンスターが配されており、それぞれのモンスターに対し、ジャンプで避けたり、途中で剣を拾い攻撃するという、一つのゲームに多様なアクションがあるのだ。
画期的。
言うなればゲームウォッチ戦国時代第二世代である。

ラッシュアワーをするワタシの横でモンスターパニックに夢中になる弟。もう、ずっとやっていた。

ラッシュアワーとて、中々の名作ではあると思うのだが、今までにないスタイルの新機種が気になる。いつだって隣の芝生は青いのだ。

しかし、楽しいのはいいのだが、電子ゲームは、プレイすればするほどボタン電池の消費はどうしても激しくなる。
裏面にボタン電池の入れ替え口があるのだが、よくある蓋をスライドさせ開けるタイプ。
ボタン電池の入れ替えは激しく、そのうちこの蓋がバカになった。

キッチリはまらない蓋。

蓋が少しでも浮くたびに画面が消え、テープで貼ったり空いた指で蓋を抑えながらプレイしたり(めちゃくちゃ操作し辛い。)涙ぐましい努力をよそに蓋の爪が完全にイカれてしまいあえなく逝去。
もうパッカパッカになっていた。
それを横目にラッシュアワーに興じるワタクシ。

弟は途方に暮れていた。

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4.ドンキーコング

知ってる方も多いと思う。マルチスクリーン方式。折り畳み式で上下にスクリーンがあるのだ。
言うなればゲームウォッチ戦国時代第三世代である。
またもや私の知らぬ間に弟は親に買って貰っていたようだ。
どうも大人になってから知った事だが、弟は子供の頃、割と勉強だの何だのができていたのでご褒美に買って貰っていた模様。
親も親でどっちにしろ二人で共有するだろうと思っていた様だ。

開閉を繰り返しているうちに蝶番部分が破損し、首の座らない赤子の様になり、これまた大変操作しにくい状態になってしまった。

モンスターパニックのこともあり、机の端に上のスクリーンを置き懸命にドンキーコングをするその健気な姿に親が同情したのか、2台目のドンキーコングを買ってもらっていた。2台目もやっぱり蝶番がやられた。

このゲームについては蝶番の脆弱さと、ひたすら弟がうらやまケシカランという事を言いたいだけです。ガッデム。

5.ハーピット

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女の子はよく知っているんじゃなかろうか。
ハート型をしていて生年月日や占いたい日付けを入力するとアラ☆不思議。
その日のチャンス運、ラブ運、マネー運、ヘルス運、デート運などが2099年まで占える。
1974年生まれのワタシは自分の死後まで占える。
ついでに気になるあの子との相性だって占えちゃえる代物。ゲーム機能もついている。

ワタシは紫のハーピットが良かったのだが、買った時はアニメ(漫画)愛してナイトver.しか売っていなかった。(その後も色んな種類が出ていた模様)

「まぁ、いいや。やっこちゃん(愛してナイトの主人公)のイラスト可愛いし。」と誕生日だかクリスマスに買って貰った。

"アラッ!占いなんて女の子らしい。"なんて思って下さった方。すまない。

実はワタシはどうやってこの運勢を算出しているのか気になって仕方なかったのだ。
それこそ何かパターンがあるんじゃないかと電子の力を舐めてかかっていたのだ。ドン・キホーテ真っ青の無謀っぷりである。

恋に恋する可愛い女児ではなく、ただのひねくれた女児である。

通知表の算数は"ふつう""がんばりましょう"しか取ったことない小学生のワタシには案の定、皆目見当つかず(当たり前)あれこれしてるうちに諦め、ハーピット本来の使い方をしてそれなりに遊んでいた。

しかしながら、元々が占いや相性占いにさほど興味があるわけでもなかったので、ハーピットを持て余したワタシは頼まれてもいないのに友達のその日のラブ運とかデート運を調べ、毎朝友人達に告知するという愛の伝道師と化していた。

ハーピット占い師「森☆フォーチューン☆テッちゃん」の占いは割と好評だった。(森は旧姓)

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6.おわりに。

任天堂製ゲームウォッチ第一弾が出たのが1980年。そのたった3年後の1983年にファミコンが発売されている。ファミコンの発売後、ゲームウォッチは時代の影に隠れ、その数年後ゲームウォッチ(任天堂製)の発売は終了したらしい。

ゲームウォッチはごくごく単純な電子ゲームだが、間違いなく世の中の子供は熱狂し、それに応えるべく色んなゲームウォッチが発売された。

任天堂はこのゲーム&ウォッチの売上でファミコンを開発したと聞く。
そのままその利益をゲームウォッチに引っ張られず、新しい事業に投資した任天堂。

あの頃、閃光のように駆け抜けた数年に幾ばくかお金を落とした者として、これからのゲーム業界に更なる期待と発展を願う。

あと、弟の贔屓具合だがこのままファミコン時代に突入後も、変わらず私の知らぬ間に時々カセットを買って貰っていた。
まぁ。ワタシも遊んでたけどさ。

親にしたら弟にご褒美と称し、弟の機嫌を取り、姉弟で遊べ、仕事で留守がちな自分達に代わって家でお守りをしてくれるゲームは都合が良かったのかも知れない。

親からすれば"計画通り"である。

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