見出し画像

【読書メモ】 実践!ストレスマネージメント 1章 レジリエンス 〜ストレスをはね返す力〜

書籍を読んで理解をまとめていきます。書籍の内容を引用しているわけではないので、一部齟齬があるかもしれませんが、それを踏まえて読んでいただけると助かります。

要約

1−1 レジリエンスとは

レジリエンスとは、「ストレスを跳ね返す力」「精神的な回復力」「障壁を乗り越えるために必要な力」を意味している。不利な状況でも、精神的な安定を保ち適切な対応する能力とも言える。

具体的な要素としては、研究をまとめると以下のようなものが役立つとされている。

自分に関係するものでは、以下。

・「ユーモア感覚」のある人
・恐怖に対面したときに拒否したり逃げたりせずに対処できる
・楽天的な考え方
・社会的な能力
・他人に助けを求める能力
・生きがい
・高いモラル
・スピリチュアリティ
・トラウマに意味を見出す能力
・自分は価値ある存在と思える感覚(自尊感情)
・良好な母子関係のような愛情のきずな(安定した愛着)
・問題解決能力、現実的な計画を立て進める能力
・欲求、感情を制御する力

環境に関係するのは以下。

・安全であること
・理解、肯定的な評価をしてくれる人がいる

関係があるとされているのは以下。
・睡眠の質が高い
・運動習慣がある

様々な研究を総合すると、楽観性、積極性、感情の安定性の3つが重要。

精神的回復力尺度という精神回復力をはかるためのチェックリストがこちら。

1−2 誤解していませんか?楽観主義

精神科医とメンタルヘルス担当の産業医の経験から、研究結果を見て大変重要だと感じる言葉である「楽観主義」と「ポジティブシンキング」。昔の私もそうだったか楽観的に考えれば気持ちは楽になるが、うまくいくとは限らないと感じる人も多いのではないだろうか。

実験として、ダイエットにおいて「自信がある」「自信がない」と答えたうち前者の方が12キロも少なく、「容易で成功できる」「容易ではない」と2つの回答のうち後者のほうが11キロも少なかった。ここからわかるのは、「自信がある」と「容易に成功できる」ということは別物である。成功した人は、「自信がある」と「容易ではない」と答えた人である。だから、自分が成功するが簡単ではないからそれにふさわしい努力をする人とされている。なので、本当の楽観主義者は、「難しいことだが、いろいろと戦略を立てれば成功させることができると信じている人」である。だから、「成功が訪れる」と思っている人は非現実的な偽物の楽観主義者である。
だから、本当の楽観主義者とは「困難さを理解している」「自分で引き起こす必要があると考えている」「努力や計画、粘り強さ、正しい戦略を通じて取り組むことを理解している人」「その上で成功を信じている人」である。

1−3 プラス思考、ポジティブシンキングとは

嫌な体験は「忘れろ」と言われることが多いが、人間に忘れたいと思うことを忘れる能力はなく、逆に頭に浮かんでくる。だから、嫌な体験は忘れるのではなく、嫌な思いを蘇らせなくするのがよい。そのために意味のある体験にすると良い。

意味のある体験とは、「あんな事があったからこそ、今こうなれた」と思えば、嫌な体験でなくなるはず。そうなると思い出しても苦痛ではなくなる。だから,意味のある体験に転換していかなければならない。「〜のせいで」「〜のおかげで」に転換する。病気で1年休職したら「人生が狂ってしまった」という人も「休職したおかげでこうなれた」と思う人もいるこれが重要ではないか。

産業医をしているときに給食した人に、せっかく何ヶ月も休むという辛い体験をしたのに、前と同じ状態になったというのはもったいない。今後は同じ状態になっても同じようにならない方法を考えてもらう。
そのためには休職期間の活かし方を考えて、そのために過ごし方を実行することが必要条件になる。だから、生じてしまった好ましくない出来事を、将来活かすための方法を考えて実行することがポイントである。

失敗は成功の母と言われるが、失敗は成功の母なのか?失敗は勝手に成功にはつながらない。そうするためには、失敗を将来の成功に結びつけようとする行動が不可欠なのだ。それこそがポジティブシンキングなのではないか。自分の過去を振り返ると日常的な失敗はたくさんあるだろうから、嫌な気持ちを引ずっている失敗体験を思い出して、将来意味のある行動につなげるときにどうすればいいか考えて成功につなげてください。

1−4 短いパットこそ外さない、本当の心の強さとは

レジリエンスで重要なのは「真の心の強さ」であるので、それをしっかり理解しておくこと。5つの要素を紹介する。1.不安を受け入れられる心の強さ、2.自分を客観視できること、3.本当の自信、4.相談できる力、5.適切な行動をとれること

1.不安を受け入れられる心の強さとは、1つ目は、緊張しても、不安でも、適切な行動が取れること。緊張しても本来の行動ができるようになること。そのために緊張したときも本来の行動が取れるように練習しておくことが必要。
2つ目は、新しいことをするとき不安でも前向きに取り組むことができること。初めてすることに最初から自信があるということはありえない。人は本来好奇心が強いので新しいことが好きだが、失敗を極度に恐れてしまっている人が不安が強くなっている。
3つ目は、失敗する自分を受け入れて、失敗を生かしていくこと。不安が強い方は、失敗やわからないことがあるのがダメなことだと思っている。だれでも100点満点はありえない。だから、人はだれでもできることと、できないことがあるので、自分を客観的に見てありのままを受け入れましょう。そこから成長を目指していく。

2.自分を客観視できることとは、自分がどのような失敗をしやすいか知っていたら防ぎやすいので、自分を知ることが重要である。そして、自分を客観視できれば、現実が認識され必要な対策がとれのである。
例えば、カレーを食べるときにこぼしてしまう人が、紙エプロンをつけることで「自分はいつもカレーをこぼす」と気づいて注意することができてこぼさなくなったのである。
転ばぬ先の杖とは、自分が転ぶかも知れないと認識していることが重要。杖を持つことは、転ぶかも知れない自分を認識して行動を変化させるので、杖を使わなくてすんだりする。

3.本当の自信の1つ目は、少しずつできるようになっていくと思えること、できるだけの努力をしていると思えることで育まれていく。自分に自信がないと、わからないときほどわからないと言えないように思う。だから、最初から完全にできなくても、やっていくうちにできるようになっていくだろうと思えること、そして、自分はできるだけの努力をししていると思えることが自信につながるのではないだろうか。
2つ目は、自分はできるだろうという感覚(自己効力感)。自分は少しずつでもできるようになっていくという感覚が一番の要因である。わからなかったことがわかるようになったという体験がそういった感覚につながる。

4.相談できる力があることでどんな事があるのか。相談することは、より良い方法を見つけるための前向きな行動である。相談することは、他の人にお願いしてしまうギブアップ宣言ではなく、よりよい方法を見つけるための積極的な行動である。どうにもならなくなってやるのが相談ではなく、課題をクリアするためのより良い方法を検討するためのものである。
さらに、相談することにはメリットがいくつかある。人に説明することで解決のヒントが見えてくることも少なくない。そして、相談して相手にわかってもらうと一体感を感じて安心するので、疲れを癒やしてくれる。

5.適切な行動とはなにか?それは、理にかなった合理的な行動である。肥満解消のためにダイエットをするのに絶食して痩せても健康を害していたら意味がない。だから、理にかなった行動とは目的を果たすために最も適切と思える行動であるそして、目的事態が理にかなっていて、目的を見失ってはいけない。
適切な行動を取るためには、良い計画を建てることが求められる。良い計画に絶対必要な条件は「時間」である。料理を作るときでも15分、1時間、3時間ではベストな行動が変わってくるので、時間配分を考えて遂行する計画建てる必要がある。

1−5 積極的な生き方

物事にはプラス面とマイナス面がある。AさんとBさんにシフト制に変えてもらったところ、Aさんは早出だと夕方に子供との時間が取れて、遅出だと朝ゆっくりできると感じた。そして、Bさんは早出は朝が忙しくて、Bさんは遅出だと夕飯の準備が大変と感じた。同じことが起きても受け取り方の違いから、Aさんはストレスをあまり感じず、Bさんはストレスを強く感じる。Aさんのほうが時間を有意義にかるようして、人生が豊かになっているのではないか。物事には、プラス面とマイナス面があるので、プラス面を活かすことが大切である。これは、Aさんがポジティブシンキングをしようとして撮った行動ではなく、Aさんには自然にこういった考え方ができる人なのである。レジリエンスは、ストレスへの抵抗力と考えられるが、最初からストレスと感じなければいいのではないか。変えられないものを受け入れて、その状況でできうる最善のことをする、それが究極のレジリエンスではないか。る

これらを用いて、「メンタルヘルス不調になってしまった人」から、「メンタルヘルス不調をきっかけにストレスに適切に対処できるようになった人」になるのが重要である。

感想

レジリエンスというタイトルで本を探しているとあまり医師の書いたものに出会えなかったので、今回は医師の書いたレジリエンスを知ることができて有意義でした。
睡眠の質と運動については、一般的な健康にも必要になる項目であるし、セロトニンの分泌とも関わっているので、レジリエンスとして出てきているのに面白さを感じました。レジリエンスとセロトニンの関係を調べて欲しく感じます。セトロニン研究の有田先生は、レジリエンスについてあまり言及していないような。
色々列挙されていましたが、楽観性、積極性、感情の安定性といったところにまとめられているので理解しやすいと思います。
自分で無意識に「〜のせいで」を「あったからこそ」に変換していることに気づきました。すごくメリットがあるように書かれていましたが、実践を続けている人の感想としては、「〜あったからこそ」に変換するために多くの労力を使いすぎてしまう。たまたまあったネガティブなことに選択を引きずられ過ぎているのではないか?とも思っています。レジリエンス的には、優れた振る舞い方だが、目標を達成するという意味では非効率になる場面も多いと思います。
楽観主義の、うまくいくと思っていながらも、難しい課題だと認識していることが重要だというのは、なんとなく理解できました。なんの根拠もなく大丈夫!って思っていてもダメってことですね。結局、難しい課題と思いつつ自信があるなら、自分にはかなり自信がある、自己効力感の高い人が成功するとも読み取れて、ちょっとモヤりました。

非常によい本なので、読んでみたいと思った方はぜひ買ってみてください。私の要約よりも短く簡潔にまとめられた各章や節のまとめも本に記載されていますので、読みやすいです。

続きはこちらから。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?