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【読書メモ】 実践!ストレスマネージメント 2章 ストレスマネージメント 〜ストレスの解決と解消〜 後半

1章 レジリエンス 〜ストレスをはね返す力〜
2章 ストレスマネージメント 〜ストレスの解決と解消〜 前半

書籍を読んで理解をまとめていきます。書籍の内容を引用しているわけではないので、一部齟齬があるかもしれませんが、それを踏まえて読んでいただけると助かります。

要約

2−3 問題解決焦点型ストレスコーピングにつながるいくつかのポイント

私達がストレスと感じることの多くは人間関係によるものである。なので、人間関係がうまく行けばストレスの多くは解決していく。人間関係を良くするためにはコミュニケーションが重要になる。どうすれば、うまくコミュニケーションが取れるだろうか。一般的には「言いたいことが言えること」が大切だと言われている。
しかし、言いたいことを行ったために関係が悪くなることもある。言いたいことを我慢して関係を維持するのがいいのだろうか。しかし、言いたいことを言わないと自分の中に不満や恨み、怒りなどが湧いてきて相手にネガティブな気持ちが強くなってしまう。相手と対立したりネガティブな気持ちが湧いてきてしまったら、お互いがお互いを理解する相互理解を目指すことが重要。
相互理解とは、一方が諦めることではない。お互いがお互いを理解することが必要で、そこまで話し合う必要がある。相手の気持を「あなたの考えや気持ちも一理ある」と理解できるところまで話し合った上で落とし所を考えるのである。お互いがお互いを理解して、同じベクトル上で一緒に答えを出していく。日本人には苦手な人が多いので、話し合いの練習が必要であろう。

問題か解決をはかるためには、「感情」「思考」「行動」の整理も必要になる。「〜したい」が感情で、「〜すべき」が思考で、「〜しよう」が意思で、その結果が行動である。頭の中では、感情と思考がせめぎ合って葛藤をしている。
決め方のパターンとしては、感情を優先して行動を決める場合と、思考で感情を抑え込んで行動を決める場合がある。しかし、論理的な思考で決めたと思っていることも感情で決められていることもある。そして、感情を抜きにして思考優先で行動した場合、感情の問題が生じて想定通り進まない場合もある。
「感情」「思考」「行動」の整理とは、「感情」を否定することではない。自分の中の気持ちを受け入れた上で、「感情」と「思考」を整理してから自分にとって合理的な行動を決定すると良い。
「感情」「思考」「行動」の整理とは、1)感情は感情としてあるがままに受け入れる。2)感情に左右されず合理的に考える。3)行動は合理的思考に基づいて行動する。
私達がストレスを感じているのは「感情」である。仕事を頼まれたときに、不安であったり、自分がしなくてはならない不満や怒りなど。だから、自分が悩んだり苦しんているときは、まず「感情」と「思考」を整理することで、自分にどんな気持ちがあるのかわかる。そして、不満、怒り、嫉妬など、どんな気持ちがあるのか一度検証してみて、その上で合理的な行動はなにか考えるのが良い。感情を抑え込んだり、我慢するわけではない。感情はあるものとして受け入れて、そのうえでやるべきことを合理的に考える。感情に関しては「問題焦点型ストレスコーピング」や、「認知修正型ストレスコーピング」を用いるのが良い。

複数人でなにかするときには、「協調性」が大切だと言われている。しかし、それぞれの思いが対立したときに強調することはできるのか。本当の協調性とは「相手を理解する」「違いを受け入れる」「お互いのために私利私欲を超えて譲る・助け合う」「満足感を感じる」の4つの要素があるものだと考える。
協調するとは、何らかの高い目標を目指して自分の意志で譲る・助け合うという主体的な行動。だから、我慢するのとは異なる。相手に迎合し何も言えない、不満を感じながら我慢して合わせるのは本当の協調ではない。我慢していると、もやもや感が強くなって、恨みやつらみにつながら心からの協力ができなくなってしまう。共通した目標を果たすために私欲を捨てることは我慢ではなく目的を果たすためのいい方法となり、満足感につながるはずである。
協調することが苦手な人に話を聞くと、他人を受け入れることが難しい人が多い。嫌いな人は受け入れられないという人。このタイプの人は、相手を「いい人」か「悪い人」かの2つで考えがちである。人は悪いところが目に付くものだが、悪いと思っている面が見方を変えると良い面になる場合もある。決断力があるという面が、切り捨てるという見方ができたり。だから、人は多角的に相対的に見る必要がある。この味方が本来の協調性の基盤にもなる。様々な人がいて、様々な考え方があるという見方ができれば協調につながっていきます。

日本人の多くは言いたいことがあっても抑えてしまうことが多い。それは相手を不快にするにすることを避けるためではないか。お互いがお互いを理解することができれば、前よりも関係が深まるはず。だから、感情をぶつけ合うのではなく、「なぜ、自分はそのように感じるのか」をお互いに話し合い、お互いの考え方を理解し合うことが大切。お互いの考え方や感じ方の違いを理解することは多様性の受容につながってきます。その人がなぜそう考えるのか理解し、納得し、その上で受け入れることが本当の多様性だと考える。

2−4 認知修正型ストレスコーピングにつながるいくつかのポイント

認知修正型ストレスコーピングのためには、現実の見方や受け取り方である「認知」がポイントになる。何か出来事が起きたときに、それをネガティブな受け取り方(認知)をすると、ネガティブな気分になり、ネガティブな行動になってしまう。1つの出来事には、さまざまな受け取り方(認知)があるが、一番イヤなストーリーを想像してしまうことがある。ここから気分も行動もネガティブになってしまう。
不安になりやすい人には、このような傾向が見られるので、受け取り方(認知)を修正し、そこから行動の修正をはかる。これを確立された治療法として、認知行動療法している。認知行動療法は、うつ病や精神疾患の治療や再発防止に効果があるだけではなくビジネス研修でも利用されている。
人にはそれぞれ思い込みをしやすいパターンがある。
・根拠もないのにネガティブな結論を引き出す
・いいことも起こっているのに、ささいなネガティブなことに注意が向く
・わずかな出来事から広範囲のことを結論づける
・失敗など悪いことは大きく、いいことは小さく考える
・自分に関係のない出来事まで自分を関連付けて自分を攻める
・白黒はっきりしないと気がすまない、非効率に完ぺきを求める
・予測して行動を制限して失敗し、さらに予測を信じ込む

受け取り方(認知)を修正するためには、自分の受け取り方(認知)の特徴を知ることが大切。

修正のポイントは、以下の4つ。主観的な思い込みから、客観的な味方になることで気分も変化していく。

・事実に基づいて考える
・視点を変えて考える
・受け取り方について可能性を客観的に考える
・最も適切な行動を考え実行する

同じ勉強をするにしても、上司から支持されてやる勉強はストレスになるが、旅行のために地域のことを学ぶのは楽しみになる。同じ行動をしているおにストレスになったりならなかったりする。結局、ストレスは「いやいややる」または「やらされること」である。だから、いやいやから、「自分からやる」になればストレスではなくなります。
産業医としての私の事例を紹介。自分の担当ではない仕事を任されストレスに困っていた人が、あるとき将来したい仕事につながっていることに気づきました。自分に意味のある仕事と捉えられ、その後はストレスは感じなくなりました。また、別の県では仕事で喜んでくれるお客さんがいることを知ってやりがいが生まれストレスがなくなったこともあります。
同じ仕事でも、自分なりの意義や、やりがいを感じられるとストレスは随分減少する。逆に納得がいかない、無理やりやらされていると非常に大きなストレスを感じる。

2−5 充電・活性型ストレスコーピングに関するポイント

充電・活性型ストレスコーピングは、ストレス解消と呼ばれているストレスコーピングである。しかし、意欲の活性化につながらなければストレスコーピングとは言えない。その基本として大切になるのが、休息、緊張緩和、再活性である。また、疲れの種類を考える必要がある。体の疲れなのか、精神的なものなのか、それによって適切なものが変わってくる。現代で重要である精神的な疲れでは、十分な睡眠が必須で、それに加えて意欲の回復につながる行動が大切である。自分の疲れをとり意欲を回復させるためには、どんな方法が最も効果があるか知り身につけることもストレス対処として重要です。
身体疲労でも精神疲労でも、まずは休息が必要である。特に重要なのは睡眠で、睡眠は休職としてもリラクゼーションとしても、意欲の回復のために欠くことのできないものである。また運動も非常に効果があることがわかっている。しかし、アルコールは使い方次第で、間違えば危険なものになってしまう。これから、それぞれについて説明する。

睡眠は単なる活動停止の時間ではなく、生理的に非常に重要な意味を持つ活動である。睡眠不足が続くことでメンタルヘルス不調が生じる。とくに睡眠時間が5時間を切った状態が続くと、誰でも健康を維持するのは困難である。残業時間が長くなるということは、それだけ睡眠時間が短縮することになり、重大な精神的・身体的な負荷になる。
メンタルヘルス不調の「症状」としても睡眠の問題は重要で、うつ病などのメンタルヘルスの症状として睡眠障害が表れ、眠れないとますますメンタルヘルスが悪化してしまう。そのため、メンタルヘルスの予防にも、早期発見にも、治療にも重要になる。

質の高い睡眠を取るためには、睡眠の生理学や睡眠衛生をよく理解することが効果的である。具体的には、38〜40度の温めのお湯にゆっくり浸かることで、副交感神経を優位にし、心身がリラックスして眠りにつきやすくなる。また、朝日を浴びて規則正しく生活することで、人間の体内時計の機能がよくなりな眠りやすくなる。
交代勤務の人は、夜の勤務の前には昼寝をしておくことで眠気を減らすこうかがある。また、目覚めたらカフェインを摂取するとよい。夜勤中も可能であれば仮眠を取ると眠気が減る。夜勤中の職場はできるだけ明るくしておき、夜勤後はサングラスで強い光を避けて帰宅し、遮光カーテンで部屋を暗くして温めの入浴をするのがよい。
睡眠のためにアルコールを利用するのはいけない。アルコールは眠気を促すように思われるが、睡眠を浅く短くし、睡眠の質を低下させる。そして、アルコールは、量を増やさないといけなくなる。だから、あるコーツは睡眠障害の原因になる。
ここまで色々説明したが、どうしてもうまく睡眠がトレナイ場合には、産業医や医療機関に相談してほしい。

運動は、メタボリックシンドローム、循環器疾患、糖尿病、がん、生活習慣病の発症や死亡リスクのリスクを下げることができる。そして、運動習慣を持つことは、これらの疾病等の予防効果も更に高める。そして、運動は、将来的な疾病予防だけではない、メンタルヘルス不調の一次予防として有効である。そして、ストレッチや、筋トレで腰痛や膝痛が改善する可能性が高まる、体型を維持することで自己効力感が高まるなど、多くのメリットがある。
そして、メンタルヘルス不調の予防においてもいくつかの研究で認められている。適度な運動は精神的な緊張を和らげ、精神的疲労の回復を促進する作用がある、そして、運動はレジリエンスの機能(ストレスへの抵抗力・回復力)を高める。

アルコールは、適度な飲酒であればストレス解消になることは知られている。しかし、過度な飲酒は様々な身体疾患につながり、アルコール依存症やうつ病などの精神障害の原因になる。そのため、アルコールには正確な知識を知っておくことが重要である。日本酒1合、ビール大瓶1本を飲酒するとそれを分解するのに3〜4時間必要になってしまう。多く飲むと、翌日は自分で酔っていないつもりでもお昼ごろまで血中にアルコールが残っていることになる。
アルコールを飲めるかどうかは、体の持っている酵素によってきまる。日本人の6〜7%が全く飲むことができない。多く飲める人もいるが、飲めるがゆえにアルコール性の障害になることもある。酵素の型は遺伝で決まっているもので、後天的に変化するものではない。
アルコールは、飲みすぎると様々な副作用がある。肝臓の障害に加え、脳梗塞、脳血管障害、ビタミンB1欠乏による栄養障害から認知症などにつながることもある。多量に飲みすぎると、脳の萎縮が起きるかもしれない。更に問題になるのは、アルコール依存症で自分の意志で行動をコントロールできなくなる。耐性がつき多く飲まないと酔わなくなり飲む量をふやしていくとすると、どんどん量が増えてアルコール依存になってしまう。また、欲しくてたまらないという精神的な依存だけではなく、アルコールをやめようとすると離脱症状という身体症状が出てくる。
離脱症状は、不眠、吐き気、集中力の低下、イライラなど。そして、離脱症状から逃れるために更に飲むという悪循環になってしまう。アルコール依存症になっても、自分で認められずに、ますます悪化して深刻な状況になる人も少なくない。もし、アルコールを控えることを努力してみて、控えることができなかったら、専門の医療機関の受診をすること。
厚生労働省が決める適度な飲酒量は、アルコール20gであり、ビール500ml、日本酒1合、焼酎0.6合、ウイスキータブル1杯、ワイングラス一杯半、缶チューハイ500mlである。
アルコールは薬ではない。寝酒として、睡眠薬代わりに飲んでいると、睡眠が浅くなり、夜中に目を覚ましたり、朝早く目を覚ましたりしてしまう。アルコールは、睡眠を浅くし短くするなど、睡眠の質を下げることが分かっている。不眠症で困ってるなら、アルコールは使わずに、睡眠衛生を心がけ、それでもダメなら医師に相談すること。

感想

それぞれのコーピングに役立つ知識といいながらも、一部の内容が自己啓発のような内容とも受け取れて少し活用場面を戸惑ってしまった。相手との考えの違いが、どんな背景で起きているのかに関しては、深堀りされると不快になる人もいるように思うので、慎重に行いたい。
感情、思考、行動を分けて考えるのは、有効であるように感じた。感情と思考を分けて考えるのは有効そうなので、実施してみたい。自分がどんな感情をもっているのか、どんな思考をもっているのか。

やはり、運動は多くの疾患の予防や死亡リスクを低下させてくれるとのこと。運動についても必要量が知りたかったが、有酸素運動を続けたい。
アルコールは、ウイスキーダブルで分解に3〜4時間かかる知って、次の日の昼間でかかるくらいにはいつもオーバーしていたので、少し量を控えたい。血中にアルコールがある状態の時間を知れたので、アルコール検査に引っかかる時間も知りたかった。寝酒がダメってのは、どの医師もいっている共通見解。

非常によい本なので、読んでみたいと思った方はぜひ買ってみてください。私の要約よりも短く簡潔にまとめられた各章や節のまとめも本に記載されていますので、読みやすいです。


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