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➀魔法を現代に翻訳すると医療のパルプンテになるかもの話【全体概要:分類】

ヤク学長です. 魔法の歴史を紐解くと奇妙奇天烈なものが出てくるかもの話.

【目次】
▽言葉の定義
▽呪術研究者
 ➀ジェームズ・フレイザー
 ➁マリノフフスキー
 ➂エヴァンズ=プリチャード
 ➃クロード・レヴィ=ストロース
▽摩訶不思議な呪術

いきなりタイトルの通り「魔術」などの単語を持ち出すと、胡散臭さとか違和感が感じられる. しかし、実は魔法を紐解くと現代の医療への礎に繋がることに気が付く.

今でも「魔法」関連の聞いたことのある単語を列挙すると「魔術」や「魔法」, 「奇術」 , 「呪術」などがあがる. 私生活のなかではこのような単語は滅多に使うことはないと思う. おそらく, アニメや漫画などの場面で聞いたぐらいではなかろうか. 

なぜ, 今更こんなものを引っ張り出すのか?ということである. これからテクノロジーが急速に発展した未来の計算機がもたらす高度な事象は, まさに奇妙奇天烈でパルプンテ的なものになるのではないか.
我々は必死に科学を発明し因果関係を紐解いてきたが, この因果の中間処理が全てブラックボックスに包まれた世界に近づいていく. そのため, 原因と結果のみで起こる神秘的な文脈に触れることが重要だからだ.

先ずは, 言葉の分類からまとめてみた

言葉の定義

魔法:魔力で怪しく不思議なことを行なう術
魔術:超自然的存在や神秘的力能の助けを借りて不思議なことを行う法
呪術:超自然的な存在に訴えることによって、病気治療、降雨、豊作、豊漁  
   などの望ましいことの実現を目ざした行為
  ・フレイザー:類感呪術 感染呪術
  ・マリノフフスキー : 黒呪術 (black magic) / 白呪術 (white magic) 
  ・エヴァンズ・プリチャード:邪術 / 妖術
奇術:人工的手段で日常性を超越した不思議の世界をつくりだして、見る人
   を楽しませることを目的とした能、または遊び。
占術 / 占星術 ,  錬金術(キミア) ,  自然魔術と降霊術
近代魔術

コトバンク https://kotobank.jp/

もちろん, これらの派生は西洋からの輸入だ. 「magic」と呼ばれていたものだが, 近代日本において訳語を創出するタイミングで翻訳された. ただ, 従来の日本語の語彙で対応していたため「魔法」, 「妖術」などの言葉が当てられた. 西洋では魔法と呪術が区別されたいるようだが、日本ではひとえに魔法という言葉に内包されている. 分類しただけでも様々な「術」を使った単語があるが,  これらの脈々つ紡がれた言葉には現代の医療の文脈に何らかしらの影響を与えている. これからそれぞれ深堀することにする. まずは, 呪術廻戦でお馴染みの呪術からスタート

以下で重要なことはどんな人が何をしたのではなく、全体感である

呪術研究者

➀ジェームズ・フレイザー

19世紀 :イギリスの人類学者:ジェームズ・フレイザー『金枝篇』
金枝とはヤドリギのこと. この書を書いた発端が, イタリアのネーミ(自治体)における宿り木信仰の「祭司殺し」の謎に発していることから採択された言葉だ. 特に重要なことは, 「呪術」と「宗教」を切り分けたことにある. 呪術は行為と結果の因果関係が存在し. この呪術の一連の所作を「科学の前段階」として捉えたことが素晴らしい. 呪術から宗教が進歩したのではないかと主張した. 因果律を持ち出してきた点は流石としか言えない. また, フレイザーは呪術を2つに大別している. 

 Ⅰ. 類感呪術
 類似の原理に基づく呪術. 結果を模倣する行為により目的を達成しようと 
 する呪術などである. 例としては, 雨乞いである. 雨を降らせるという結果
 を模倣するために雨乞いを行い, 水をまき, 目的を達成しようとする. 

 Ⅱ. 感染呪術 
 
接触の原理に基づく呪術. 対象が接触していた物を用いる呪術などであ
 る. 例としては, 獲物の足跡に槍を突き刺すと, 影響が獲物に及ぶこと. 
 また, 日本での藁人形に釘を打ち込むなどが一例としてある. 
 まさに日本的な呪いは感染呪術のイメージに違いない.

➁マリノフフスキー

19世紀 :イギリスの人類学者:マリノフフスキー
聞き馴染みのある「黒魔術」と「白魔術」に大別した人である. 
機能的に呪術や宗教が安心感をもたらすものと定義している. 
動機をもった態度から人にまがいをもたらすそうとする呪術を「黒呪術」
病気回復など公共の利益をもたらそうとする呪術を「白呪術」とした.

➂エヴァンズ=プリチャード

19世紀 :イギリスの人類学者:エヴァンズ=プリチャード
呪術には意図的なものと非意図的なものがあるとして「邪術」と「妖術」にわけた. 機能的な立場から観察している. 

 Ⅰ. 邪術
  呪文など何らかの物を用いて意図的に他者に危害を加えようとする技術
  ただし、防衛のために行われる場合もある
 Ⅱ. 妖術
       人間が意図していなくても危害を加えてしまう力としている

➃クロード・レヴィ=ストロース

20世紀 : フランスの人類学者 :  クロード・レヴィ=ストロース
呪術を思考様式としてみなした. 科学の観点から考えた人だ.
明確に対象を分析するような思考に対して, 論理的思考が整わない環境では人は知っている記号・言葉・シンボルを組み立てる. その際は, ものごとの理解を探るものであり, 探らざるを得ないとした. つまり、「科学的な思考」と定義しているのである.
一方で「野生の思考」との見方も定義している。つまり、あり合わせの材料で行う工作と称しているのである. これは, 未熟な社会だけに見られるものでもなく, 先進国の中でも日常的には野生の思考を行っていることを指摘している.

摩訶不思議な呪術

これまで列挙してきたもので呪術の内包された潮流の詳細は以上である.
全体を見渡すと, 呪術は,「因果関係が特にない」と思われる宗教的なものから始まっていたことが分かる. 前駆体のような呪術から次第に人に意図的なものが介入し, 更には科学的なものへと術は進化を遂げていったのである.

ここまでで、現代に医療が移行するまでの前哨戦みたいなものが終了した.

我々が奇妙奇天烈なものに感じていた「魔法」みたいなものが, 時代の変遷と共に詳しく見ていくと「魔法」や「呪術」が目的のために何かを成し遂げたいと願う所作(動作)にみえてくる. 時代の流れとともに人類は因果的な論理性を獲得してきた. 論理を獲得した人類が現時点から過去の所作をみれば摩訶不思議な様相に見えるのは不思議な事ではないと思えてくるはずだ.

今回は, 単純に魔法的な所作の流れをくみ取ったが, 肝心な呪術と医療的なものに触れていない. 次回は, 呪術的な道具からパルプンテが起こりそうな予感まで到達できればと考えている. 


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