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谷古宇 時生
2020年11月15日 22:38
11月。渓流。遊歩道。枯葉を踏みしめる音。紅く色づいた、大振りな木々を見ながら、手を繋いで歩く父と子を見た。余計な音は一切無い。しん、とした空気をかたまりで吸い込むと、木の板が少し軋む。ちょろちょろと、水の音がしている。2人の背中は、歩くたびゆっくりと揺れる。息子の小さい歩幅に合わせるから、歩みは遅い。私は彼らを追い抜かないよう、ペースを落として進む。よちよちと歩く男の子