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日野日出志

竜神さんの記事で、最近打ち切りが決まったマンガのことを読んだ。テレビCMまで作られたくらい、期待されていた作品だったのに。同じ記事で、アニメでも人気の「七つの大罪」を描く作家も、打ち切り続きだったことを知った。


マンガ「BAKUMAN。」や「重版出来」でも、マンガ家のきびしさや、芽が出ない、花が咲かない事例も描かれている。朝ドラ「ゲゲゲの女房」でも、独り立ちするよりアシスタントでいたいと望むようになる登場人物も含め、いろいろなマンガ家が出ていた。

マンガに限らないだろうが、何があたって、何が、いわゆる成功につながるかは、努力や才能だけでは、はかれない。実際に売れっ子になった人も、よく、運ということを口にする。


そんなことを思っているとき、日野日出志の話をオンラインの記事で読むことがあった。彼の最新作(といっても、2年前だが)、が出た頃の記事だ。

日野日出志。

昭和の子供をふるえあがらせたマンガ家。怪奇的な絵。ホラー中のホラー。楳図かずおの話も絵柄もこわかったが、それをしのぐ強烈さの作品群。

その日野日出志が、共著で2年前(2019年)に出した作品は、なんと絵本。初めての。絵柄が合うと、ほかの人にも言われていたのだそうだ。

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(彩図社、2019年。作:寺井広樹 絵:日野日出志)

なんで、今頃。なんで、あの怪奇ものの代表みたいな人が。なんで、マンガ家が。

絵本を出したと知ってすぐ、そう思ってしまった。事情を知らず。

村田らむさんによるインタビュー記事を読んで、こたえは全部もらった。

日野日出志といえば、の怪奇ものは、彼が目指して生まれたものではないことを知った。彼もまた、思い通りにいかなかった、マンガ家だった。

          (2019年7月19日、東洋経済新聞オンライン)



運。流れ。自分のコントロール外のこと。

成功は、七転び八起きみたいだ。朝ドラ「あさがきた」のモデルにもなった、実業家の広岡浅子の言い方では、九転び十起き。

でも、七回転んだら、九回転んだら、または、エジソンがいうように、一万回失敗したら、必ず成功が約束されているわけではない。

最後に、満足する形で報われるのか。報われなくてもやり続けるのか。どこでやめるか、あきらめるか、あと一回を試すのか、引くのか。そういう判断や決断をすることも含めて、マンガ作品がヒットする人、しない人、みなが賭けている。いたわりたいような、拍手を送りたいような気持ちになる。



日野日出志のマンガは、小学生の時読んだ。当時まだあった貸本屋で、兄が次々と借りてきた。二人でふるえあがったが、日野ワールドが、やみつきにもなった。絵の強烈さばかりが記憶に残る。

作品をネットで検索したが、表紙や、イラストひとつでも、こわい。電子書籍で買って、中を見たいとも思わない。試し読みさえ、する勇気がない。

貸本屋のマンガだけでなく、近くに住む従兄が買う少年マンガ誌でも、日野日出志の作品を読んだ。雑誌では、絵のおどろおどろしさが、少しはゆるかったような気がする。

その中で覚えている読み切り作品。雑誌の巻頭にあったと思う。貧しい、親のないきょうだいの話で、保護者役の長兄が悲惨な目に合わされ、殺される。記憶違いかもしれないが、熱した湯か油かを、飲ませられる。兄の死後、厳しい冬が来る。食べるものもない幼いきょうだい。年かさのきょうだいが、にいちゃんの意思だと、小さいものを励まし、にいちゃんの体を喰らう。

怪奇より、陰残で、物悲しく、健気で切ない。のちに、岩井志麻子の「ぼっけえきょうてえ」を読んだときに感じた気持ちに近い気がする。


日野日出志の絵本は、電子書籍では販売されていないので、まだ目を通したことがない。帰国の折には、ぜひ手に入れたい。

うちの子は大きくなってしまったが、知り合いの子どもらへの贈り物にしたい。今の幼児のジジババ世代が気づいたら、名前にギョッとするかもしれないが。



日野日出志。

わたしの好きなマンガ家、と言い切ってしまうのに、ちょっとためらいがある。でも、わたしや同世代の人の子ども時代に、怖れで震えるマンガの思い出をくれた人。たぶん、いちばん強烈な。




🧟‍♀️

おすすめ度

日野日出志のマンガ  ★★★☆☆

マンガは、怖いのがお好きな方には、おすすめです。でも、そうでない方は、長きにわたるトラウマになるかも。そこらをお含みおきの上、自己責任で、日野ワールドを体験してください。昭和の名作家ではあります。


日野日出志の絵本  ★★★★☆

マンガはともかく、日野日出志の絵本は、おすすめします。(って、まだ読んでないんですが、、、。)



🙀       🙀       🙀

参加しているのは、お題#好きな漫画家と、このリレー企画です。

アイデアマン、チェーンナーさんの始めたシェア活のリレー。

バトンをくれたのは、ももりゅうさん。

書くものもですが、だいたい、興味の範囲が広い。だだっ広い、と言いたくくらいで、それも、えっ、そうなの、と耳目そばだててしまうような、ちょっと思いつかないようなこと。鳥獣戯画、のヘッダーじゃなかったでしたっけ、初めてももりゅうさんと交流を始めた頃は。鳥獣戯画に深い興味があり、ねこの集会でnoteに、いっきに輪を広げたり、建築の仕事もそうだし、ご家族の、特にお父さまの話、結婚、料理、仏教、、。今回の記事も読みごたえありました。こんなに深く濃く語られてて。


バトンは、回すときに、もう考えすぎて、神経使います。回したいのは、フォロワーの人ほぼ全員です。(いや、本気です。)バトン渡さない方、もしも、もしも、がっかりされたら、すみません。そんなにたいしたことじゃないですよー。と言うと、今度はチェーンナーさんに失礼になりますね。そんなつもりじゃ、、。どなたも、わたしほど考えすぎられませんように。


バトンは、このマンガの記事のきっかけになった、竜神(竜神 🏇@楽しい競馬noteの人)さんへ。

ももりゅうさんにも通じる、幅広さのある記事や形態。シャツのデザイン、販売。朝食や札幌の街角の写真や、エッセイ。フリーザスタイルも使われて、自由に楽しまれている感じです。競馬予想。サッカー。朝と夜の音楽。500日連続投稿も達成されたところです。

記事の幅が広いので、竜神さんも、もちろんご存知ですが、わたしは全部は読みません😆。完全スルーは、競馬予想とサッカーの話です。音楽も、知らないアニメのだったりして、聞いてみない時は、スキも、つきあいでも押しません。なんか、シビアに聞こえますか。そういう関係ですが、わたしは心地よく、のぞくのは楽しみです。

書かれるものが多岐にわたることと、毎日投稿されていること、雑誌のコーナーみたいに、いくつか、自分で分類化されてるところとか、書く内容にも通じますが、広くて、なにより、無理してない、本人が楽しまれてる感じが、ほんとうに心地いいです。また、無理してない感をだすように、努力もされてるんだろうな、ということも含めて。

竜神さん、よかったら、バトン受け取ってください。


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