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カボチャ柄のハンカチ、肌寒くなってきた最近のこと

ある日の、僕が寝るまでの物語。

いつものように電車に乗り込んで座席に座り、スマートフォンを手に取った。すると、隣に座っていたおじいさんが声をかけてきた。彼はカボチャ柄のハンカチを手に持っていた。

「おい、君、これ落としたんじゃないか?」と、おじいさんが言うと、僕はハンカチを見て自分のものだと確認し、おじいさんに感謝の言葉を伝えた。彼の優しさに触れ、心がほんのり温かくなった瞬間だった。

その日の夜、家に帰る途中、帰り道に立寄ったスーパーで、野菜コーナーに置かれていたカボチャが目に留まった。カボチャ柄のハンカチを拾ってもらったことが、頭の中で、強く印象に残っていたからかもしれない。そのカボチャは、一般的なカボチャより小さく、可愛らしいカボチャだった。僕は、なぜか、そのカボチャに心を引かれ、思わず手に取ってしまった。

その夜、そのカボチャを使ってカレーを作った。不思議と、そのカレーは格別に美味しかった。カボチャは溶けてしまっていたが、甘くて美味しい味が広がり、心地よい満足感に包まれた。

あのハンカチは、若い頃に、当時の同僚からもらったものだった。
そういえば、カボチャ柄であることからか、同僚の女性から「シンデレラ」という物語について、どう思うか、ふと聞かれた。
「ネズミの友達がいることが、羨ましいね」と、答えると「えっ、そこ。あなたらしい」と、笑われた。昔のことなのに、急に思い出した。いまさらながら、僕も一人で笑った。

肌寒くなってきた今日この頃、いつもより毛布が温かく感じた夜であった。

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