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ディア・ファミリー

映画「ディア・ファミリー」は、心臓を患い余命10年と宣告された娘のために、人工心臓の完成を目指す父親の23年間を追った感動的なドキュメンタリー映画です。

映画の予告編を見ただけで涙がこぼれそうになります。最愛の娘のために、未だ存在しない人工心臓の作成に挑む父親。その娘から「私の命はもう大丈夫だから」と言われたときの父親の決意が胸に響きます。

この映画では、明るく優しい家族の愛と、昭和気質で頑固で、無茶苦茶なところもある父親の姿を大泉洋さんが熱演しています。彼自身も一人娘の父親であり、子供が不幸になる役は避けたいと思っていたようですが、筒井親子の明るさと力強さ、娘の命を救いたいという一心で立ち上がり、絶対に諦めないこの家族の強さが観る者に勇気を与えると確信し、出演を決めたそうです。彼の演技は本当に素晴らしいものでした。

本作の最もエモーショナルなシーンは、「私の命はもう大丈夫だから」と佳美(福本莉子)が語り、信政(大泉洋)が号泣を堪える場面です。当初、佳美が信政の肩を揉み、お互いが同じ方向を見つめる演出でしたが、一児の父でもある大泉洋さんは、どうしても娘の目を見て話したいと監督に訴えました。その結果、演出が変更され、あの素晴らしいシーンが生まれました。予告編で何度も見たシーンでしたが、前後の展開が加わることで、さらに感動が深まりました。

ただし、冒頭とラストでの大泉洋さんと菅野美穂さんの老人メイクにはやややり過ぎ感を感じましたが、それもこの映画の味わいの一部と考えると良いでしょう。特に大泉洋さんのシワシワメイクは楽しんでやっているのではと思うほどでした。

総じて、昭和親父のがむしゃらさと娘への深い愛が、観る者に大きな感動を与える映画でした。佳美さんの苦しみをあえて描かず、この家族の絆と強さを真摯に描いた点が非常に良かったと思います。

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