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限界費用ゼロ社会

いま、経済パラダイムの大転換が進行しつつある。その原動力に成っているのが IoT (モノのインターネット)だ。
IoTはコミュニケーション、エネルギー、輸送の<インテリジェント・インフラ>を形成し、効率性や生産性を極限まで高める。
それによりモノやサービスを1つ追加で生み出すコスト(限界費用)は限りなくゼロに近づき、将来モノやサービスは無料になり、企業の利益は消失して、資本主義は衰退を免れないという。
代わりに台頭してくるのが、共有型経済(シェアリング・エコノミー)だ。
人びとが協働でモノやサービスを生産し、共有し、管理する新しい社会が21世紀に実現する。
世界的な文明評論家が、3Dプリンターや大規模オンライン講座 MOOC などの事例をもとにこの大変革のメカニズムを説き、確かな未来展望を描く。
21世紀の経済と社会の潮流がわかる、大注目の書!

限界費用ゼロ社会
2015年10月30日初版

1. 市場資本主義から協働型コモンズへの一大パラダイムシフト

  • 資本主義の凋落

  • 経済学者の予見

  • 経済のパラダイムを変える

  • IoT(モノのインターネット)

  • 三つのインターネット

  • 協働型コモンズの台頭

  • 経済的成功の見直し

  • 本書の目的

第1部 資本主義の語られざる歴史

2. ヨーロッパにおける囲い込みと市場経済の誕生

  • 封建時代のコモンズ

  • 市場経済の台頭

3. 資本主義と垂直統合の蜜月

  • 資本主義の誕生

  • 石炭を燃料とする上記のインフラ

  • 第二次産業革命

  • 経済力の集中

4. 資本主義のレンズを通して眺めた人間の本性

  • 救済という概念の見直し

  • 人間の本性についての啓蒙主義の見解

  • 功利主義の理論

第2部 限界費用がほぼゼロの社会

5. 極限生産性とモノのインターネットと無料のエネルギー

  • 極限生産性

  • モノのインターネット

  • プライバシーの問題

  • 指数曲線

  • 無料のエネルギー

  • ほぼゼロにますます近づく

  • 割高な化石燃料

6. 3D プリンティング

  • マイクロ・インフォファクチャリング

  • レプリケーターを大衆化する

  • 建設から車まで

  • メイカーのインフラ

  • 新ガンディー主義の世界

7. MOOC と限界費用ゼロ教育

  • 教室が1部屋だけの校舎に20億人の学生

  • 教育のイノベーション

  • 従来型の教室の衰退

8. 最後の労働者

  • 失業の真因

  • 労働の終焉

  • 知識労働者でさえ不要に

  • ディープ・プレイの時代へ

9. 生産消費者の台頭とスマート経済の構築

  • 限界費用論争

  • 人びとに力を

  • クリーンウェブ

  • すべての人に無料の Wi-Fi を

  • 政府と市場を超えて

第3部 協働型コモンズの台頭

10. コモンズの喜劇

  • コモンズを再発見する

  • コミュニティの成員による自主管理

  • 第三の統治モデルの浮上

  • どのようにして私はコモンズを発見したか

  • 環境保護主義者とソフトウェア・ハッカー、意気投合

11. 協働主義者は戦いに備える

  • フリーソフトウェアの下に結集する

  • 媒体がドメインである

  • 新しいコモンズのナラティブ

  • グローバル化 vs グローバル・コモンズの再開放

12. インテリジェント・インフラの規定と支配をめぐる争い

  • コミュニケーション・コモンズ

  • バーチャル・スペースの独占企業

  • エネルギー・コモンズ

  • ニューディール政策の最大の成果

  • 協同組合の復興

  • ロジスティクス・コモンズ

  • 3つのインターネット・コモンズ上で時間的管理を行なう

第4部 社会関係資本と共有型経済

13. 所有からアクセスへの転換

  • メタファーとしての自動車

  • 所有権を手放す

  • あらゆるものをシェアする

  • 患者主導の保健医療

  • 誰もが医師に

  • 広告の終焉

  • 10パーセント効果

14. 社会関係資本のクラウドファンディング、民主化する通貨、人間味ある起業家精神、労働の再考

  • ピアトゥピアのソーシャルレンディング

  • 評価格付けとコモンズの通貨

  • 社会的起業家精神

  • 新種の雇用

第5部 潤沢さの経済

15. 持続可能な「豊穣の角」

  • 潤沢を定義する

  • 何が幸せをもたらすのか?

  • 物質主義の薄まるミレニアル世代

  • 持続可能性のカギは電力

  • 破局を招きうる二つの不確定要素

  • 温暖化する地球

  • サイバーテロリストはすぐそこに

  • アメリカの送電網はどれほど脆弱なのか?

16. 生物圏のライフスタイル

  • 共感する人(ホモ・エンバチクス)

  • 生物圏意識

特別章 岐路に立つ日本

  • ドイツと日本の比較

  • 日本の進むべき道

著書

ジェレミー・リフキン  Jeremy Rifkin
文明評論家。経済動向財団代表。欧州委員会、メルケル独首相をはじめ、世界各国の首脳・政府高官のアドバイザーを務めるほか、TIR コンサルティング・グループ代表として協働型コモンズのための IoT インフラ造りに寄与する。ペンシルヴァニア大学ウォートンスクールの経営幹部教育プログラムの上級講師。


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