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【yoeインタビュー】「ネットの文章って、『一時的な文章』っていう位置づけだったんですよね」

インタビュー企画「街場のクリエイターたち。」のお時間です。第4回のクリエイターさんは、yoeさんです!

クリエイター:"ネットプリント職人" yoe

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もともと私「やひろ」をnoteに誘ってくれたnoterであり、その後も「文学フリマ」等へのイベントの参加のきっかけを与えてくれた、やひろにとって影響力の強い人物。「オルタナ旧市街」という名前のネットプリントマガジンを上梓している、クリエイターさんです。

インタビュー以前もちょいちょい飲むほどの関係性であったため、途中から「これってただの飲み会では?」という懸念が生まれましたが、なんとか体裁を整えております(当社比)

(インタビューは3月、都内某所のレストランで行われました)

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ネットプリントを、はじめる。

やひろ:インタビュー賛同していただいてありがとうございます。yoeさんが、じつは僕が最初にこの企画でコンタクトした人なんですよね。

yoe:え、ほんとですか?

やひろ:うん。バンコクの、カオサン通りのカフェで、衝動的にDMしたんだよね(笑)。

yoe:最初、何言ってんだろうこの人、って思った。バンコクにいるんだけど、インタビューしたいとか言って(笑)。

やひろ:カオサン通りでくつろいでいるときに、ふと思いついちゃったんですよね。

yoe:私は、やひろさんの出張のnote記事とか見て、「へー、バンコクかぁ」とか思って見てたのに、なんかいきなり変なDMきてビビりましたよ。

やひろ:外国にいると思ってる人から突然連絡来るっていうね(笑)。そうか、送られる側は何の前兆もないからな。いきなりくるとびっくりするよね。

yoe:「思いついた!!」みたいなテンション高い感じで、急に来て。

やひろ:まあ、でも何本かやってみましたけど、思っていた以上に楽しいし、結構みんなのノリノリでやってくれるんで助かってます。文字起こしとかは死ぬほど大変なんですけど。

まぁ、でも、インタビューされた側も宣伝ツールとかで活用してくれると助かりますね。早速ですけど、yoeさんは何クリエイターになるんですかね?

yoe:え? わかんない(笑)。

やひろ:じゃあ、ネットプリントクリエイターということで。僕、こないだもぐささんに、yoeさんのことを話したんですよ。ネットプリントで活動してる人がいて、このあとインタビューするってことを。

でも、あんまり理解されなかった(笑)。それ、どういう活動なんですか、って。

yoe:そっか、ネットプリントがわかんないっていうパターンもあるのか。

やひろ:だから、かなり特殊性癖な趣味なんですよ(笑)。

yoe:うーん、そうかな。ネットプリントの文化って、いちど流行って、それから一度途絶えてるんですよ。

やひろ:いや、サービスとして持続してるけどね(笑)。なんかセブンイレブンのサービスが終わったみたいに言ってるけど。

yoe:サービスとしては持続してるんですけど、創作界隈で流行したのが、2016年ぐらいだったかな? 一回、バーッと流行して、2、3年ぐらいで収束してるんですよ。

やひろ:でも、3年ぐらいは続いたんだ。

yoe:まぁ、でも、渦中でも、そんなにメインストリームでもなく。細々と?

やひろ:それって、イラストとかが多かったの?

yoe:うん。でも小説とかも多かったよ。

やひろ:ほんとに? でも、基本的には短編ですよね、多分。なんか、ネットプリントでの活動って、拡散されにくいじゃないですか。

yoe:そうそうそう。ネットに比べるとね。

やひろ:拡散されにくいっていうのがデメリットのように思うんですけど、どういう点が魅力なんですか?

yoe:なるほどね、そういうふうに聞かれるのね(笑)。なんでやろうと思ったんだろう? もともと、Tumblrをやってて、そのうちnoteに切り替えて、細々と文章をネットに上げる、みたいなことをやってたんだけど、あれってもう、形式がプラットフォームのなかで、最初から決まってるじゃないですか。フォントとかも自由にいじれないし。

なので、文章をアップしてはいたものの、自分にとってはそれは「一時的な文章」っていう位置づけだったんですよね。あくまで完成形ではない、という意味で。ただ文章をネット空間に垂れ流してるだけっていう感覚があって、もっと「完成した形にしたい」っていう思いがあって、印刷したものを文フリに出してみたり。

その流れのあとからなんで、ネットプリント始めたのもほんの最近なんで。2019年の夏からだから。

やひろ:一発目、僕めっちゃ覚えてますよ。一番狂ってたから(笑)。

yoe:そうそうそう。一番狂ってた。初手にして最強だったからね。

やひろ:こいつやべえなって普通に思いましたよ(笑)。あれを近所のセブンイレブンで印刷して、そのまま、マックに持ち込んで読んでたんだけど、ほんとに内容の意味がわからなくて、ひとりで頭抱えてました。

yoe:でも、ほんとにだんだんマイルドになってきてる感はありますね。

やひろ:秋葉原の特集とか、なかなかパンチが効いてましたけどね。

yoe:でもあれでちょっと気合入れすぎてちょっと力尽きちゃったところあるんだよね。ちょっと無理矢理出した感もあったかも。でも、一ヶ月に一度、何かをアウトプットするって健康に良いですよ。締め切りを自分に貸してやってる感じで。

やひろ:すごいね。やっぱり、なんだかんだ創作好きなんですね、あなた。

yoe:心と体の健康ですよ。

やひろ:レイアウトの勉強とかもされたんですか?

yoe:あれめっちゃ適当でしょ。

やひろ:でもすごく凝ってますよね。

yoe:あれ、MacのPagesを使ってるんだよね。

やひろ:Pagesそんなのできるの? ほんとに? すごいな。

yoe:もともとパワポ職人なんですよ。パワポ職人って学生の頃ずっと呼ばれてたんですよ。イラレみたいなのも持ってるんですけど、手軽さが違うじゃないですか。だって別に印刷屋さんに出すわけじゃないから、多少ガタガタでもいいかな、って。

やひろ:でも、pagesなんだ、あれは。

yoe:pages最強ですよ。意外と、Macの捨てアプリじゃないですか。

やひろ:まぁそうだね。普段は、確かに全然使わないね。

yoe:あれ楽ですよ、速いし。作りが簡単だから、早いんですよ。イラレとかだと一時間ぐらいかかったり作業も、さっと作れちゃう。

やひろ:秋葉原のやつは凝ってたなあ、なんか。

yoe:そう、秋葉原のときはけっこう凝ってたんですよ。最近はちょっとシンプル路線。そのときどきでトレンドがあるんですよ。

やひろ:でもかなり特殊な趣味ですよね。あなた以外、やってる人知らないし。

yoe:いやいや、私の周りにはいっぱいいますよ。

やひろ:生息地が違うのかな?

yoe:「ネプリ界隈」がちゃんと存在してるんで。だいたいみんな、印刷に出すときがかぶるんですよね。今週セブン行くと、3人ぐらいまとめてプリントできるんですよ。お得なやつです。

やひろ:いや、お得とかないでしょ、別に(笑)。いくら刷っても料金同じだよ。

yoe:いちいちセブンに行く手間が省ける(笑)。

やひろ:でもさ、完成したものが「絶対にデジタルじゃ見られない」っていうのは面白いよね。必ず印刷しないと見られない、っていうのは、いまの時代、珍しいんじゃないかな。

yoe:印刷かかる部数は少ないかもしれないけど、「絶対届く」んで。絶対に読みたい人しかプリントしないじゃないですか。こっちは、「プリントされた数」だけわかるんですよ。

やひろ:すげぇストイックなシステムだな。

yoe:それがねー、毎日ちょっとずつ増えていくのが楽しかったりするんだよね。

やひろ:おれも一回ちょっと試しでやってみようかなー。

yoe:ほんと一日、5ずつぐらい増えてくんですよ。

やひろ:あー。でも、5でもたいしたもんだな。

yoe:最新のやつはけっこう評判いいです。一日15人ぐらいかな。

やひろ:おれがやっても2とかで止まりそうなんだけど(笑)。

yoe:いやいや(笑)。サイレントユーザーっていうか、なんやかんや印刷してくれる人はいると思いますよ。見たよー、って言ってくれる人はいるんですけど、そうじゃない人がこんなにいるんだ、って驚くかも。

やひろ:でも確かに、それはあるかも。文フリとかのイベントだと、一応対面だから買いにきてくれた人はどういう人か一応わかるけど、ネットプリントだとさらに奥底というか、ディープな世界なんですよね。そもそも見えない、っていうのがすごい。見えないし拡散されないから、仙人向けのメディアなんじゃないの?(笑)

yoe:文フリの頒布だと、地域がやっぱり都内近郊に限られちゃうんで、かなり限定されてるんですよね。日頃、ツイッターとかで接してる人たちにリーチさせるには、悪くない手段なのかな、って。

やひろ:なんか、逆に未来を感じるわ。僕、将来の本屋さんについて考えたことがあるんですよ。将来の本屋って、物理的に印刷された本が売ってるんじゃなくて、「この本ください」って言ったら、店の奥に輪転機があって本にしてくれる、みたいなのを妄想してたんですよね。

印刷技術とかがもっと発達したら、そういう方向にシフトしていく可能性あるんじゃないか、って思ってるんですよね。出版社も、売れるかわかんないのを何千部も刷るよりは、発注ベースで制作したほうがいいじゃん。一秒ぐらいでできるようになったら、そういうのもアリなんじゃないかな、って思うんだよね。

yoe:そういうの、面白い。

やひろ:でも、考えてみたら、ネットプリントってその形だからね。時代を先取りしてる(笑)。

yoe:そうなんですよ。ウェブでどれだけ文章読めるよって言われても、紙で読みたいよっていう人は一定数いるからね。

やひろ:僕、「オルタナファイル」を作って、オルタナ旧市街を入れてますよ。コンビニにそれ持ってって、ちょっとずつ入れていってる。

yoe:それ、かなり嬉しい。

やひろ:やっぱそうしないとなくしちゃうからね。

yoe:そうなんですよね。なんで、そこちょっと悩みなんですよ。縮刷版的なやつを作るか、読者の保管に委ねるか(笑)。カラフルにしてるから、できればセブンの印刷機で刷ったやつを保管してて欲しいんですけどね。A4のフルカラーで冊子作るのも、けっこうダルいんですよね(笑)。

やひろ:確かに、大変だよね。

yoe:めっちゃお金もかかるし。

やひろ:文フリとかでバックナンバーで売るときはどうしてるの?

yoe:あれは、刷ったやつをファイルに入れて売ってますね。それでも、ちょこちょこは売れましたよ。まあ、でも結局PDFで最終的に売り始めて。そっちのほうが売れてますね。

やひろ:特殊な才能があるよね、なんか。すごいと思う。

yoe:謎の商売ですよ(笑)。

やひろ:そんな、わけのわかんない雑誌かどうかもわかんないやつ、普通の人は買ってくれないと思いますよ(笑)。

yoe:PDFだったら気軽じゃないですか。住所とかも入れなくていいし。通販ってやっぱ抵抗ある人いるじゃないですか。


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どれぐらい時間、かけるんですか?

やひろ:僕、何かを決めるときに、乱数表とかよく使うクセがあって。乱数アプリとかめっちゃ使ってるんですよ。乱数教、入信しますか?(笑)

yoe:乱数教ってなんですか(笑)。

やひろ:すべてを乱数に委ねる信仰だよ。

yoe:乱数の導きが……!

やひろ:僕、けっこう乱数に委ねて生きてますよ。図書館でも乱数使うんですよね。

yoe:え? どういうことですか。

やひろ:図書館の棚、書架ってあるじゃないですか。あれを乱数で決めて、どの棚か選んで、何段か選んで、右から何番目の本かを選ぶ……と、ランダムにはじき出された本を選べるんです。

yoe:この人やばいな……。

やひろ:だいたい、めちゃくちゃつまんない本です。郷土史とか(笑)。まあ、一応開いて読むんですけど。

yoe:まあ、そうなりますよね。面白いですね(引き気味)。

やひろ:乱数はいいですよ。あらゆる悩みから解放してくれるんで。

yoe:それはまあ、そうかもしれない。ご飯やさんで、お酒を選んだりするのはめちゃ便利かも。

やひろ:そういえば、今回、「オルタナ旧市街」で小説書いてましたよね。小説デビュー?

yoe:デビューかな? デビューってことはないかも。書いたことはあるし。

やひろ:小説って、なんなんだろうねぇ。

「夢日記」とかも一応小説になるのかな。小説みたいなもんですよね。

やひろ:「オルタナ旧市街」、あれ何号までやるの?

yoe:ほんと、どうしようかなぁ。月イチ発行で、まだ6号なんですよね(*当時)。12でやっと1年、みたいな感じか。なんの着地点も決めてないんですよね。

やひろ:ネタよく尽きないね、ほんと。

yoe:適当にはじめたんで(笑)。思いついたときに書いてるし。

やひろ:衝動型なんだ。

yoe:ほんとそうですよ。今回も、「やろう」って思って、一日で作ったんで。

やひろ:すごいね、一日って。あれ何文字ぐらいあるの?

yoe:そんなにないですよ。一万字ないぐらいかな。6000字ぐらいですかね。

やひろ:あ、でも6000字もあるんだ? 

yoe:6号は、小説が3000字ぐらいだったかな。

やひろ:6000字、一日で書けるの? すごくない?

yoe:まあ、でもそれぞれ違うじゃん。ひとつに6000字だと確かに難しいけど、3本合わせてだったらすぐですよ。

やひろ:おれ、一日で6000字も書けるかなー。それ地味にすごいわ。

yoe:多少は断片的な下地はあったりするんだけど。

やひろ:でもそれ、丸一日、その作業かかりきりだね。

yoe:夜からはじめて、朝まで、みたいな。だいたい取り掛かりが夜なんですよ。で今回は、朝までやったんですけど、その日の夜に友達と会う約束があったんですよ。なんで、MacBook持ってって、「ごめんね」って言いながら作業してた(笑)。

やひろ:どんだけ創作意欲走ってるんだよ。「止まんねえわ」って?(笑)

yoe:絶対にその日がよかったんですよね。「閏日」だったんで。2月これで終わる〜って思って。一ヶ月ずーっと考えてるわけじゃないんですけど、「この日」っていうのがあったりするんですよね。そうやって追い込むと、自分が楽しくなってきたりするんだよね。

やひろ:noteの更新ってどんなもんだっけ?

yoe:めちゃくちゃ適当ですよ。2週間に1回とか。

やひろ:なんか一時期めちゃくちゃ更新してなかった? 

yoe:衝動型なんで(笑)。出すときは、3日にいっぺんとか、そういう頻度になっちゃう。

やひろ:またあがってる、よっしゃ! とかなるもん。僕は毎日更新してるんで、読者の人は驚きも何もないと思うんですけど(笑)。でもたぶん、僕のほうがムラっ気はあると思いますよ、本当は。やるときはやるけど、やらないと数年単位でやらないタイプなんで。そういうムラをなくすために、自分で締め切り設けて、標準化したいなって思うんですよね。

あと、長編小説とかを書いてると、ムラがあると完成しないんだよね(笑)。だから頑張って同じ分量を毎日書く、っていうスタイルにしてるのかな。作曲はもっと衝動に近いから、7年ぐらいやっててまだ完結しないシリーズとかもあるんですよね(笑)。noteやる前ってなんかやってたの?

yoe:tumblrです。

やひろ:あ、そうだったっけ。何年ぐらいやってたの?

yoe:学生のときからだから……5年ぐらいやってたかな。でも、全然更新してなかった。それやってるうちにnoteが流行りはじめて、やってみたら、って勧めてくれた人がいて。

やひろ:yoeさんが僕にnoteおすすめしてくれたんだけど、さらに始祖がいたのか(笑)。

yoe:そうそうそう、「始祖の巨人」(*漫画「進撃の巨人」に出てくる巨人)が(笑)。「やってみたら」って始祖の巨人がおすすめしてくれて(笑)。

やひろ:じゃあ僕はエレン・イェーガーの世代(笑)。こっから物語を紡いでいかないとな……。

yoe:でも、始祖のおかげかな。こうやってnoteやってこれたのも。tumblrってほんとに見てくれる人が少なくて、全然見られている感じがしなかったんですよね。noteにきてみたら、いっぱい人がいる、みたいな感じで。文フリ出よっかな、みたいなのもnoteでやりだしてから思ったことだし。


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何を書いてますか?

やひろ:いま僕、ラジオがめっちゃ楽しいんですよね。収録したくてたまんない。ツイキャスとは全然ちがう。

yoe:意欲がすごいですね。

やひろ:普通、ネットラジオやってからツイキャス、っていうのが流れ的にありそうなんだけど。リアルタイムで見る人も限られるんで、ネットラジオって結構いいですよ。

yoe:ツイキャスもいいんですけど、最後まで居れないしね。

やひろ:僕はブログを10年ぐらいやってましたけど、こんなラジオ機能もないし、人全然きませんでしたからね。こんな、プラットフォーム変えるだけでこんなに変わるんだな、って。

yoe:やひろさんはちょっと極端ですよ。私は別に、そこまででもなかったんで。noteがあることによって、創作を続けようとか、意欲の面では持続させてもらってるんですけど、めちゃくちゃ合ってるかっていうとそうでもないんで。

やひろ:そう? でも、けっこう「スキ」もらってますよね?

yoe:うん。でも、書いてある内容的には「はてな」とかのほうが合ってるのかな。tumblrもいいんですけど。内容が、「静的」……というか。静かな感じなんで。

やひろ:note、スゲー合ってると思うけどなあ。僕、yoeさんの記事めっちゃ好きですよ。なんとなく、独特というか。独特……だめだ、ぜんぜん言語化できない(笑)。なんか、いつも正直に語ってる感じがするんだよね。素直というか。

yoe:そうかも。記事で嘘はつかないから。ついてもあまり意味ないし。

やひろ:僕の文章とわりと対極の雰囲気というか。ちょっとこう、ひとの温もりがあるじゃないですか(笑)。僕の文章って温もりとかぜんぜんないので。

yoe:そうですね(笑)。けっこう突き放してくる。世相を切る、みたいな。

やひろ:yoeさんってエッセイがそもそも小説っぽいんですよね。

yoe:それはあるかも。小説とか書くとき、わりと地続きに書けちゃうんで。

やひろ:エッセイがそもそも小説って言い張れる感じだもんね。

yoe:そう。でも、そのうち何がほんとのことかわかんなくなっちゃう(笑)。

やひろ:僕はなんか、ひたすら冷たい分析みたいな記事を書いてますからね(笑)。

yoe:うーん。でも、なにを書いてるんだろう、わたしは。

やひろ:なんか、「その日の気分」みたいなことを書いてるよね。わりと日記的というか。落ち込んだときの記事が多い気がする。

yoe:そうかも。「嬉しい!」みたいなときって、あんまり書こうと思わないし。

やひろ:ってか、嬉しい記事って見たことない気がする。なんか、「今日クソ気分悪いけど、生きていこう」みたいなノリの記事が多いよね(笑)。

yoe:多い、多い。なんなんですかね。そういうことのほうが書きたくなっちゃうのか。あとから見返すと、わざわざ書かんでもな、みたいな内容が多いんですよね。

やひろ:言葉が行き場を求めてるのかもしれないですね。

yoe:なんか、戒め……みたいな。こういうことがあって、こういうふうに思ったけど、自分忘れんなよ、みたいな。

やひろ:懺悔(ざんげ)的な面も多少あるよね。忘れないための、楔(くさび)みたいな。

yoe:……重いな(笑)。「始祖」あたりから語彙がちょっと過激になってるんですけど(笑)。

やひろ:yoeさんは、基本的に創作は趣味で、って感じなんですよね。

yoe:公募に出したりしないのか、ってことですか? やってみたいな、とは思うんですけど、締め切りに間に合わないんですよね(笑)。出したい気持ちはあるんですけど。本気で、本腰いれてやろうと思ったことがないからかもしんないけど。

やひろ:やるとしたら、エッセイ的なものになるの?

yoe:いや、エッセイは公募ないんじゃない? 

やひろ:たしかに。あんまりないかな。

yoe:公募あるやつだと、なんかウザい感じのしかないような。

やひろ:ウザい感じ(笑)

yoe:「心温まるエピソード」とか。「家族をテーマに」とか。だいたい受賞するテイストがわかっちゃう。

やひろ:ああいうの、受賞したやつ読む人いるのかな、って思っちゃうこともあるけどね。

yoe:全然書きたいと思わない。「心の触れ合いを」とか。

やひろ:いや、でも普段yoeさんが書いてるエッセイみたいなのを、「短編小説です」って言い張って出したら、それも小説になるような気もするけどね。

yoe:やるなら短編小説かも。長編はたぶん向いてないし。長編って飽きちゃうんですよね。読むのですら飽きるし、書くのは無理かな。

やひろ:僕は逆に長編向きかも。

yoe:でも、なんでもやってみたら練習になるかな……。だんだん、昔と比べると、文章書けるようになってきた実感はあるけど。練習は続けていきたいね。ネットプリントにも小説とか、ちょいちょい載せたりしてるし。ネットプリントは、ほんと実験場ですね。人に印刷費を払わせて(笑)。あれ、ほんと一銭もこっちには入らないからね。

やひろ:PDFで入稿するの、あれ?

yoe:そうそう。

やひろ:っていうか、自分で印刷するのが前提のサービスだよね。まさかそんな使われ方をしているとは、セブン側も思うまいに。なんでこれ100枚も印刷されてんの?! ってなってるよ、きっと。インク代すげーかかるんだけど、みたいな。でも、最初にこれやり出した人すごいね。おれもちょっとやってみるか、一回。「プログレ古戦場」出すか。(*注:出しました)

yoe:いや、楽しみです、ほんとに。ネットに書けないことも書けるしね。そういう使い方の人もいる。ちょっと過激なこととか書いたり。

やひろ:拡散されないからね。それはあるね、たしかに。拡散といえば、すでにnoteのほうがツイッターよりも読まれてる、という現実があって。

yoe:ツイッターって、流れちゃいますからね。noteだったら、記事単位で、フォローしてくれている人はじっくり読んでくれるんで。

やひろ:ネットプリントで頒布した記事をnoteの有料記事にしたら、身銭が入る、ってことになるんですよね。100円とかで。文学フリマで、滝本竜彦っていう小説家の人がいたんだけど、500円で本を売ってて。

それが、お金を出すとURLが書かれた紙がもらえる、っていう仕組みだったんですよね。それを入力すると、ネットで文章が読めるっていう。ちょっと密売みたいな感じのあるやり方だったんですけど(笑)。

yoe:印刷費がゼロになるんだ。印刷費がね、かさむよね。

やひろ:こないだがはじめてだったけど、大変だったよ、エッセイつくるの。キンコーズ行って作ったんだよね。コピー用紙をホッチキスで留めただけのやつなんだけど、中綴じの限界までのページ数で。でも思ったよりも売れたな。

yoe:どれぐらい作ったんですか?

やひろ:たしか、50部ぐらい作って、30部近く売れたから。びっくりした。最初、午前中ぐらいはコピー本が全然売れなくて、さすがに人をナメすぎなのかなと思ってたら、午後に盛り返してきて、結果的に、ちゃんと製本した小説と同じぐらい売れたよ。

yoe:文フリってちょっと謎の売れ方するときありますからね。

やひろ:次は僕、欠席するんで。(注:ゴールデンウィーク中に開催予定でしたが、中止になりました)さすがにね、年2回の出席はしんどいなと思って。

yoe:一回売り切っちゃって、在庫とかないと、ちょっと難しいですよね。「こんだけ売れる」って最初からわかってればいいんだけどね。

やひろ:やっぱ、ペース的には年イチかな。年イチで出て、CDも売っていく、と。ラジオもCDにして売ろうかな。特典ディスクみたいな感じで。


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テプラ、楽しいですか?

やひろ:先週も、「ニンテンドースイッチを買いたい欲」を乗り越えたよ。

yoe:買いましょうよ。まだ持ってなかったんですか?

やひろ:なんとか乗り切ったよ。

yoe:買いましょうよ(2回目)。

やひろ:いや〜、怖いんだよね。

yoe:実際、時間ありますか? ゲームする時間、作れる?

やひろ:いや、ないよ。作れない。

yoe:でもそんなの関係ないんで、一台持っときましょう。持っておいたほうがいいですよ。面白い海外ゲームいっぱいありますし。

やひろ:まあね……。いや、なるべく、面白くないほうがいい。面白いと困るから。クソつまんないゲームやろっかな。

yoe:マインクラフトやりましょうよ。

やひろ:ハマっちゃうと困るんだよね……。

yoe:困らない! 人生が豊かになる。

やひろ:なんかお勧め、ありますか?

yoe:私、おすすめのインディーズゲーム、まとめたんですよ。それ、随時更新していくんで。

やひろ:何本持ってんだって話だよな。

yoe:結構持ってますよ。インディーズゲームだと、1000円ぐらいで、3時間ぐらいで終わるようなやつばっかりなんで。そういうのを何十本も持ってる感じですね。週末やって終わり、っていう感じなんですけど。

クオリティはピンキリで、画像がカクカクのやつもあれば、綺麗なやつもあったりするんですけど。ブラウザでめっちゃ売れたやつが移植されたり、とかもあるんですけど。1000円とかだったら手出しやすくないですか?

やひろ:そうだよね。1000円だったらね。

yoe:任天堂が出したりしてるやつだと、めっちゃボリュームもあって大変なんですけどね。

やひろ:やり込み要素が少ないほうがいいかも。

yoe:あ、それ確かにそうです。すぐ終わる短いやつが何本もあったほうが飽きないし、ストレス溜まんないからいいかもしんないです。ドラクエとかはじめちゃうと、長大すぎて、途中で心折れたりするんですよね。ドラクエも一応持ってるんですけど、中盤ぐらいで力尽きて、世界救えないよ〜ってなってます。

やひろ:ゼルダ、超話題になってるからやってみたいんだけど、どんだけ時間吸われるんだろうって考えたら恐怖で。

yoe:買うなら、サクッとスプラトゥーンとか買ったほうがいいですよ。あれはもう、ストーリーとか何もないから(笑)。

やひろ:でも、うまい人いっぱいいるよね。

yoe:そう。キッズたちがいっぱい参戦してるんで、相手してます。

やひろ:あれ、けっこう実力差ってはっきり出たりするの?

yoe:うん、出る。あれ、小学生は一目でわかるんですよ。絶対アタマから突っ込んでくるから。見知らぬ4人とかで組んだりするんですけど、絶対言うこと聞かないのがひとり混じってます(笑)。ハンドルネームでわかるんですよ。「ユウタ★」とか。

やひろ:まじか。じゃあ僕は「★やひろん★」でいくわ。

yoe:小学生に見せかけた(笑)。

やひろ:おっさん(笑)。

yoe:いいんじゃないですか。どうぶつの森も出るし(注;当時は発売前)。

やひろ:いつからゲームしなくなったかな。昔はすごいしてたんだけどな。言ってみれば、おれの音楽のルーツってゲーム音楽だからな。MOTHER2かな、一番は。

yoe:私、絶対MOTHERの移植版、スイッチで出ると思うんですよね。

やひろ:ゲームボーイアドバンスでも出てたしね。

yoe:スイッチでファミコンできるんですよ。スーファミと、普通のファミコンが。けっこうタイトル数も多いですよ。結局、そういうのばっかりやってたりするときもあるんですよね。

やひろ:……買わないほうがいいな(笑)。

yoe:「熱血くにおくん」とか。メトロイドとか。

やひろ:自分の場合、作曲がもうすでにゲームに近いんだよね。基本的に打ち込みだし。なんかもうインタビューでもなんでもなくなってるんだけど(笑)。そうそう、yoeさんがなにクリエイターなのか、宣言してもらう必要があるんですよ。なにクリエイターなんですか?

yoe:え、わかんない(笑)。生きてるだけです。

やひろ:ネットプリントクリエイターにはなるんじゃないですか。あと、noterとか。あ、そうだ。テプラの話、聞かなきゃ。テプラのヘビーユーザーというのはなんとなく知ってるんですが、きっかけはなんだったんですか。

yoe:テプラの復刻版がめっちゃかっこよかったんですよ。それが欲しくて。

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やひろ:使いやすいんですか、それ?

yoe:復刻版は、めちゃ使いづらいですよ。

やひろ:使いづらいんだ(笑)。

yoe:クラシックだから。電話のダイヤルみたいになってるやつで。それをこう、カチカチカチって動かして、文字を入力してくみたいな。

やひろ:やば。

yoe:それがこう、気持ちいいんですよね。無心でカチカチカチカチって。気持ちよくいじれるギミックっていうか、ガジェットで。

やひろ:ダイヤル回して入力とか、ないもんね、いまどき。レア度でいえば半端ないけど。いま、iPhoneで音声入力とかしたりするけど、その何世代前の技術なんだ、っていう(笑)。

yoe:アナログが好きなんでしょうね。

やひろ:アナログのほうが情報量が多いからね。余分な情報もたくさんあるんだけど(笑)。僕は電子書籍でいい派なんで、デジタル好きなのかもしれないけど。

yoe:漫画はアナログだとかさばっちゃうからね。

やひろ:でも短編小説とか、詩とかは紙のほうがいいかもね。紙自体の情報が、情緒を感じる上でけっこう大事だったりするし。

yoe:話の続きが気になるやつは電子書籍でいいんだけど。

やひろ:紙だと雰囲気が変わったりする、ってのは確かにある。僕も文フリで新刊出したけど、思ってたのと全然違ったし。印刷所行ったら見本が見れるらしいんだけど、行ったほうがいいよねぇ。

yoe:そのほうがいいですよ。取り寄せられるところもあるし。紙という沼にはまりはじめると怖いですよ(笑)。こだわる人だと、採算とれないのにいい紙にしたりするし。



ネットプリントの可能性ってなんですか?

やひろ:ネットプリントって、モノクロもできるんだっけ?

yoe:できますよ。私がその設定にしてないだけで。モノクロで作ってる人もいますよ。新聞みたいにして。

やひろ:モノクロでも、凝ろうと思えばけっこう凝れるよね。

yoe:雨の日に絶対ネットプリント出す、っていう人いるんですよ。福岡の人なんですけど、福岡が雨の日だけ出す、っていう。面白いですよ。「雨の日に聞く音楽」とか。日記とか。「雨の日だより」っていうんですけど。

最初からストックしておいて、雨の日になったらリリースする、ってやってるみたいなんですけど。一回、2月ぐらいに福岡が一週間ぐらい連続で雨、みたいなときがあって。必死で作ってたみたい。雨乞いじゃなくて、晴れを祈ってる、みたいな。

やひろ:梅雨やばいよね。

yoe:うん、確かに。まだはじまったばっかりなんですけど。

やひろ:じゃあ、「風速何メートル以上だったら」っていうので新しいのはじめてもいいな。「風のたより」とかにして(笑)。

yoe:やればいいじゃないですか(笑)。

やひろ:架空の人の風の便りを勝手に書く、みたいなね。

yoe:そういう、実験的なのが作れるのも魅力ですよね。手書きでやってる人もいるし。手書きで、壁新聞みたいなの作ってる人もいますよ。

やひろ:前にnoteの企画でさ、「手書きでnoteを書こう」みたいなのを見たことがあるんだけど。それ、はじめは面白いと思ったんだけど、結局、noteだったら、読むのはデジタルじゃないですか。まあ、それでも楽しそうだなとは思ったんだけど、ネットプリントだったら、紙で出力されるから相性いいかもね。

yoe:手書き、面白いですよ。セブンのプリンター、性能いいし。ローソンでも同じようにできるんですけど、セブンのほうがインクと紙の質がいいので、こっちにする人が多いですね。どんだけ濃い色でべったべたにしても、かなり綺麗に出力されるんで。

やひろ:じゃあ、ネットプリントやろかな。なんか毎回、なにかしらそそのかされてるけど(笑)。

yoe:「プログレ古戦場」、やるんですか? 「プログレ古戦場」って、意味わかんない。

やひろ:7割ぐらい書いたんだけどね。インスパイヤ先が、yoeさんの「オルタナ旧市街」ってモロバレだから(笑)。「ハイレゾ排水溝」っていうのも思いついたんだけどね(笑)。音で攻めてる。そもそも、元祖の「オルタナ旧市街」の意味でわかんないんだけど。

yoe:語感が気に入ってる。けっこう地味に知られてきてて、面白いですよ。

やひろ:すごいと思う。yoeさんって、謎の人望とかあるじゃないですか。おれやってもそんなに印刷されないよ、きっと。2枚とかだよ。

yoe:自分じゃないですか(笑)。意外といきますよ、やってみたら。

やひろ:そんなに面白いこと書けないしなあ。難しいよね、あれ。

yoe:どうなんですかね。何が面白いんだろう。

やひろ:よく書けるよね、ほんとに。

yoe:自分の中では面白くないというか、納得いってない回もありますけどね、当然。

やひろ:レイアウトがビシってなってるのはすごいよね。

yoe:あれは、うまく調整してる。最初にレイアウトというか、枠組みだけ決めて、それに合うように内容を作ってる。

やひろ:よくそれでできるよね。すごい。

yoe:文字数にしたら、でも1500ぐらいですよ。普通のnoteの記事もそんなもんだから。文字数あんまり書けなかったら、ちょっと写真大きくしたりしたらいいから。レイアウトは時間かけてないですよ。pagesすごいいいですよ。pagesもっと使ってくださいよ。写真の大きさとかも、なんかしらの中心線に合うように調整してくれたりするんで。

やひろ:そう? じゃ、pages使ってやってみようかな。そんなポテンシャル秘めてるソフトだって知らなかった。考えてみたら、印刷して楽しむメディアだけど、お金かからない点も魅力だよね。むしろ、ユーザー側が印刷代を負担するシステムだもんね。

yoe:セブンイレブンの経済回してるだけなんだけどね(笑)。

やひろ:でも、未来の形だと思うよ。画期的だもん。セブンイレブンもそのポテンシャルに気づいてくれんかな。著者に還元する仕組みとか。

yoe:そう、つくってほしい。ネットプリントで知ってくれた人が、新刊の通販とか買ってくれたりするので。北海道とか、すごい遠くの人だったりするんですけど。

やひろ:でも、その拡散しないツールでよく販売促進になるね。すごいね。

yoe:そう、よくわかんないんだけど、謎のルートで。見る人は見るみたい。PVだけじゃなくて、「いろんなところに届く」インターネット、っていう感じはあるかな。

やひろ:そうそう、デジタルの弱点として、面白い作品があっても、友達に貸せないんだよね。でもネットプリントって印刷してあるから、「これちょっと読んでみ」って言って渡せるじゃん。それ大きいよね。

yoe:そう、それで、親子で読んでくれたりする人もいます。文フリにきてくれたりもして。いろんなところに友達がいるみたいで楽しいです。

さんにんめのゲストのyoeさん、いかがでしたでしょうか。類を見ないグダグダさでしたが、逆に新鮮でよかったです。

yoeさん、本当にありがとうございました!

yoeさんの活動、および予定の最新情報はnoteまたはツイッターからご参照ください。



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