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天才:夜空を見上げて

我が子は天才である。
いわずもがな、親バカである。

日が短くなった。

小学生の頃は「日没までには帰る」
というルールを課していたのだが。

部活に出て帰ると、真っ暗。

中学生とはいえ、
やはり心配にはなるが‥‥。

なんて思っていたら、帰ってきた。
で、開口一番、

月が綺麗ですよ!

と、どこかできいたような一言。

言わずもがな、夏目漱石。
I love you. の意訳と伝えられるアレ。

俗説の粋を出ないとのことだが、ともあれ、
口に出すなら、もっと、しっとりと‥‥。

なんて妄想を走らせ始めたら、
びゃー、と、網戸を開ける音が聞こえた。

が、すぐにまた、びゃー。
戻ってきて、そして嘆く。

月が見えないよ!

ちょうど建物の陰になってしまった。
手にはカメラを握っている。

外に行けば?
いや、そこまでは‥‥。

少し待てば見えるか、と問うので、
たぶんね、と応じた。


数時間後。

窓越しに夜を見る。

ベランダに影。
月の光によるものだ。

見上げるとまるい月。
中秋の名月。

月、みえるぞー、と声をかけると、
宿題を中断してカメラを取りに行った。

ベランダで10分くらい過ごして。

なにやら満足したらしい。
撮りたての月を延々と見せられた。

楽しい?
うん、楽しい。

楽しいんだけどね。
ん?

蚊に刺されたよ。

まぁ、そりゃあ、しょうがないなぁ。


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