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エンタメ覇者の強さの源泉「NETFLIX コンテンツ帝国の野望」

noteほぼ6年ぶりの投稿です。なのでほぼ初投稿です。

今に始まったことではないんですが、インプットする上でTwitterやニュースアプリで流れてくる記事を読んでいるだけだと、やっぱり一過性の知識で終わってしまうなーという感覚がずっとありました。

なので、今まで読書量は多い方ではなかったのですが、深くじっくりインプットするために、最近はネット記事を読む量を減らしてkindleで本を読む時間を増やすようにしています。ただ、読んで終わり、だとなかなか内容が頭に定着しないので、書評を書いてみることにしました。ガッツリ長文な書評だと絶対に長続きしない自信があるので、ゆるく、軽く、書いていこうと思います。

最初の投稿はこの1冊。

NETFLIX、ユーザーとして本当にお世話になってるし大好きなので読んでみました。

創業秘話からストリーミングの覇者になるまでを描いた意欲作です。厳密には創業された1997年から2011年までの話なので、NETFLIXが日本でサービスを開始した2015年よりも以前の話でした。

NETFLIXというサービスの1大ファンとして創業秘話がとても興味深く読めたのと、同社が今までとってきた成長戦略の裏側が事細かく記されていて、インターネットサービスに携わるひとりとしてとても勉強になりました。

本書の個人的ハイライトは以下3つ

1. 今や動画配信の絶対的王者になったNETFLIXも、最初はDVDのオンラインレンタルから始まり、月額支払い方式(サブスクリプション)を導入し、時間をかけて徐々にDVDからオンラインでのストリーミングに移行していった。何度もビジネスモデルと業態を大きく変えながらユーザーのニーズに応えていった。

2. 実店舗でのDVDレンタル事業を展開し、業界では絶対的なトップだったブロックバスター社が、インターネットの普及による変化に適応できず衰退していく様子。今だからこそ明確に間違いだったと言えるけど、当時の経営陣も市場もそれに気づけなかった。

3. あのNETFLIXも最初から順風満帆だったわけじゃなくて、何度も組織が崩壊したり、資金がショートしてAmazonへの売却を検討したり、など紆余曲折がありながら成長してきた。

以下、本書から抜粋・コメントしておきます。

ヘイスティングスは壮大な未来を予測している。ネットフリックス伝統の「郵便DVDレンタル」は終わるとみて、「最後のDVDは自分の手で配達する」と公言している。さらに、地上波テレビの時代は2030年に終わりを迎え、それ以降はインターネットテレビの時代が100年以上続くという。  ほんの 10 年前を思い返すと、あまりの違いにあぜんとしてしまう。車を走らせて、近所のビデオレンタル店で映画をレンタルしていた。それが当たり前であり、今後もずっと続くと思い込んでいたのだ。

郵便DVDレンタルは遅かれ早かれ途中で終わらせる脳内計画だった。すごい。

そんななか、ランドルフとヘイスティングスはアマゾンの創業者ジェフ・ベゾスに期待を寄せた。ベゾスがネットフリックスとの提携を模索しているということが分かり、2人でシアトルへ飛んだ。DVD販売事業を譲渡する見返りに、アマゾンの顧客にネットフリックスのオンラインDVDレンタルを宣伝してもらえないかと持ち掛けるのである。同時に、ヘイスティングスは価格に納得できれば、アマゾンへのネットフリックス売却も考えていた。

Amazonへの売却も検討してたけど実現しなかった。胸熱。

ランドルフが行なったのはいわゆる「ABテスト」だ。これによって、新規顧客を獲得するうえで赤いロゴ(選択肢A) と青いロゴ(選択肢B) のどちらがより効果的なのか測定できる。顧客生涯価値(LTV) や顧客維持率(CRR) といった数字も算出できる。ランドルフはウェブサイト担当のエンジニアと一緒にテストを行なう作業が楽しくて仕方がなかった。実験結果がきれいに出るように細心の注意を払い、一度に一つの変数しかエンジニアにテストさせなかった。  テストの実施、顧客データの収集、ウェブサイトの調整──。この一連のプロセスを繰り返したことで、ネットフリックスは顧客と継続的に対話するパイプを築き、来たる店舗型ビデオレンタルチェーンとの競争で切り札として使うのだった。

実店舗ビジネスにはないソフトウェアの強み。2000年代初頭から地道にやってきた積み重ねが今のNetflixの強さの源泉。

マーケティングチームが有望視したコンセプトは二つあった。一つは毎月定額で見放題のサービスを提供するサブスクリプションプラン。これは「ホーム・レンタル・ライブラリ」と呼ばれた。もう一つは「シリアライズド・デリバリー(連続配達)」。顧客がレンタルした映画を返却すると直ちに次の映画を自動的に郵送し、同時に課金するというプランだ。

サブスクの誕生?今や当たり前のビジネスモデルだけど、当時は斬新だった。

ブロックバスターの経営陣は、消費者がネットフリックスのどこに魅力を感じているのか理解できなかった。ネットフリックスを過小評価する理由はいろいろあった。①ネットフリックスでは需要の中心の旧作映画はブロックバスターでは人気がない②ネットフリックスの利用者は好きな映画をレンタルするのに何日も待たされる③ブロックバスターの独自調査では顧客の大半はオンラインレンタルに興味を示していない

イノベーションのジレンマってやつ。

その意味で強力な武器になるのがレコメンドエンジン「シネマッチ」のアルゴリズムだ。膨大な映画ライブラリの中で道先案内人となり、非常に興味深くて思いも寄らないような景色を顧客に見せてくれるのだ。  ネットフリックス会員(契約者) の予約リスト「キュー」に入っているタイトルのうち、実に 70%はシネマッチの推薦作品だった。

NETFLIXの強力なレコメンドエンジンのはじまり。

ヘイスティングスの見立てでは、ネットフリックスはフェイスブックやユーチューブと共にインターネット時代のテレビの役割を担おうとしていた。ここでカギとなるのは個々の消費者向けにカスタマイズされ、どんなデバイスにも組み込めるアプリだ

実際になりつつある。自分も最近はNETFLIXみながら晩飯くってる。

とまあ、NETFLIXが動画配信の王者になるまでの歩みがめっちゃ細かく書かれています。面白いです。最近はDisneyもAppleも動画サブスクに参入してきて競争激化してるけど、これを読むと変化し続けるNETFLIXは結局めっちゃ強いんじゃね、と思わされます。

あー早くStranger Things シーズン4が見たい。

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