いいね!もらうのと仕事あることの違い
イラストの持ち込みをすべきかどうか?
仕事を探しているイラストレーターが良く話題にするのは営業の話で、なんだか定期的に「ポートフォリオをつくって持ち込みをするべき」という話を繰り返し聞く。それが一番効果的だと。
いま活躍しているイラストレーターの多くはそうやって営業してきていると思う一方で、営業を全然せずに活躍しているイラストレーターもたくさんいる。それは何がしかの賞を受賞したり、いきなり有名な仕事に関わったりして有名になっていくケース。
USJ!
イラストレーターが仕事を得る方法はいくつもあるけど、一番大事だと個人的に思っていることを書いておく。
それはUSJの元CMO(チーフ・マーケティング・オフィサー)の森岡毅さんがいくつかの書籍に書いていることで、詳しく正確に知りたい方は森岡さんの本を読むことをオススメします。
「営業する」から「認知度を上げる」へ。
そこにはマーケティングで大事な指標として、認知度・配荷率・好感度(プリファレンス)が挙げられていた。ぼくはその中の「認知度」についてだけ少し理解しているつもり。
森岡さんは、まずは認知度を上げるだけでも売り上げは伸びていく、という話をしていた(そして、本当に大変なのは好感度を上げることだとも)。
ぼくはそれを知って、それまで持っていた「営業する」という考えを「認知度を上げる」という考えに切り替えた。営業は、ピンポイントで一件一件、「将来クライアントになりそうな人」に当たっていく行為。電話をかけて一冊一冊ポートフォリオをつくって郵送したり持ち込みをしたりする。これで仕事が来ることももちろんある。
誰に知ってもらいたいか
認知度を上げるのは、自分のイラストを知っている人を増やすという意味になる。でもこのとき、認知してもらいたいのは「将来的にクライアントになる可能性がある人々」だけで良く、みんなに知ってもらう必要はない。
だからSNSを活用するのは、そうした人々に認知されるためだ。ぼくの場合。
(補足)
「営業をする」も「認知度を上げる」に含まれている。あとはギャラリーでの展示も。
「認知度を上げる」のほうが「営業する」「展示する」よりも上位の概念てこと。
認知度といいね!の関係
この認知度は「リツイート」や「いいね」とは無関係で、そのことを忘れると精神的にきつい。ぼく自身しばしば忘れてしまうので、いいねがつかないと「そうですかそうですか…」と嘆いてしまうんだけど「いやいや、そもそもいいねのためにこうした活動をしているわけじゃないんだぞ」と、その都度考え直す必要がある。
イラストレーターの仕事のほとんどは個人ではなく、企業からの依頼に基づいている。だから個人に多く知られるよりも、企業に勤めている会社員、もしくは発注権を持っている(これから持つかもしれない)デザイナーに知られることが重要。
(補足)
ここは考え方が分かれるところかもしれなくて、個人に多く知ってもらうから企業からも仕事が来る、という考え方もあるかもしれない。
もしくは、自ら物販をしている人にとっては多くの人に知ってもらうことが直接売り上げにつながっていく。
さて、個人のほうが数が多いので、個人の認知度を高めると、結果的にいいねやリツイートの数も増えるのだが、ぼくの思うところでは、「イラストレーターを探しているとき」というのはいちいち、いいねしたりしない。
ザッと眺めてそのイラストレーターが使えるかどうか作品はどうかを判断し、次のイラストレーターに行くのみだから、いちいち評価づけを相手にお知らせしたりしないのだ。(たぶん)
発信を誰に届けたいか
仕事を増やす必要があるなら、「仕事を依頼してくれる人」に届くように発信すれば良い。
そのとき、反応のなさはどうしようもないことだ。
問題はフォロワー数でもいいねでもリツイートでもない。
「その人」に知られているかどうか。
その人が仕事でイラストを使いたい、と思ったときに「そういえばあいつ」と思い出してもらえるかどうか?だけが問題だ。
森岡さんによるとこれはエボークト・セット(Evoked Set)と言うらしい。
「その人」に知られるためにどうしたら良いか?を考えるのが、認知度を高めるためにやるべきことだ。
認知されたあとのことについては良くわからない。
認知されたあと、「選んでもらえるかどうか」は好感度が大きく関わっている。好感度が低ければ認知度が高くても仕事は少ない。でも認知度が低ければ、好感度が高くても同じように仕事は少ないのだ。
今のぼくは好感度まで理解しておらず、とにかく今までは認知度を高めるためにそれなりに行動してきた、つもり。これからどうなるかはわからない。
参考文献
それにしても、森岡毅さんのマーケティング本は、ぼくの仕事が増えたことに大きく影響している。
紹介するまでもない有名な本ではあるが、紹介したくもない本である。
わかりやすいのはこちら。マーケティングって何やる?がわかる本。(記憶曖昧)
分厚いけど「そうか、認知度か!」と思わされた書籍はこちら。好感度のこととかも書いてある。仕事にすぐ使えるようになるのは意外とこっちかも。後半になると数式とかも出て来るのですが、ぼくは最初のほうしか読んでません…。
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