雑記「映画『ピッチパーフェクト』を見た」

面白かった。大学生のアカペラの話で、笑いあり涙ありのストーリーで、見れば歌って踊りたくなる映画だ。そしてこの手のアメリカの学生映画お決まりの雰囲気があり、嘘かほんとか分からないアメリカの学生像を植え付けて、清純で控えめな日本男児たちを「アメリカの学生はやっぱりスケベでエロい! みんなセックスのことしか考えてない! 僕も行ってみたい! 美女とヤリたい!」と洗脳してくる恐ろしい映画でもある。……実際、向こうの学生はどうなんだろう。こんなに性に関してあけっぴろげなんだろうか。わくわくする。

感心したのはキャラの見せ方だ。アジア系の小声でしゃべる女性キャラが出てくるのだが、最初は不気味で全く良く分からない。服装もダサくて髪型も気持ち悪い。だが最後の舞台のシーンではどうしたことだろう、めちゃくちゃカッコいい。歌いだした瞬間に鳥肌が立った。このキャラは特に内面が描かれることのないサブキャラで、話が終わった後もまだよくわからないが、このシーンのせいで一発で好きになった。

多分、逆算して組み立てていったのだ。つまり、最初にめちゃくちゃカッコいい、今風なキャラクター像(メイクとか服装とか立ち振る舞いとか)を作って、それを映画のラストに配置する。で、そこから逆にめちゃくちゃダサくて時代遅れで気持ち悪いキャラクター像を仕立てて、映画の最初に持ってくるのだ。さっき書いた小声のキャラだけでなく、他のキャラにも同じ仕掛けが分かりやすく施されている。単純だがこれが実に効果抜群で、最初にダサければダサいほど良い。その落差によってノックアウトし、虜になってしまう。物語の中で変化するキャラクターを作るときは、最初と最後を両極端にしなければだめなのだ。

また、あらゆる映画でもそうなっていると思うが、ラストのシーンにすべての照準を合わせて話を組み立てている。この手の映画は特にわかりやすくて良い。この前見た、「SING / シング」という動物が歌う映画でも、同じ作りだった。落ちこぼれたちが夢をみて集まり、最初は失敗ばかりだが徐々に絆を深めていき、メンバーが解散するほどの大きな亀裂が走るが、皆自分の内面を見つめて変わろうとし、メンバーたちはお互いを理解しあってこれを乗り越え、最後の素晴らしいステージを作って、何もかもが上手くいく。

主人公が抱えている問題は何か。
主人公は何をしたいのか。
主人公がそれをするために何をしなければならないのか。
主人公は最後どう変化するのか。

見習わなくてはならない。

ああ、とりあえず「天使にラブソングを」が見たくなった。大昔に見たせいで内容はほぼ覚えてない。黒人シスターが歌いまくるさまを見よう。それから、そう、カラオケに行こう


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