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ファンタジー小説「W.I.A.」1-5

第1章 第5話

  御者台に立ち上がったアルルが、警戒の声を上げた。エルフは精霊の力を借りて、ある程度の遠隔視が可能だった。カイルとガルダンが反応し、武器を手に馬車を飛び降りると、北へ向かって走り出す。アルルも手綱をエアリアに渡し、軽やかに地面に降り立つと、風のように走り去った。マールはどうしたらいいのかわからず、馬車の中でオロオロする他ない。

  「このまま私たちも向かいますが、戦闘場所とは距離を取ります。場合によっては私も出ますから、その時はマール、馬車をお願いします。」

  エアリアが前を向いたまま、マールに呼び掛けた。その声で我に返ったマールは、馬車の前方に移り、いつでも変われる態勢に入る。

 馬車の後方に逃げていく人、建物の中に避難する人をかき分けるよう馬車が進むと、視界が開け、少し先に戦闘の様子が窺えた。兵士数人に囲まれているリザードマンは、2体。いずれも頭一つ分は背が高く、その体躯はそれ以上に大きい。鉄製の銛を持った者と、曲刀と盾を持った者がおり、どちらも軽々と武器を振るって、苦も無く兵士を相手にしていた。足元には、すでに倒された町人らしき数名と兵士が、ピクリとも動かずに横たわっていた。

 リザードマンの銛が薙ぎ払うように振られると、まともに胴に喰らった兵士が、隣の兵士を巻き込んで宙を舞った。片方では、切りかかった剣を盾で受けられた兵士が強烈な蹴りを喰らい、こちらも吹き飛ぶ。残った兵士は、かろうじて武器を構えてはいるが、打ちかかる勇気は奮い起こせないでいるようだ。

  「どきなさい!」

  アルルが叫び、矢を放つ。ひゅるひゅるひゅると、高い音を立てて、矢がリザードマンの間を抜けて飛び去った。当てるためではなく、音で気を逸らすために放たれた鏑矢だった。

 果たしてリザードマン2体は、その音に気を取られ、矢が飛び去った方向を向く。その隙を逃さず、ガルダンは銛を持ったリザードマンへ、カイルは曲刀と盾を持ったリザードマンへと切りかかった。

  「マール! お願い!」

  そう言い残すと、エアリアも馬車を降り、両手を振って印を結びながら、戦闘の最中へと走り寄る。落ちようとする手綱をかろうじて手にしたマールは、思い切り手綱を引いて馬車を止めた。

 ガルダンの斧はリザードマンの肩口に叩きこまれたが、鱗に阻まれ、滑るように受け流された。運悪く、鱗の一番硬い部位に刃が立ってしまったようだ。カイルの槍は、まともにリザードマンの下腹部に突き立てられた。青色の血が流れ、リザードマンが機械のような悲鳴を上げたが、槍を抜こうとして抜けず、逆にリザードマンに引っ張られ、前につんのめるように体勢を崩された。

 その背中に、曲刀が振り下ろされようとした時、アルルの放った第二の矢が、リザードマンの首筋に刺さり、痛みと衝撃にのけ反った喉に、第三の矢が突き立った。体勢を立て直す時間を得たカイルが、腰の長剣を抜き払い、矢が突き立ったままの喉を、深々と切り割った。

  一方、斧を受け流されたガルダンは、突き出された銛を一度は躱したが、二度目の横薙ぎを躱し切れず、その胴に、まともに銛の柄の部分の打撃を受けたように見えた。だが、衝撃を受けた様子もなく、返した斧で銛を握った右手を切り落とす。勢いのまま、斧を大上段に構えると、咆哮と共に先ほどは受け流された肩口に斧を打ち下ろした。今度は鱗を断ち、左腕が肩ごと切り落とされ、斧は胸の辺りで止まった。信じられない、というように、二、三度、瞼の無い目を瞬かせたリザードマンは、パクパクと口を開けながら、仰向けに倒れた。

  同時に、カイルも剣を逆手に持ち替え、リザードマンの胸に長剣を突き立てた。切っ先は背中から抜け、こちらのリザードマンの目からも、生気が消えた。

  「助かりましたわい!」

  カイルとアルルが残心を示し、リザードマンの警戒に当たる中、ガルダンはその場に崩れるように腰を下ろし、エアリアを出迎えた。マールもそこでようやく馬車を降り、一行の元へと向かう。

  「間に合って、何よりでした。怪我はありませんか?」

 「大丈夫、何ともありません。」

  ガルダンの様子に安心してうなずくと、カイルとアルルの方に向かう。こちらも大丈夫だと判断すると、エアリアは倒れた人間のところへと向かった。

 それぞれの顔を眺め、ある者には短い鎮魂の祈りを捧げ、次の者へ、そしてまた次、と繰り返し、今度は意識のある怪我人のところに跪くと、怪我の場所をあらため、そこに両手をかざすようにした。エアリアの手から光が発し、怪我が見る見るうちに治癒していく。

 そうやって3人目までを治療した時、アルルが後ろから囁いた。

  「エアリア、もう、それ以上は・・・。」

 エアリアは、分かっている、というようにうなずきながらも、残り二人の怪我を治し、馬車へと戻って来た。が、足取りがおぼつかない。慌ててアルルが支え、手を貸して馬車に乗せた。

  カイルとガルダンは兵士と話をしている。マールはアルルに呼ばれ、馬車へと戻った。

 「エアリアを休ませなければならないの。私はエアリアに付き添うから、ギルドへの挨拶をお願いしてもいい?」

 「わ、わかった!」

 「宿の場所を聞いて、なるべく早く戻って来てね。」

 「そうするよ!他には何か必要?」

 アルルが無言で首を振ったので、マールは走ってギルドを探した。すでにリザードマンが倒されたという報が町を巡っており、家から出てきた町人に場所を聞いてギルドに向かったが、あいにくギルドは無人だった。どうやら、騒ぎを聞いてどこかへ避難したらしい。

  「すみません、冒険者の宿がどこにあるか、ご存じですか?」

  先ほどギルドの場所を聞いた男性に、再度場所を尋ね、マールが馬車へと戻って来る。

 「ギルドには誰もいなかった。どこかへ避難したらしい。宿の場所は聞いたから、このまま向かうよ?」

 「ええ、そうして。」

  アルルの膝で、苦しそうに呼吸をしているエアリアを見て、マールは驚きを隠せなかった。その顔は、老婆のように皺だらけになっており、今にも死んでしまいそうなほどに衰弱して見えた。

  「大丈夫よ。魔法を使い過ぎたの。事情は後で説明するから、まずは宿へ。」

  マールの様子に気付いたアルルが、小声でそう言った。マールは小さく何度もうなずくと、宿へと向かった。

  宿へ着くと、追い付いてきたカイルがエアリアを背負い、宿の部屋へ寝かせる。アルルが煎じ薬をエアリアに飲ませると、呼吸は落ち着いて来たようだった。

  「もう、心配ないわ。ナーイアスが看てくれるから、あとはゆっくり寝かせておけば大丈夫。」

  部屋の外で待っていたマールたちへアルルが呟くと、全員で階下の食堂に向かう。ナーイアスは上級精霊の一種で、病人の枕頭に寄り添い、治癒の手助けをすると言い伝えられている。四方を壁で囲まれた場所でしか召喚できず、病人以外の人間が近くにいることを好まないとも言う。アルルが宿の場所を気にしていた理由が、これでわかった。それとナーイアスを召喚できるなら、アルルの『精霊使い』としての能力は非常に高い、ということも。

  「驚いたわよね? 隠していた訳ではないけど、あなたがどういう人か、しっかりわかるまでは話さない方がいい、って、私がエアリアに伝えていたの・・・。」

  そう切り出すと、アルルはエアリアの話を始めた。

 エアリアがエーテルの神官であることは知っていたが、それ以外のことは思慮深くて礼儀正しい、落ち着いた女性である、と見て知ったくらいのものだったマールは、強い衝撃を受けた。

 エアリアは、不老不死であるらしい。一見20歳くらいに見えるが、実年齢は400歳を優に超えている、というのだ。ただし、神官としての力を行使すると一気に老い衰えることになる。死ぬことはないが、死ぬよりも苦しい時間が、しばらくの間続くと言う。

  「死は、一種の救済なの。肉体は時間と共に衰えて、弱り、傷んでくる。・・・つまり、長命であるということは、その間、ずっと続く肉体の痛みを感じ続けなくてはいけない、ということ・・・。そうなる前に、死が魂を救う。でも、エアリアにはそれがない。・・・私から見れば、これは呪いだわ。種族としての限界を超えて生き続け、死で救われることがない。呪いでなくて、何だと言うの!」

  最後の方は、憤っている、という感じの言い方だった。確かに、永遠に続く全身の痛みから逃れられないとなれば、それは呪いと言えなくもない。しかもそれが、神から与えられたものだということが、理不尽にさえ感じる。

 「今日、エアリアはたくさん力を使った。死者に安らぎを与え、あるべき場所へ魂を還して、多くの怪我人の手当をした。それで、一気に老いてしまったのよ。時間が経てば元には戻るけど、それまでは絶え間なく、体中を痛みが襲う・・・。」

 「その前に、儂に『守護』の力を与えて下さっている・・・。おかげで、あの銛の打撃をもろに喰らっても、何ともなかったのだ。」

 「それに、俺の雷獣の呪いの分もだ。出会った頃のエアリアは、もっと若かったんだ。幼かった、と言ってもいい・・・。だけど、俺の呪いをその身に振り替えて、常に今の見た目になったんだよ・・・。」

 「・・・そういう人なのよ。困っている人がいれば、救わずにはいられない。たとえその結果が恐ろしいものと知っていてもね・・・。私もおじい様からこの『課題』を与えられた時は嫌だった。反発さえしたわ。でも、エアリアという人を知るうちに、おじい様の考えが分かった・・・。今では、深く感謝しているわ。」

  みんながそれぞれに、エアリアに対して深い親愛の情と、同時に憐れみの情を持っているらしいことが窺えた。マールが今、ここにいて、どうしようもなかった人生が良い方向に向かい始めたのも、思い返せば全てエアリアのおかげだった。

 「僕達で・・・僕達でエアリアを救いましょう! 今は・・・まだできることはそんなにないけど・・・でも、いつか、必ず!」

 「・・・ありがとう、マール。ここにいるみんなが、同じ思いよ。」

 アルルの手が、テーブルに置いたマールの右手に添えられた。その手に、カイルの手が重ねられ、最後にガルダンの大きくて重い手が重ねられた。一同がお互いの顔を見て、強くうなずく。全員の向かうべき方向が、一つになった瞬間だった。

 まずは、ノストールでエーテルの神官を探し出し、『秘儀』を授けてもらうこと。それでエアリアの『呪い』が解ければ、それでよし。ダメなら、次の方策を考えるまでだ!

  そんな思いになっていた時、テーブルに宿の主人がやってきた。町の長が、お礼が言いたいと宿を訪れたそうだ。

 町の長は、タチアナと名乗った。老齢の丸々と太った女性で、柔和な笑顔を常に浮かべているような雰囲気を備えていた。丁寧にリザードマン討伐の礼を述べ、また死者や怪我人に対する措置も、見ていた町の人間から聞いて、深く感銘を受けた、と言う。

 「冒険者というのは、およそ荒くれ者とばかり思い込んでおりましたが、皆様のような方々もいらっしゃるのね。」

  タチアナはそう言って、その場にいた全員と握手を交わす。とても温かく、大きくて柔らかな手だった。「5人と聞いていたが、もう一方は?」と聞かれ、アルルはリーダーのエアリアは、疲れがひどくて休んでいることを伝え、非礼を詫びた。タチアナは大袈裟に驚いて見せ、落ち着いたらここではなく、きちんとしたスパのついた宿を、町から提供させていただく、と申し出てくれた。ここの宿の主人はいい顔をしなかったが、タチアナの部下と思われる男性が何事かを話すと、笑顔に戻った。

「ご配慮に深く感謝いたします。今夜一晩はこちらにお世話になり、明日の朝、そちらに移らせていただこうと思います。・・・それと、リザードマンについてですが・・・。」

  アルルはリザードマンについて、いろいろと尋ねた。それにより、ひと昔前はオルスク湖にもリザードマンの小集落があったが、その頃はお互いに干渉することなく、特に問題が起きたこともなかった、ということがわかった。そのうち、いつの間にかその集落からリザードマンたちが消え、オルスク湖の恩恵は人間が独占することになって、久しいという。

「私たちも、なぜ急に町にリザードマンが現れ、それも町人を襲ってきたのか、皆目見当も尽きません。今はカリランドのグール騒ぎで、町の常駐兵士も減りましたし・・・今後のことを考えると・・・不安です。」

  タチアナは併せて、一行にしばしここに留まり、町の防衛を依頼できないか、と提案してきたが、アルルは既に依頼を受けており、ノストールに向かう途中であることを告げ、それについてはお受けすることができない、とタチアナに伝えた。だが、エアリアが回復するまでの期間、できる限り町の防衛に手を貸す、と付け加え、ガルダンがその指揮を執ることとなった。

  翌朝、アルルとマールが、ナーイアスの恩恵を受けて意識を取り戻し、幾分回復したように見えるエアリアを連れて、タチアナの用意してくれた宿へと移って行った。

 その間、ガルダンとカイルは、残った兵士と町の男たちを動員し、防衛の準備を始める。冒険者の指揮下に入ることを渋った兵士長は、タチアナの一喝を受けて震えあがり、残った6名の部下を率いて、積極的にガルダンに協力するようになった。

 ガルダンも兵士長に理解を示し、慰撫したのが大きかったようだ。兵士たちは同年代のカイルとも話が弾み、リザードマンの弱点とされる、内側の鱗の薄い部分への刺突が有効なことを伝え、彼らの吐き出す毒液に注意するよう警告した。

 「なので、槍や弓矢が有効になる。距離を取って、1体に数人で掛かるようにするんだ。例えば、一人が弓矢で牽制して、残りの二人が槍で攻撃するとか。」

  実はこの話は、オルスクへ向かう途中、預かり屋からの情報を聞いたガルダンが、カイルやアルルに伝えたことを、そのまま受け売りで話しているだけだった。もっとも、そう言った当の本人が、戦いの熱に浮かされ、一番やってはいけないとされている鱗の丈夫な部位に攻撃を仕掛け、見事に失敗しているのだ。昨夜、アルルはそのことで冗談交じりにガルダンを責めたが、ガルダンは面目ない、と苦笑いを浮かべた後、

 「だが、二の攻撃でその硬い鱗ごと『開き』にしてやったわい!」 

と、自慢げに顎鬚をしごいていた。

  そのような話を初めて聞いた兵士たちは、目を丸くして喜び、カイルの冒険者としての戦闘の知識を褒め称えた。

 防衛の準備は順調に進んだ。町で一番高い、メルス教会の鐘楼に即席の見張り所を設け、昼夜の見張りを行う。南北二か所の入り口には大きなかがり火を準備し、『仕寄せ』と呼ばれる設置型の大型の盾を、互い違いに数個、配置した。

 また、道沿いにある建物の窓は板が打ち付けられて強化され、武器を取って戦えるものは槍で刺突の訓練をし、力のない女は半弓やクロスボウの訓練を行った。老人や子供は槍や矢を作り、余分な分は町のあちこちに配置して、誰でも使えるようにした。

 タチアナは急使をハイペルに派遣し、兵の増強を求めるとともに、付近の町の冒険者ギルドに依頼を出し、広く戦力を集めることにしたようだ。

 「ま、こんなもんじゃろ。せっかくの保養地が殺伐となってしもうたが・・・。」

「リザードマンが入りに来る温泉なんか、ごめんですよ!」

「違いない! しばらくは観光客も減るじゃろうが、命には代えられんだろうからな。まあ、あの女性が長なら、うまくやるじゃろうて。」

  夕方、ガルダンとカイルが大声で冗談を言い合いながら宿に帰って来た。エアリアはスープが口にできるほどには回復したと聞いてはいたが、マールはエアリアの部屋には入らないようにしていた。特にすることもなかったので、手帳にこれまでの記録を付け、余った時間は自らの盾の改良に充てた。

 ガルダンとカイルがスパで汗と埃を洗い流し、アルルもナーイアスにエアリアの看護を任せたところで、食事を摂ることにした。事情を聞いている宿の主人は、心づくしの御馳走で一行をもてなし、それぞれの部屋も最上級の個室があてがわれている。

 本日のメインは、有名なオルスク鱒のムニエルと、鴨のロースト、子羊のグリルなど多彩で、どれも脳みそがとろけるほどに美味だった。エアリアがこれらを口にできないのは残念だ。

 「いやはや、マールが加わってからというもの、美味い物にありつく機会が増えて困るわい。どうしたって、料理も酒も進んでしまうからのう!」

 ガルダンは言葉と裏腹に、満面の笑顔を浮かべてそう言うと、手づかみで子羊のグリルを口に運び、がぶりと嚙みついた。溢れ出た肉汁が、ガルダンの髭を濡らす。

 「ちょっと! ガルダン! エアリアがいないからって、無作法過ぎるわよ!」

「バカを言うな! こんな旨そうな肉を、小さく切り分けながら食うなんて言うのは、それこそ肉に対して無作法だわい!」

「冗談言ってないで・・・ちょ、ちょっと!カイルまで、真似しないでよ!」

  アルルが抗議するが、二人の手は止まらない。確かに、旨そうだ。アルルは「あなたまで、そんな真似はしないわよね?」とでも言いたげな目でマールを見ている。マールは一瞬躊躇したが、抗しがたい欲求が勝り、ガルダンと同じようにグリルを持ち上げた。驚いたような顔をしたアルルは、冷ややかな視線でマールを睨みつけると、俯いて首を横に振った。

  アルルの反感は買ったものの、かぶりついた肉は、まるで別の食べ物のようだった。ナイフで切り分けてしまうと、どうしても皿にこぼれることになる肉汁が、全て口の中に広がるのだ。その肉のみずみずしさに、マールは衝撃を受けた。なるほど、これならガルダンが言うことも一理ある。もちろん、正式の場では絶対にできないことだが。

 「す、すごい! 肉がこんなにみずみずしいなんて! アルルも試してみなよ!」

「ごめんです!」

  アルルはもはや誰とも目を合わせず、俯いて黙々と食事を進めた。あっという間に全員の皿が空になると、デザートのピーチパイと、リキュール入りの香り高いコーヒーが運ばれてきた。何から何まで、美味しかった。

  「ところで、町はどんな具合なの?」

  ピーチパイで幾分機嫌が直ったのか、アルルがガルダンとカイルを交互に見やりながら尋ねる。

 「今できることは、今日で大体片付いたよ。もちろん、町の人の訓練はしばらく続ける必要があると思うけど・・・。」

「うむ。またリザードマンが現れるとも限らんし、ハイペルにも近隣の町にも警戒と増援の要請はしてあるようだし、まずは大丈夫じゃろ。」

「そう。それは良かったわね。エアリアの方は、あと3日、と言うところかしら。そうしたら、無理をせずに旅を続けられると思うわ。」

「・・・そうか・・・。まあ、焦っても仕方ないから、ゆっくり休んでもらおうよ。」

 全員がエアリアの復調を強く願っている。やはりこの一行の中心はエアリアなのだ。

 こうして、オルスクの二日目も、無事に終わりを迎え、一行はエアリアと同室のアルル以外、それぞれの部屋に引き上げ、それぞれの思いを胸に、眠りについた。


「W.I.A.」
第1章 第5話 
了。



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