三つ子の魂百までも(番外編)15 3 ボーン 2023年6月11日 20:35 15その日、公一は恐怖と不安に包まれていた。大きな手術を受ける気持ちと同じ思いであった。公一は柔道四段の猛者であり、高校生の時は全国のベスト4にも入ったほどの実力者でもある。大学でも柔道をやり全国レベルであったが、オリンピックの代表にはなれなかった。身長は175cmぐらいで、体重は80kg以上と筋肉質の体系である。今でも時々道場に通い、後輩の指導をしている。だが、身体とは裏腹にメンタルが弱い。特に、オカルト的な事は信じるが故に、怖がりである。不安がる公一とは違い、裕美の表情は、明るく楽しそう。裕美は連絡を取り、二人は大島晃子の住むマンションに出掛けて行った。前回の様に、部屋に案内された後、大島晃子からこの様な事を聞いた。心なしか、大島はこの前よりも痩せた感じがする。「昨日も声が聞こえたの。アソコの箪笥よ、少しガタガタしたの!私怖くて、鬱になりそうなのよ」と、憔悴した表情だ。「音がしたのは、昨日ですか?」と、裕美は冷静に聞いた。「一昨日はしなかったの。でも昨日は、酷かったのよ。もう、こんなところ、いや!」と、泣き出しそうな、大島である。「大丈夫です。今日、はっきりとさせます。幽霊の正体を暴き出します」と、自身満々に答える裕美であるが、その表情に緊張を感じる。公一は、自分にだけには、霊が取り憑かない様にと祈っていた。時刻はまだ18時である。幽霊が出てくるには少し時間がある。私達は、食事をする事になったのだが、こちらはコンビニ弁当とおにぎりを買ってきた。大島さんは、料理を作るのが上手みたいで手早く料理している。見ると、チャーハンである。野菜サラダもある。コーンスープもある。それも人数分用意されている。気遣いのできる人だ!……きっと結婚したら良い奥さんになれる人だ。恋人はいるのかな?……と、公一が色々な思いを巡らしている時に、後ろから声がした。もちろん幽霊の声では無い。「公ちゃん。折角作っていただいたのだから、ご馳走になろうか?」と、優しいお言葉。有り難く、受け止めみんなでワキ愛愛と幽霊の事など忘れたかの様に、食事をした。公一と晃子は会話も弾み親しげにに振る舞っているのだが、裕美の眼光は、いつものよりも増して厳しかった。その姿勢は、いつでも、臨戦体制を組んでいる。裕美に対する畏敬の念をより深める公一であった。https://note.com/yagami12345/n/nac36ab2792fb ダウンロード copy #小説 #創作大賞2023 #連載 #幽霊 #どうでもいい話 #霊感 #売れないKindle作家 #ミステリー部門 3 この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか? サポート