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短編 ホラー小説 (ほら小説?)




この事は、私は書きたくは無かったのですが、
やはり、皆さんに報告すべきだ、と云う感情に駆られ
この事を伝えます。

それは、私が小学三年の時の事です。

いつも私は、学校が終わると友達と遊んでいました。
どの様に遊んでいたのかは、思い出せませんが、
ある時、隠れんぼをする事になったのです。

季節は夏が来る前だったと、記憶しています。
時刻は午後4時頃。
何人かの友達と遊びその中には歳上の人もいました。

隠れる場所を探していると、丁度良い土管があったのです。

その土管は、僕が入るにはちょうど良い太さで、高さも僕の身長よりも少し低く縦に置いてありました。

僕はよじ登り、土管の中に入ったのです。
しかし地面を掘ってあったのか、土管の淵に手が届く事が出来ず、飛び跳ねても土管の淵には届きませんでした。

「どうしよう。誰か居ませんか?助けて!」
と、僕は何度も叫んだのですが、誰も来ません。
また何度も飛び跳ねることを試みたのですが無駄でした。
段々と暗くなっていきます。

このまま、ここで死んでしまうのだろうか?
と、僕は心細くなっていくと同時に、睡魔に襲われて来たのです。

その睡魔は、僕の恐怖心を奪うかの様に、眠りに落としていきました。
どれ位寝たのでしょうか?
空を見ると、少し明るくなっていました。
「夜が明けたのだろうか?お腹が空いたな!誰も見つけてくれなかったら、僕は此処で餓死するのだろうか?」

と考えていた時、人の声がしたのです。
僕は直ぐに声を出し、助けを求めようとしたのですが、
その人達の会話が恐るべき会話なのです。

男が、「コイツをあの土管の中に投げ込め。」

「分かった。俺は頭を持つから、足を持ってくれ」

「よし、放り込むぞ、そら一二の三。」
と、僕の横に死体が落ちて来たのです。
運が良かったのか、死体が僕の横に通っただけで体には
触れずに落ちて来たのですが、僕は恐怖で身体が固まってしまいました。

死体を見る事も怖かったのですが、それよりも、この死体を投げ込んだ男達の方がもっと怖かった。
「見つかったらどうしよう」と思いながら、僕は死んだ真似をして目を瞑っていたのです。

男は土管を覗き込んでいるのか?声が聞こえて来るのです。

「おい、可笑しいぞ、もう一つ死人がいるぞ」

「嘘だろう。何処に」
と、云う声が聞こえてきます。
男は2人いるみたいです。

「子供みたいで、小さいな」
「此処に落ちて死んだのだろう。ほおっておけ。行くぞ」

と言って2人の男は死体と僕を残して何処かに行ってしまった。

僕は死体の顔を見るのが怖かったのだけど、怖い物見たさと云うのがあるのか、興味が湧き見て見ると暗い為か、顔の表情は確認出来ず、少し安堵したのですが、
それと同時にまた恐怖心が目覚めたのです。

夜が明けたら、必ず誰かが探してくれるはずだ!
お母さんが警察に言うはずだ!
と、僕は一縷の希望を抱いて死体の側にいたのです。

でも、誰も探しに来なかったら僕もこの死体と同じになるのか?
その様に思うと悲しくて、悲しくて涙が溢れ出しました。

泣いている場合では無い。
どの様にして土管から脱出するかを考えないといけない。
もう1人の自分が、僕を勇気付けたのです。

希望は勇気に変わり、挑戦に変わります。
逆に、絶望は臆病に変わり、逃亡に変わります。

希望を持った私は、死体を見て気がついたのです。

「死体の上に乗れば、手が届くかも知れ無いと!」

気持ちが悪かったのですが、死体の向きを変え、寝そべっている死体を起こし座らせ、その肩の上に乗り上げ、思いきりジャンプを試みたのです。
運が良かったのか僕の手が、土管の淵には届きました。
渾身の力を込めてよじ登り、何とか脱出に成功しました。

「やった!僕は凄い!」
と、自分で自分を褒めていました。

僕は急いで家に戻りました。

そこには、憔悴したお母さんの姿がありました。
僕を見るなり抱きしめてくれました。

涙声で「馬鹿、何処に行っていたの?本当に・・」
と、言葉にならない声で。

お父さんは、無言で僕を見つめていました。

「御免なさい。土管の中に入ったら出られなくなったの」
と僕は泣きながら言ったのです。

お父さんは、何も言わず首を「うんうん」と動かしていました。


「お前、臭いな!すぐにお風呂入りなさい」
と、父から言われ僕はお父さんと一緒にお風呂を入ったのです。

お父さんは僕の体を洗ってくれました。

「何でこんなに臭いんだ。」とお父さんが聞くので

「僕の居た土管の中に、死体を投げ込んだ人がいたの。
僕は怖くて死んだ真似していたの」

「あの土管の中にいた子供は、お前だったのか」


           完






















少しはゾクっと来ましたか?
この話が本当だったら怖いですね。

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