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(新々)三つ子の魂百までも 7


「例のカメラは、心が綺麗で正直な人しか霊を写し出す事はできないのです。
最近の私の撮る写真に霊は写っていない。
私の心の色は写るのですが、霊は全く写らない。本当に、自分が嫌になります」
と、残念そうに下を向き僅かに首を左右に振る。

林田さんの気持ちが、こちらにも伝わってくる。
「あの〜心の色が写ると言っていましたが、
どう云う事でしょうか?」

と、僕は疑問に感じて尋ねてみた。
林田さんは、静かに顔を上げ僕の目を見た。

「この前、言わなかったかな。
例のカメラで撮ると、綺麗な心の人は霊が撮れるのですが、そうで無い人は、
その人の心の色が写るのです。
良いのは、青色からはじまり黄色になり、赤になる。信号機みたいに変わるのです。赤になる人は、付き合うと危険ですね。
もっと酷いのは黒です。
黒の人は今まで会った事は無いのですが、
赤の人は一人だけ見ました。」

「面白いですが、自分の心が赤だったら、嫌ですね。」
と、僕の心が誰かに覗かれるみたいで嫌な気分になった。

「そんな事はさて置き、この案件は、飯島さんの力が必要です。
飯島さんなら、霊の写真を撮る事が出来るかも知れません。」

と、林田さんは裕美さんを真剣に見つめている。

林田さんは、裕美さんよりも少し歳上の33歳ぐらいだ。
独身でアパート暮らし。顔は男優の西島何とかに、少し似ている。
好青年でイケメンだ。だけど年齢の割には少し頼りが無い。

裕美さんは、真剣に見つめられて照れたのか、

「・・・、私の力が必要だって・・・(^^)」
と、嬉しそう云う。

「でも、裕美さん。さっきはヤバイ!って言ってましたよ」
と、僕は裕美さんを制する様に少し強く言った。

僕の言い方が強く聞こえてのか、
しばらくの間、沈黙の時が流れている。
気まずい雰囲気の中で、
僕の食べる煎餅の音だけが響く。

「先ずは、その少年に会ってみましょう」
と、裕美さんが気まずい雰囲気を壊すかの様に、明るく言った。そして、

「その少年に連絡取れるでしょ?
林田さんなら」
と、林田さんを熱く見る裕美さん。
…何故、瞳を輝かしているの?…
僕の心の奥に嫉妬の火が灯が付いたみたいで、何とも言えない不思議な気持ちになった。




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