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(新)三つ子の魂百までも(23)


23

松田夫妻が帰った後、事務所には僕と裕美さんと修と美乃と
林田さんが残っていた。
直美さんは、松田夫妻を見送りに駅に出向いた。

久しぶりに修と会う。
「公ちゃん。この前公ちゃんから聞いた公園に行ってきたよ。
公ちゃんの云う通りベンチが曲がっていたね。
あれは、高温の熱で曲がったんだね。何の熱かな?」
と、修らしくなく興奮した言い方だった。

林田さんは、僕と修が双生児とは知らなかったみたいで、
少し驚いている。

「皆さん、鯛焼き 買ってきました」
と、美乃が自慢そうに言った。

「林田さん、この女の人は、僕の姉で美乃と言います」
と、僕が紹介すると、
「お姉さんって、えっ〜。」
と、林田さんは驚いている。
「実は私たち二卵性の三つ子なのです。」
と、僕は林田さんをもう一度驚かせた。

「そうなんだ!三つ子ちゃんなの。」
と、感心しているかのようだ。

鯛焼きをみんなで、和気あいあいに頂きながら、先程とは違い和やかな雰囲気の中、裕美さんが言った言葉に場が凍りつく。

「 妖怪に男性は気をつけ無いといつ被害者になるかも知れないよ、これは本当だよ。いつ蒸発させられるか解らないよ!」
と、稲垣淳二ばりの低い声で脅かす様に言った。

「この妖怪って男だけ狙うのですか?」
と、修が聞いた。

「そうみたいね。男を誑かして誘って、蒸発させるの。
死体も残さないから、警察も捜査出来ないって云うか、
事件性を感じてもそれ以上どうしようもない。」
と、裕美さんが警察の気持ちを代弁するかの様に言った。

「今度、あの女刑事に事実を言ってみます。」
と、僕は決意を込めて言った。

裕美さんの言った通り、この恐ろし事件は、まだ続くのである。

警察ではこの事件をどの様に捉えて良いか解らずにいた。
ホテルに男女で入っているのは目撃されているのは間違が無い
だが、防犯カメラに写っているのは男だけで女はいない。
そして男も行方不明になっている。
この様な事件が、相次いで起こるのだ。
全く手掛かりが無いし、犯人の動機が解らない。
男の持ち物はいっさい盗まれておらず、お金もそのままになっている。
雲を掴む様で何も出来ない。

僕は岡光子さんと、この前会った喫茶店で待ち合わせをした。
もちろんこの事件の事を伝える為である。
でも、彼女は笑っているだけで、信じてくれなかった。
当然といえば当然だが、この事件は終わる事が無いであろう。

「人間には解決する事は不可能である。誰か助けてくれ!」
と、僕は叫んでいた。

その声は、霊界に聞こえたのか、聞こえなかったのかは解らないけど、この妖怪に対して怒りを持つ正義感溢れる霊がいた。
その名は貞子では無くて、皿子!

「生前は人柄も良く、皆んなから愛される存在だった」と、皿子は
思っていた。
人の嫌がる事は積極的に行い、人には優しく
いつも親切な人だった。正義感にも溢れ虐められている人を助け、悪と戦う女。
皿子はその様な人だった。
だが、不幸にも皿子は死んだ。
当然天国に行ったのだが、そこの神は美人だけを愛する神であった

皿子の容姿は醜かった。
神は無慈悲にも皿子を天国から追放したのだ。
皿子は決意を固めていた。

人間界で悪霊と戦う事を誓ったのだ。
そして、神を見返す!
その事が皿子の生きる支え?となっていった。
この次からは、皿子VS妖怪のお話し になります。

https://note.com/yagami12345/n/n083e34ebd3e4

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