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「最後の戦犯」放映

亡父が主人公となったドラマ「最後の戦犯」は、NHKが三年越しで制作の末、昨年末に放映された。放映後はたくさんの方々から、多くの感想、ご意見を頂いたので、後ほど匿名でご紹介する。この番組が実現に至る、ことの顛末には四つの偶然が重なった。その最初の発端は、私が仕事で接点があった日本フィランソロフィピー協会という弱視者支援を目的として設立された社団法人が、堺屋太一経済企画庁長官が2001年に主催した「インターネット博覧会―楽網楽座」にエントリーする際に、私にコラムの執筆を依頼したことに始まった。そこで私は亡父の戦犯逃亡地であった多治見を訪問した思い出を書いた。第二のきっかけは戦後六十年史の特集記事を企画した日経新聞の記者が、この記事を読んだことのある方で、コラムに記述してあった亡父の残した資料の閲覧と記事紹介を求めたことだった。日経新聞記者は社旗を立てた黒塗りベンツで、カメラマンを連れて拙宅まで取材に来たのである。そして第三のステップは日経新聞社会面に紹介された亡父の戦犯記事を読んだ、エッセイストである小林弘忠氏が資料の閲覧と貸与を申し出たことだった。この貸与に応じたことで小林弘忠氏は「逃亡~油山事件戦犯告白録」を執筆して、毎日新聞社から2006年3月に書籍が刊行された。この本は日本エッセイスト賞を受賞の栄誉に浴し、この表彰に感激した小林弘忠氏の懇願とご配慮で、なぜか私まで表彰式に主人公の息子として同席することとなった。ここまでは「ビールの流星」22号で以前に紹介したことのある経緯であった。

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