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「スズメの戸締り」を鑑賞

「スズメの戸締り」を鑑賞。封切りからかなりの日数が経っているので、かなりのネタバレ。宮崎県の田舎町で叔母の環と二人で暮らしていた高校2年の少女・鈴芽。ある日に行者のような美青年に請われて、山中の廃墟に導いた。青年は現世と異世界の扉を守る「閉じ師」宗像草太だった。鈴芽はその廃墟で、偶然かつ無意識に扉を開いてしまう。開いた扉からは巨大な「みみず」が姿を現し、天変地異を引き起こす。「ダイジン」と呼ばれる物言う猫に導かれながら、鈴芽と草太は全国に散らばる扉に鍵をかけて閉めて回る。しかし草太に予期せぬ危機が訪れて、鈴芽は生まれて初めての恋を知る。そして草太の救出を通して、自らの過去と再会することになる。

https://suzume-tojimari-movie.jp

 話題となったアニメ映画を観る時は、常にスタジオジブリ映画と心の中で比べながら観てしまう。宮崎駿監督の後継者は誰か? それはもう動員力や興行収入から言えば新海誠監督に他ならない。美しい映像、天地をテーマとしたスケールの大きさ、異世界の創造力、環境問題を取り上げる社会性、音楽の現代感、どれをとっても桁違いに傑出している。『すずめの戸締まり』ではヒロインである鈴芽の決然たる愛と覚悟が際立っている。宮崎駿監督と新海誠氏の映画は、共通するところもありながら、いくつかの点で相違を感じる。何項目かを自分なりの感性で比べてみよう。違うからこそ、ジブリ映画とは違う個性を際立たせたのだろう。そこが若者たちに強い支持を受けた要因で、それでいてジブリ世代には微妙な違和感を感じさせるポイントなのだろう。以下はあくまでも私見。

1️⃣あらすじ〜(ジブリ)ところどころ難解、(新海誠)ハッキリわかりやすい

2️⃣表現〜(ジブリ)婉曲で丸み、(新海誠)直裁で鋭角的

3️⃣恋愛〜(ジブリ)あるかないかのほのかな慕情、(新海誠)強い決然とした恋心

4️⃣映像〜(ジブリ)漫画っぽい、(新海誠)アニメっぽい

5️⃣音楽〜(ジブリ)久石譲、(新海誠)RADWIMPS

6️⃣原作〜(ジブリ)自作から原作へ移行(新海誠)自作

7️⃣舞台〜(ジブリ)架空の国、(新海誠)都会と田舎

 蛇足であるが、この映画は日本全国を転々とする設定だが、東京の舞台は御茶ノ水。それも聖橋から「みみず」が噴出するので、その背景に日販本社ビルが何度も登場する。観ながら『おーっ、日販だ』と何度も見入ってしまった。そんなに好きなら、辞めなきゃよかったのにと言われそう。

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