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NHK「逆転人生」傷だらけの天才力士〜照ノ富士 奇跡の復活劇〜

NHK「逆転人生」に照ノ富士関が登場。題して「傷だらけの天才力士〜照ノ富士 奇跡の復活劇〜」。皆さん、ご承知のように照ノ富士春雄関は歴代第三位のスピードで優勝し、23歳の若さで大関に昇進。向かうところ敵なしで、横綱の一歩手前だった。しかし膝のケガと糖尿病で、大関から序二段まで陥落した。その後、再起をかけて好成績を続け、昨年7月場所で幕内復帰。その場所で幕尻優勝して、今年の初場所では東関脇に昇進している。ここまでは誰でも知っている話。
https://www.nhk.jp/p/gyakuten-j/ts/JYL878GRKG/episode/te/RQKXPXV1Y9/
 しかしさすがにNHK。取材力が深い。照ノ富士の父親が経営していた会社が倒産して、家族は無一文になったことが角界入りの動機であったこと。横綱を目前にしていた時期に、タニマチに連れられて、1日に20本もシャンパンを飲んでいて、糖尿病の原因になったこと。照ノ富士関が伊勢ケ浜親方に引退を申し出たことは知っていたが、5回も申し出ていて、その都度慰留されていたことはまでは知らなかった。またドン底の時期に、恋人だったモンゴル留学生ツェグメド・ドルジハンドさんに支えられて結婚していたこと。結婚情報はおそらく本邦初公開。部屋の仲間も、気を遣いながら、寄り添ってくれていた。別の番組で、当時の照ノ富士関が照強関と一緒に風呂に入っている時の笑顔が印象的だった。照ノ富士関は地位が下がって落ち目になった時期に「ファンだと言っていた人々がドンドン離れていった」「自信がなくなった」と、当時の自分を振り返っていた。そんな時に支えてくれた親方、部屋の仲間、奥さま。応援してくれる人のために頑張ろう』と思ったと言う。そこから好きだったお酒も断ち、苦手だった摺足やテッポウに励み、投げに頼らず寄りに徹した。その努力の結果が、今の復活劇である。
 照ノ富士関自身は「大関に戻りたい」と言う。決して「横綱になりたい」とは言わない。復活したと言っても、まだまだ膝の不安が消えないのだろう。現に9月場所では膝の悪化で終盤に途中休場している。だから自分に残されている時間が限られていると自覚しているのではないだろうか。復活劇は未だ途中。先ずは大関復帰の晴れ姿を早く見てみたい。そして一つ言えることは、照ノ富士関は角界に残ればいい親方になることだろう。連戦連勝していたまま引退して親方になっても、弟子の苦悩や努力をわかってあげることはできなかっただろう。

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