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「シン・ウルトラマン」鑑賞の感想、やっぱりゴジラと比べちゃう

映画「シン・ウルトラマン」を鑑賞。

https://shin-ultraman.jp/sp/

 ネタバレ禁止でストーリーには触れず。「ウルトラマンとは何者なのか?」「なぜウルトラマンは地球の側に立ってくれるのか?」という二つの主題を科学的に、そしてメンタルも次第に解き明かしてくれる。つまりウルトラマンのレーゾンデートルの実証である。序盤からダイナミックな怪獣シーン続出。ウルトラQ的な演出にも、われわれ世代はニンマリ。出演俳優たちの演技も良かった。特に斎藤工は大好きな俳優で、その峻厳さは清冽な魅力があった。長澤まさみも体温と人間味を感じさせる好感度。かつてのウルトラシリーズをオマージュするサプライズもあった。泣かせどころも心得ていて、ところどころでウルっときた。なかなか良い映画であった。

 しかしである。感想としては、どうしても傑作「シン・ゴジラ」と比べてしまう。ウルトラマンは人間に寄り添う神秘的な存在、ゴジラは孤高で神々しい。これは自分個人の感想でしかないが、ウルトラマンへの愛情はゴジラを上回ることができなかった。地球🌏がどんなに危機に陥っても、武蔵小杉でゴジラが自衛隊と対峙する高揚感には及ばない。新橋・浜松町に火炎放射するゴジラほどの緊急性は感じない。ここは少しネタバレになるが怪獣よりも宇宙人の活躍が主体だったのも、怪獣ファンには少し物足りない 。音楽も伊福部昭の名曲と比べると、米津玄師も色褪せる。

 本作品の文化的意義を考えると、2012年に開催された東京都現代美術館「特撮博物館」以来ずっと成田亨の絵画やデザインを庵野秀明監督が復権を図ってきた。そして今回の映画の下地として集大成としてくれた。成田亨は長く円谷プロとの裁判状態にあり、その業績が認められない悲劇があった。庵野秀明監督は自らきっかけを作り、辛抱強く今回の桧舞台に導いた。映画の面白みとは別途に、本作品の果たしたアシストを評価したい。

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