【所感】デジタルマーケティングは研ぎ澄まされていく

Googleが2年以内にcookieのサポート終了を発表しました。

昨年までのSafari、FirefoxでのITPに加え、Googleもcookieのサポート終了を発表したことで本格的にcookieを活用した広告は終焉に向かうとされています。(厳密にはタグに特殊なラベルを付与する等の対応を行うことで活用は引き続き可能な部分があるみたいなので100%活用できなくなってしまうわけではないみたいです。続報を待ちましょう)

一部ではcookie、すなわち閲覧履歴をもとにしたターゲティング広告の終焉は、デジタル広告を生業とする代理店や、その先の広告主のマーケティングにおいて大きな痛手であり厳しいとされていると思います。

実際、いわゆる「リマーケティング広告」と言われる広告手法はcookieを基にユーザーを判別し、顕在層に対して的確にデジタル広告を配信できる画期的な広告手法として、10年近くデジタル広告の中心であり続けたことは事実です。これがこれから有効活用できなくなっていくことは、これ自体を捉えると非常に痛手ですし、大きな機会損失になり得ることはその通りだと思います。

私も代理店勤務が長いので、短期的な売上や広告効果の減退を考えると楽観視できる未来ではないと思い、強い危機感をもっています。

ですが、危機感以上に強い期待感もあります。10年続いたcookie活用の技術がデジタル広告市場で覇権を握ったように、この動きに合わせた新しい技術や広告効果計測、配信の仕組み、考え方は必ず生まれてくるのではないでしょうか?

既にITPの危機感からプラットフォーム自体のアプリ(端末IDでの配信と計測)シフトを進める企業や、顧客データベースを活用する、いわゆる”CDP(Customer Data Platform)”として去年のキーワードの1つとなっていた考え方を始めとして、新しい広告の主流に向けた開発、考えはどんどん進んでいます。

ITPや、Googleのcookieサポート終了の背景や欧州のGDPRの流れもそうですが、基本的には「求めるユーザーに適切なものを与えること」「不快感を与えないこと(=不適切なものを見せないこと)」だと思っています。それを考えるとこの流れはユーザーからすると、「より求める人は求める姿勢を開示することでデータを提供し、適切な情報(≒プロモーション)を受け取る」というWin-Winな仕組みが更に一歩前進していくきっかけ、と言えると思っています。

テクノロジー開発も進みますね。EC企業のディノスセシールはこんなリリースを出しています。

cookieに頼らない広告技術開発を行う会社を買収するこの動きは、企業として正確でスピーディーな素晴らしい判断の一つと言えるのではないでしょうか?(もちろん、うまくいくかはわかりませんが)

こうした「データ提供」を通したユーザーと企業の利害関係の一致、その精度の向上であったり、ディノスのリリースにあるような企業間の新たな連携、cookieなきマーケティングに特化した新しいプレイヤーの登場等、一見ネガティブに捉えられがちなcookieの廃止は、デジタルマーケティングを洗練させ、新しいプレイヤーの登場やプレイヤー間の連携加速で、むしろもう一段階盛り上がるフェーズに来ている、とすら思えます。

これからの続報や、cookieなき世の中に向けた動きに注目していくとおもしろく、そしてデジタルマーケティングを勝ち抜く術を見出していけそうですね。

それでは、また次回

まとめると、「cookie活用は今後トレンドから外れるがそれはネガティブではない。むしろノンcookieなデジタル戦略のための試行錯誤、新興プレイヤーの登場は、業界を間違いなく再度盛り上げるきっかけとなる。乗り遅れず、動き出したものが勝つ。」

でじたるヤドン


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