見出し画像

夫婦別姓じゃないせいで現金が引き落とせない!

今月突然私の中国の銀行口座からお金が引き落とせなくなった。

限度額超過と書かれていたけれど、限度額までおろしてなんかない。

そしてやっと原因がわかった。

銀行に登録している私のパスポート番号が期限切れになっていることが理由だった。パスポートは期限の切れた二月にすでに新しく更新している。勤務先の大学にも知らせてある。でも銀行での手続きはされていない。

苗字が変わっているからだ。

銀行に登録されている名前は私が結婚していた時の苗字だが、新しいパスポートは離婚後の苗字。

これがどういうことになるかというと、中国では別人扱いになるのだ!

そもそも選択の自由もなく結婚後は夫婦同姓なんてやってるのは日本ぐらいじゃない? 中国も古代はそうだったけど、現代は別姓が基本だし、韓国人先生夫婦も別姓、ドイツの友人にいたっては、三度目の結婚では死別した二度目の旦那さんの苗字を再婚相手と共に名乗っている。※三度目の結婚相手は二度目の結婚相手と友人関係でその死を悼んでいるので改名。

何とかならないかと同僚のアン先生がカードを作った銀行に問い合わせているけれど、「前例がないので上に判断してもらう」となってから、一向に連絡がこない。アン先生は「待つしかない」と言っている。

そうこうしているうちに月末が迫っている。保険や年金の引き落としがある。

月初めにはカードの引き落とし。今月、iPhoneを一括で買ったこともあり、その他もろもろ、飛行機代やらなんやらで11万を超えている。

はっきりいってもう詰んだ……

毎日仕事を探していて、応募したり登録したりしているけれど、一向に決まらない。

隣の鉄人にはレジでもやったらどうかと言われているけれど、本当にもうそれしかないんだろうか。

正直大学の仕事をしながらダブルワークはきつい。去年それで体を壊したしストレスの限界で腰痛も悪化したので島に療養にきた。

今また島に来たのは、日本語教育能力検定試験の受験勉強をするためだ。
でもまたあくせく働けば、そんな時間もなくなるだろう。

勉強したことは今実践で役に立っている。苦手な人が多いという音声学も勉強してみたらおもしろくて、品詞の名前を覚えるよりも実際に学習者に対して使えることが多い。

私の仕事は授業時間だけが仕事じゃない。そのための準備もさることながら、ほぼ24時間学生や卒業生に対応している。

最近は、今年日本に留学予定の男子に毎日日記を書かせて添削している。なぜなら彼の日本語レベルが低すぎるから。彼は本来留学できるレベルではないのだけれど、この時期ということもあり、競争相手がいなかったため、選ばれた。でも留学先の授業レベルは高いと今留学している学生からも聞いている。彼の留学がつらいものにならないように、レベルを引き上げるべく無償で個人レッスンしている。

ようするに私はおせっかいなのだ。

あと昭和のやくざの親分気質みたいのもあって、一度受け持ったクラスの学生は卒業しても面倒を見るし、困ったら必ず助ける。

だから日本語教師になった卒業生や仕事で日本語翻訳や通訳の仕事をしている卒業生や日本にいる学生たちからも困ったときには連絡がくるし、そのすべてに対応している。

それが金になるのかというと決してそうではないけれど、金になるけどただただ時間で稼ぐだけの仕事よりも自分にとってはやりたいことなのだ。

レジならコンビニもスーパーも経験したことがある。
そのうえで、私はあまりやりたくない。

コンビニの時は、レジの不足金が出るとみんなで補填するという謎ルールがあり、私は一人「おかしいだろ!」と払わなかった。店長がやっているからといって、なんでバイトやパートまでやるのかと。
すると店長の腰ぎんちゃくのパートのおばさんがくだらない嫌がらせをしてきたけれど、相手にはしなかった。
でもロッカーに日々入れられる手紙の一つに「恥(はじ)を知れ」とふり仮名を振られたことに私はブチ切れる。

「恥」ぐらい読めるわっ!!!!!

それ以外のことでは何言われようと無視してたけど、ここで私は「うるせー!!!!」となり、そのおばさんはすっかりびびって何も言ってこなくなったというエピソードが。

何が言いたいかと言うと、この自分のこだわり部分が活かせる今の日本語教育の仕事なら、いくらでも惜しみなく時間を使うが、ただ時間でお金のために働くことはどうにも耐えられないということ。

でも生活していかなければならない以上、そんなことも言ってられない。

レジも清掃も工場労働もホテルもデパートも農家も屋台もわりと色々経験してきた。ライターも校正も事務もコールセンターも……。

今やってる大学の仕事が気づけば一番長いかも。
でもまたバイト生活か。
これまで積み重ねてきたものは一体何だったのかとは思うけど、それもまた私の人生で、それがどこでもどんな仕事でも、いろんな人たちと関わって、いろんな縁から人生ネタが豊富になっていったように、それもまたいいのかもしれない。

と、自分に言い聞かせつつ、仕事を選んでる場合じゃないから、生活のために働く方向にシフトしていくべきなのかと悶々としている。

しかし今もなおどんどん宿題の解答が届く。
私は提出された宿題を必ずすべてチェックして、どうして間違えたのかを解析して、アドバイスを書いて修正したものを送る。
するとまた学生が修正して送り返してくる。
それに対して私はよくなった点、まだ癖になってる点を書く。
そしてまた学生は送ってくる。
この繰り返し。

学生がやる気がある以上、とことん付き合う。
だから一度宿題や課題を出すと、延々とやりとりが24時間体制で続く。

それが数十人分。

今現金報酬がもらえないから、報酬はただ学生の進歩と成長、それだけ。

その成長をさらに促すための日本語教育能力検定試験の準備だったけど、ここに生活費を稼ぐ時間というのものが必要になってくる。

もう若くもない。残りの人生の時間を考えたときに、ただ時間をお金に変えていくだけの仕事はしたくないと思い始めたのにまたそこに戻りつつある。

貯金が少したまると人に貸したり使ったり、現金が引き出せなくなったり、まるで賽の河原だ。

でも逆にそれでもここまで生き延びてきた自分すごいとか思ったりもする。

上海が封鎖されて食料争奪戦が起き、食べ物もろくに手に入らない状況だというが、お金はあるのに食べ物が手に入らない状況に比べたら、私は今お金はないけれど、人の情けで食べ物は食べられてるから幸せなことだ。

私の現金引き出しのために奔走してくれているアン先生も

「コロナであまりにも多くのつらいことがある。例えば、主人が隔離された子犬は、世話する人もなく、餓死したり殴られたりしている」

と言っていた。

コロナで病人が出ても病院にも行けず薬も飲めないとアン先生は言うし、今中国じゃなく日本にいるだけでも自分はラッキーなんだと思う。

私に毎晩中国語を教えてくれている男子は、昨日突然レッスンを中断。実習で働いている学校の学生が熱を出し、先生として研修に行ってるので自分も感染する!と言っていた。
感染はしなくとも、この学校も封鎖だろう。
40キロ先に感染者が出ただけで、夜中の二時にたたき起こされて寒い中全員外で強制PCR検査だったのだし。

しかしそれにしても現金がないのはつらい。GWに留学生が来たら色々おいしいものを食べさせてあげたいと思ったけれど、それもできない。

六月に日本の研究室に来るアン先生の生活費を助けるために何かしたいと思ったけれど、今の自分には余力がない。

何より自分の支払いができず、このままでは友だちに借金するしかない。それは非常に心苦しい。

私から借りてそのまま返さなかった人たちは、こんな気持ちは味わってなかったんだろうか。まあ、味わってないからこそいまだに返してこないんだろうけど。でも結局そこで縁は切れたと思ってるし、「友情を壊したくないなら友達に金は借りるな」という父の言葉も最もだ。

じゃあ、金融から借りるしかないのかってなるけど、利子の支払いに追われるんだろうな……。

島の古民家は家賃なしで住ませてもらっててありがたいし、光熱費の支払いまで滞納では申し訳なさすぎる。

本当になんでこんなことになったのか……

当初の計画がガタガタである。

まあそれでも生きてるし、食べるものもある。

結局人生に自由意志はないって話が私を楽にするところもある。
もうそうなるようになってると言われたら、仕方ないとしか思わんし。
何かやろうと前向きになっていても、それが頓挫するならば、それはやろうってことじゃないんだってことなのかもしれないし。

しかし生きてる限り腹は減るし米も減る……。

さすがに消しゴム買わないとノートが作れないので買いに行く。
お隣の車を借りているけれど出かけると燃料が減るし燃料代を払う余力が今ないのでなるべく車を使いたくはなかったけれどしかたない。

悩んだけど柔軟剤も買ってこよう。
なにせ寒い。敷パッド使いたいけど洗わなきゃ。そしてせめてふかふかにしたい。今柔軟剤使わないで洗濯してるけどやっぱなんかちがう。

ほんとはアロマジュエルでにおい付けもしたい。
しかしそんな贅沢も今できない。

そうなんだよなー。なんでお金がほしいかっていうと、生活の質を上げて満足度を高めたいからってそれに尽きる。

今月東京で食べたもので一番おいしかったのは友人宅のたまごかけごはんだ。たまごは私が買ってるものの二倍以上はする値段。醤油も高級。でもそこにこだわるからこそおいしいわけで満足度も高い。

そんな生活ができるぐらいの稼ぎがほしい。

おにぎりの海苔も買うか迷って、塩むすびにしようってなる今の生活はつらい。

まあ塩むすびでも昔働いた農家の米は新米を自宅で精米してて、冷めてもおいしいし、黄金の稲穂畑を見ながら食べる塩むすびは生涯忘れられないおいしさだった。

食べたいな・・・あの塩むすび・・・

と書いているところでおなかが鳴った。

一日一食生活も考えてるけど、一日三回きっちりおなかがすく自分には難しいかもしれない。

なんにしても、消しゴムとハンガーは買ってこよう。あとサランラップか。

これで所持金小銭だけになるだろう。
今財布には二千円。

口座は封じられ、使える現金もない。

そして待っている来月頭のカード支払い……

詰んだな……

大学の給料の振り込みは毎月十日。

でも引き落とせない口座に振り込まれても……

せめてこの給料どうにか私の手に入らないだろうか。
入ったとしても支払いに追いつかないのだけれども……

だめだ、おなかがすいているからたぶん今悲観的になっている。

とりあえず何か食べよう。

今月いっぱいはまだ食料大丈夫。地元からの食料支援もあったし、なんとかいける。そう考えたらやはり今上海に住んでいる人よりはマシなのかもしれない(上海人の知人とも連絡つかなくなったし)。

でもこの食料が尽きたら、次いつ食料が手に入るかわからないって状況は同じ。しかも現金なくて買えないから、近所のボスの畑の手伝いでもして、野菜をわけてもらうとかするしかない。

それまでに何かバイト決まればいいけど、即日払いでもない限り苦境は変わらないだろう。

しかし、最初は中国政府に口座凍結されたのか!と思ったけれど、結局は夫婦別姓をいつまでも認めない日本政府のせいだったとは!

ほんと結婚って私的には何得だよって話。
でも昨日元旦那の夢を見て、相変わらずで、夢の中でも嫌な思いして
「これ夢だから!だいじょうぶだから!」と自分で自分に言ってるのはウケた。そして起きてから心底夢でよかったと思った。

向こうは離婚後私のように日本での生活に困ったりしてないし(実家で親の世話になれるから)、お金引き落とせなくなったりはないし(苗字変わってないから)、若い彼女ができたというし(私は彼氏なんてできない)、なんでこっちばかりこうなんだよ!と思ったりはするけれど、それでも新しい朝が来ることを信じて、ひとまず消しゴム買いに行こう。数日悩んだけれど、やはり消しゴムは必要! 試験勉強を引き続き続けたいから。もう過去問とか買えないし、受験料どころか願書(400円)を買う金もないけど……。

まずは消しゴム! 百均へGO!







この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?