シナモンロール

心がときめくのは自然・歴史・アート。山をさまよい、書に耽溺し、美術館や博物館を味わいな…

シナモンロール

心がときめくのは自然・歴史・アート。山をさまよい、書に耽溺し、美術館や博物館を味わいながら、小さな驚きや発見を探し求めるボヘミアンなシニア・ウーマン

最近の記事

暮らすとしたらどちらの社会がいいですか?

一切のセクハラを許さない社会がいいか、 それともささいなことは許容して男女のかけひきなども楽しんでしまう社会がいいのか。 なかなかむずかしい問題である。 『フランス人の性 なぜ「#Me Too」への反対が起きたのか』(プラド夏樹著)を読んだ。 ずいぶん前から、フランス人の意識や価値観が日本人のそれとはかけ離れていることには気づいていた。 そう感じるようになったのは、たぶん初めてパリにいった十数年前からだと思う。 名所旧跡を見ようと出かけていったのだが、それ以上に印象に

    • “愛”をめぐる見解、そこからつらつら考えたこと

      今朝の新聞のコラムにこんなことが書いてあった。 ――愛とは自分のことはさておき、相手を思いやること。自分の欲望が先にくるのは愛ではない……。 まぁ、ね。 そうなんだろうけれど、さ。 ついつい心の中で楯突きそうになる。 もしこの定義が正しいなら、わたしは自己卑下しないといけないだろうからである。 そりゃぁ、わたしだって、瞬間的には自分より誰かのことを大事に思うことはある。 でもそれは瞬間風速に近い感じで、とても愛などと呼べたものではない。 正直に白状すれば、わたしはた

      • 平穏を求めすぎてはいけない

        やる気を出したい。 なんとなくではあるが、そして漠然とではあるが、ここのところいつもそう思っている。 やる気が出ないと何か困ることがある、というわけではない。 やることが多すぎて時間に追いまくられている、というわけでもない。 実際にやる気がなくて無為な1日を過ごしている、というわけでもない。 生産的なことも少しはやっている(と、本人は思っている)。 何が問題なのかというと、以前よりも「やる気に満ちた日」が減ってきたことだ。 もう人生の4分の3を終えた

        • 年の瀬に、凹んでいる自分にエールを送ってみる

          今年も終わろうとしている。 全体的には悪くなかったが、ひとつ、石につまずいた。 状況を適切に判断できず、対応が少々まずくて、結果としてある人と気まずくなった。 その傷をいまだ引きずりながら、年の瀬を迎えている。 あのとき、もう少し思慮深く行動していれば…… あそこで事態を軽く考えず、もっと慎重に行動していれば…… 悔やんだり反省したりを繰り返している。 いまさら過去に戻ってやりなおすことなどできないのはわかっている。 ただ、自分がどこでどんな判断ミスをしたのかは気

        暮らすとしたらどちらの社会がいいですか?

          これが大人の恋愛?

          松井久子著『最後のひと』を読んだ。 帯には「75歳になって、86歳のひとを好きになって、何が悪いの?」とある。 何も悪いことはないと思う。 わたし自身、老齢期の孤独を実感する年齢域に入った。 恋愛とまではいかなくても、人といい関係を築いていきたい。 孤独感をうまくやわらげて残りの人生を有意義にしたい。 そんな気持ちが以前よりも強まってきている。 なので、なんらかのヒントが得られればと期待しながら読み始めた。 ふたりが出会って、徐々に距離を縮めていく過程。 そこはすんなりと

          これが大人の恋愛?

          わたしは、わたしにしかなれない

          ケガをした。 ちょっとした不注意が引き起こした家庭内事故である。 たまたま体調が悪かったことが、その引き金になった。 フランスの作家・シモーヌ・ド・ボーヴォワールのことばが頭によみがえった。 老いは不意打ちである――。 まったくもって、そのとおり。 2週間以上にわたり毎日病院に通っている。 待ち時間も、医療費も、半端ない。 よくなっているのか、よくなっていないのか。 若いころと同じ回復力を期待するのが、そもそもまちがっているのだろう。 傷の治りが遅いから足をなるべ

          わたしは、わたしにしかなれない

          このさき、いるもの・いらないもの

          ミニマリストではないが、 モノを減らそうと努めている。 60代も半ばを過ぎたので、なるべく身軽になっておきたい。 ただでさえエネルギーが枯渇しやすくなった。 それをモノの整理や管理に使いたくない。 問題は、いるものといらないものをどう見きわめるか、である。 ここはなかなか悩ましい。 減らす対象はモノだけではない。 人づきあいも減らそうとしている。 人とつきあうにもエネルギーがいる。時間もかかる。お金もかかる。 体力も気力も衰えたので、あっちにもこっちにもいい顔はしていられ

          このさき、いるもの・いらないもの

          年を重ねて味わえること

          絵が好きだ。 自分では描けないから、見るだけだけれど。 絵は私を楽しませてくれる。 絵は私を遊ばせてくれる。 絵は私を退屈させない。 年を重ねてよかったと思うことのひとつは、絵とたわむれる時間的・精神的な余裕ができたことだ。 以前から絵は好きだったけれど、気ぜわしかったり、気がかりやストレスがあったりして、のんびり絵の世界に浸ろうという気にはなれないことが多かった。 いまは気が向いたときに美術館めぐりができる。図書館で大きな画集に見入ることもできる。 このことを私は、

          年を重ねて味わえること

          若いころとは違う旅がしたい

          ちょこちょこと旅をする。 仕事がひとつ終わったので……とか、少し気分を変えたいので……とか、またひとつ年をとったから……とか、 何かしら理由をつけて日常を離れようとする。 いろんな旅がしたい。 頭ではそう思っているけれど、好みの旅のスタイルはある程度、固まってしまった。 人の多いメジャーな観光地よりも、素朴な山や高原が好きだ。 絵になる風景をながめながら、散策したりお茶を飲んだりして過ごしたい。 それでも毎回、どこへ行くか、どんなふうに時間を過ごすかには頭を悩ませる。 も

          若いころとは違う旅がしたい

          惚れっぽいオンナ

          ひさしぶりに恋愛小説を読んだ。 若者のそれではない。主人公は、いわゆる「大人のかっこいいオンナ」。仕事にも暮らしにも自分にも自信をもっていて、胸を張って生きている現代の女性である。か弱い女や男にちやほやされて喜んでいる女に興味はないが、こういうかっこいい女の話には興味がある。ストーリーにはすぐに引き込まれた。 主人公に感情移入し、彼女の仕事ぶりに感心しながら読んだ。彼女の夫の大人げない言動にあきれ、理不尽な要求に腹を立て、彼女が彼女らしく生きることを応援しながらページをめ

          惚れっぽいオンナ