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筋トレを学ぶ=リハビリを学ぶ(サルコペニア・フレイルを中心に)

題名はまさに今筋トレについて勉強していて感じていることです。始めは単純に「太ってきたから痩せる為に運動するか」くらいで始めた筋トレですが、結果的に心身ともに健康になりました。それだけでなく、仕事のリハビリにまで生きてくるとはほぼ考えてなかったですが、徐々に点と点が偶然にも繋がってきている気がします。というの僕の話はおいといて、本日は・・

1.サルコペニア・フレイルとは何か

2.ICU-AW、PICSとは何か

結論からいうと

・サルコペニア・フレイル→高齢者に関する健常時あるいは疾患慢性期の精神・身体能力の低下

・ICU-AW、PICS→疾患急性期による(高齢者以外も含めた)精神・身体能力の低下

となります。今日はこの二つについて詳しく掘り下げていきます

引用は

からです。


1.サルコペニア・フレイルとは何か

どちらも高齢者の能力低下を表す言葉になりますが、サルコペニアは筋肉に特化した考え方なのに対して、フレイルはもっと広く高齢者の脆弱性を表す考え方です。

フレイルは高齢者の虚弱を表しますが、フレイルの3大要素として身体的フレイル・認知的フレイル(認知、心理、精神的なフレイルの側面)、社会的フレイルがしばしば挙げられ、これらを包括する形で高齢者のフレイルを考えます。

一方サルコペニアは、加齢に伴う筋肉量減少を指します。つまり、「高齢者で骨格筋量の低下と筋力あるいは機能低下を有する状態」とする考え方が主流で、先の身体的フレイルとも重なります。

診断のために骨格筋量の低下は必須で、それに加えて歩行速度または握力の低下のあるものをサルコペニアとしています。

そしてサルコペニアは加齢以外に疾患、不動化、低栄養が増悪因子になります。よってサルコペニア対策としてもこれらに対抗するのが主たる介入となります。

すなわち、①疾患を治癒・またはコントロールし、②運動あるいはリハビリテーションを積極的に行い、③積極的な栄養介入をするのがサルコペニア対策となります。①は現病治療ですが、②③はまさに筋合成へのアプローチそのものです。

この後のICU-AWと異なりサルコペニアは疾患や環境修飾を受けにくいので、ここまで勉強してきた筋合成の生理をフル活用して挑むことができるのです。

【ポイント】

・フレイルは高齢者の脆弱性を包括する考え方で、身体的フレイル、認知的フレイル、社会的フレイルに分かれる

・サルコペニアは筋肉量低下と筋力、機能低下のある状態で、疾患コントロールを運動、栄養療法で支える必要がある

2.ICU-AW、PICSとは何か

集中治療においては、身体能力低下をICU-AW、精神認知機能面までを含めた機能低下をPCISと言います。これらはサルコペニアより病態や介入がかなり複雑になります。重症病態という大きな疾患の修飾を受けること、入院やICUという特殊な治療環境がさらに様々な影響を与えるからです。対策のため介入するとしても、栄養と運動を超えたさらに多角的アプローチが必要となります。

PICSとして考えなくてはいけないICU治療後の後遺症として、主に運動機能、認知機能、精神障害の3つを挙げ、さらに患者家族の精神障害まで影響を考慮すべきとしました。

集中治療後の身体機能の障害ICU-AWは主に筋肉の障害ミオパチーと神経の障害に大別することができ、前者をCIM,後者をCIPと呼びます。

CIPは対照的に四肢(特に下肢)の近位筋優位に強くおこり、脱髄を伴わない原発性軸索変性が特徴で、感覚神経よりも運動神経に障害が強いのが特徴とされ、脊髄レベルでは軸索変性による前角細胞の喪失が特徴とされています。

一方で筋肉のCIMは病理学的には特異的な変化があまりないのですが、CIMではⅡ型筋繊維(白筋・速筋)優位に萎縮しミオシンの特異的脱落があると言われています。

実際にはCIMとCIPが同時に存在する症例が多く、同時発生し病態形成されているのではないかとも言われ、現行ではCIPとCIMを合わせICW-AWとして表現をまとめて扱うことが多くなりました。

重要なのはICU-AWが単なる廃用性萎縮ではないことです。つまり病気によって筋肉や神経の障害が惹起されるという考え方が重要で、「重症病態では寝たきりにしている以上に体が弱る」のです。

そこに低栄養や不動化が合わされば余計にICUーAWが進行するのは明らかですから、疾患の治療そのものに力を入れることは当然として、運動・リハビリテーションと栄養療法はその最低限の支柱となると考えられます。

【ポイント】

・PICSは集中治療後の患者の運動機能、認知機能、精神障害、さらに患者家族の精神障害を包括する考え方である

・ICU-AWはPICSの身体機能面の障害で、CIMミオパチーとCIPニューロパチーを合わせた考え方である

・全ての集中治療患者にPICS、ICU-AWが生じうると考え対策する必要がある

・運動、栄養療法はPICS、ICU-AWに対する最低限の支柱となる

題名で筋トレ=リハビリと盛り気味に書きましたが、様々な病態を抱えた患者さんに対しては、より多角的なアプローチ(知識)が必要ということが分かりました。ですが、その中の一部として、筋トレの知識は使えると思うので、全てとは言えませんが、手がかりの一つにはなると思います。

本日も

の引用でまとめました。


患者さんのためにもなり、自分自身のため(筋トレ・健康等)にもなるという学びはより意欲的に学べると思いますので、有益な本だなーと思います。


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