見出し画像

オーラルフレイル・老嚥・口腔機能低下症という用語の違いがよく分からないという方へ

【まとめ】

◎オーラルフレイル、老嚥、口腔機能低下症などの概念自体が視点や範囲が異なり、診断基準も明確でないため、グレーゾーンの幅が大きく混乱する

オーラルフレイル図で考えるなら、段階順にいくと

第2段階:オーラルフレイル

第2・3段階:老嚥

第3段階:口腔機能低下症

◎それぞれの用語の概念構築や診断が確立するのは大事だが、対応方法と効果が国民にとってわかりやすく明確になることも重要

ーーーーーーーーーーーーーーー

以前の記事で、【オーラルフレイル、オーラルサルコペニア、口腔機能低下症・・・説明できる?】という題でまとめました。

今回は未だに混乱しやすい、オーラルフレイル老嚥口腔機能低下症というそれぞれの用語の使い方・違いについてまとめました!

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

1.オーラルフレイルとは軽度の口腔機能低下

画像1

より画像引用

・フレイルとは健康と病気の中間的な虚弱な高齢像を、社会的、身体的、精神的な総合的な視点から示す言葉

・フレイルは、適切な介入によって健康な状態へ戻ることができる状態

・フレイルは①社会性/心のフレイル期②栄養面のフレイル期③身体面のフレイル期④重度のフレイル期の4つの段階に分けて説明されている

・第2段階の栄養面のフレイル期にみられる滑舌低下、食べこぼしがある、わずかなムセがある、かめない食品が増えてきたなどの軽度な口腔機能低下をオーラルフレイルとしている

・オーラルフレイルに対して介入や予防を行うことがフレイルの重症化を防ぐことに繋がる

「オーラルフレイルについても以前に少し詳しくまとめているので、復習したい方はご覧ください

つまりオーラルフレイルは・・・

第2段階の栄養面のフレイル期にみられる滑舌低下、食べこぼしがある、わずかなムセがある、かめない食品が増えてきたなどの軽度な口腔機能低下!

ということができるわけで、特徴としては・・・

フレイルという社会的、身体的、精神的な総合的な視点から示す言葉

を使用しているので、オーラルフレイルを食い止めることが、社会的・身体的・精神的全てのフレイルを予防することに繋がるということ!

オーラルフレイルという言葉自体は口腔に特化した言葉ですが、社会性・身体面・精神面全てに繋がるということを強調した言葉と理解してよいと思います。

ーーーーーーーーーーーーーー

2.老嚥とは老化による嚥下機能低下のこと

画像3

より画像引用

画像4

より画像引用

障害には至っていない、機能低下の状態

・老嚥というのは、摂食嚥下障害の手前の、嚥下のフレイル的な位置づけ

・老嚥は食形態の制限はほとんど必要なく通常の食事は可能

・老嚥は餅やパン、厚い肉など咀嚼嚥下運動に大きな負担となる食形態や、水分と固形物の混在した二相性食品などでは誤嚥リスクが高くなったり、スムーズな咀嚼嚥下運動ができなくなるような状態

・要介護の状態が摂食嚥下障害、自立と要介護の間にあるのが老嚥

「老嚥についても以前まとめているので、詳しく知りたい方は以下のリンクからご覧ください。

つまり老嚥は、オーラルフレイルの概念図でいうと、第2・3段階あたりことを指すと考えて良いと思います。

画像5

ただし、オーラルフレイルと比較すると、より嚥下のみに特化した言葉だと思います。

使い分けのイメージとしては、介護予防事業などでは、生活全体の予防に繋がるように、オーラルフレイルが言いと思います。

嚥下に特化した意見を求められる場面や専門職が多い場面(病院や施設での評価結果報告など)では老嚥という言葉が分かりやすいのかなーというイメージですね!」

ーーーーーーーーーーーーー

3.口腔機能低下症は口腔に視点をおき、摂食嚥下障害や咀嚼障害に至る前段階

画像2

より画像引用

オーラルフレイルの次の段階という位置づけ

「口腔機能低下症は、簡単にいうと、歯科領域から出てきた用語です。

ですが、結局はオーラルフレイルの次段階なので、オーラルフレイル図でいうなら第3段階と考えてよいと思います。

画像6

ですが、この口腔機能低下症という用語の良い点は、診断基準がはっきりしているという点だと思います。

画像7

より画像引用

オーラルフレイルや老嚥は、明確な診断基準がないので、口腔機能低下症の強みというか、分かりやすさはその点かなと思います。

そして、この段階の方々は、歯科診療所での対応!と明記しています。

口腔機能低下症は歯科業界から出た用語であり、オーラルフレイルや老嚥はおそらく違う業界から出た用語ので、似た言葉が重複しちゃってるイメージですかね。

マクドナルドをマックというのか、マクドというのか。極端に例えるなら、そんな違いでしょうか?

正直、どんな用語でも良いので、国民に分かりやすく、専門職にも使いやすい用語であれば良いなーと思います。


話は逸れますが、地域ケア会議では、歯科衛生士さんも嚥下面の意見を出すので、言語聴覚士は嚥下面を言おうとしているとかぶるという話を聞いたことがあります。笑

自分達の専門性や職域は守りつつも、協力し合って予防医療ができれば良いなーと思います!

言語聴覚士としても、歯科衛生士さんはかなり頼りになるので、嚥下面のプロッフェショナルとして、言語聴覚士もがんばっていかないとですね。」

ーーーーーーーーーーーーーー

【まとめ】

◎オーラルフレイル、老嚥、口腔機能低下症などの概念自体が視点や範囲が異なり、診断基準も明確でないため、グレーゾーンの幅が大きく混乱する

オーラルフレイル図で考えるなら、段階順にいくと

第2段階:オーラルフレイル

第2・3段階:老嚥

第3段階:口腔機能低下症

◎それぞれの用語の概念構築や診断が確立するのは大事だが、対応方法と効果が国民にとってわかりやすく明確になることも重要

ーーーーーーーーーーーーーー

本日の引用は

でした!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?