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2 デジタル地域通貨と地方独自のキャッシュレス決済システムの導入について R4.6定例会一般質問②

 次に、デジタルトランスフォーメーション、DXについて二点伺います。
 アフターコロナの地方創生に大事なことは多々あるでしょうが、最もドラスティックに山形を新生させるのは、DXだと考えます。ハードを整備するのには莫大な予算と時間がかかりますが、ソフトから社会構造を変えることは比較的簡単な世の中になりました。なぜならばスマートフォンがこれだけ世の中に普及したからです。
 地方創生に資するDXの先進事例として昨年特別委員会で視察し、感銘し驚愕したのが会津若松市の事例です。会津のDXの取り組みは多岐にわたり、まさに全方位から地域DXを達成しようとしていますが、その中でも注目したいのが、まだ準備段階ではありましたが、会津版のデジタル地域通貨と地方独自のキャッシュレス決済システムの創設です。
 地域通貨は、文字通りその地域でのみ使える通貨であり、仮に山形の地域通貨の単位をチェリーとし、1チェリー当たり一円と設定します。観光客が山形を訪れて1万円をチェリーに交換すると、ポイントがついて1万2千チェリーとなり、お土産を買う際などに2千チェリー分お得になるといったイメージです。紙媒体でも出来ますが、今や全国的にはスマートフォンにアプリを落として決済するデジタル地域通貨が主流で、県内では長井市において先日開始されたと聞いております。
 これだけ聞くと特に地元住民には利点がないように聞こえますが、今回のコロナの際のプレミアム付き商品券を例に考えると、その効果は絶大です。紙媒体での発行は、莫大な印刷費や発送などの事務経費がかかります。当然、行政側も店舗側も、事務作業が煩雑となりますし、商品券販売の際に、購入者が殺到してパニックになったという事例が、実際に県内にもありました。
 しかし、これをデジタル地域通貨で発行すると、一度システムを作ってしまえば、事務経費も事務作業もほとんど要りません。しかも、デジタル地域通貨は細かな設定が可能であり、例えば使える店を限定したり、使う店と人によってプレミアム率を変えたりすることも出来るわけです。まして発行までのタイムラグが少ないので、議会で承認された1分後に県民のスマートフォンに発行されるということも可能である上に、店側も煩雑な申請から解放されて決済までの時間差も少なく、さらには、偽造などの不正も起きにくく、買える人と買えない人が出るといった不公平も防ぎやすい、といった多くの利点があります。
 このよういにデジタル地域通貨には、ん観光客向けの効果だけでなく、地元住民にとっても利点が多いのですが、地方ではまだまだ認知されていないと感じます。しかし、便利であれば必ずや普及していくでしょう。
 一方、地方ではキャッシュレス決済がいまだ進んでおらず、依然として現金決済が多い傾向にありますが、その大きな原因は決済手数料の問題だと考えます。キャッシュレス決済で売り上げの数%を手数料としてもっていかれるのは店にとって痛手ですし、地方で使われたはずの所得の数%が中央の会社に吸い上げられる、ということでもあります。
 また、普及が進んだカード決済は、カード決済専用機の導入など多くの投資が必要であり、中央の大企業にしか実現不可能なものでした。しかし、スマートフォンが普及した現在であれば、地方が独自にキャッシュレス決済システムを導入することは十分に可能です。
 夢物語ではありません。実際に会津若松市ではこれを実現させようとしています。しかも、手数料は売り上げに応じて数%、ではなく、その決済システムの維持運営に関する経費を参加店舗が分割する、定額方式を志向しているところが凄い。これは実際にはなかなか難しいようですが、もし実現すれば、地方のキャッシュレス決済会社は運営コストに相当する利益だけを取り、売り上げが伸びるほど地方のお店や会社に儲けが残る、という世の中をつくれます。
 以上述べたように、電子的な地域通貨と地方独自のキャッシュレス決済システムの導入は、地元住民と地元の企業に大きな利益をもたらすことがわかります。そしてこれは、各市町村がそれぞれ導入するよりも、スケールメリットをもって導入されてこそ効果が大きいものであり、県という大きな枠組みで導入されるのが望ましいものと思います。さらに言えば、すでに先行している例がありますから、そのシステムを借りることで、新たに莫大な開発費を投じなくても導入できるものでもあります。
 アフターコロナの非現金社会の実現および県民や地域経済の大きな利益になる未来に向けて、デジタル地域通貨と地方独自のキャッシュレス決済システムの導入についてどう考えるか、みらい企画創造部長の考えを伺います。

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