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【塾生通信#11】国は、大丈夫か

金木犀の爽やかな香りに包まれる季節になりましたね!

こんにちは、薮中塾6期生の長﨑 真拓です。
現在は京都大学法学部の2年生で、法律学や政治学を幅広く学んでいます。

入塾までの私

幼い頃から歴史が大好きだった私は、特に戦国武将たちが戦でどのような戦術をとったのか、どのように領国経営を行っていたのかを調べるのが大好きな子どもでした。

7歳の頃には、夜中に寝言で「うん、国は大丈夫だ」と何度か呟いたことがあったそうです。夢の中では自分の国を見つめる戦国大名になっていたのかもしれません (笑)

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↑5歳から始めたピアノ。自分の大切な趣味です。

そんな私が薮中塾と出会ったのは、本当に偶然でした。
休日、たまたま見ていたテレビにご出演されていた薮中先生のテロップに、薮中塾が紹介されているのを見つけたのです。

小学6年生のときから外交官に憧れていた私にとって、外務次官を務め上げられた薮中先生のお話を伺えることはこれ以上ない機会です。
また同年代の仲間たちと外交や社会問題を語り合える場は正に僕が求めていた環境でした。

「こんなチャンス、二度とやって来ない!」

と確信し、応募を即決しました。
あと1週間テレビを見るのが遅ければ応募締め切りに間に合っていなかったので、まさにギリギリで掴んだチャンスだったと思います。

価値観を言語化する重要性

入塾して半年以上が経った今、私がひしひしと感じているのは、価値観を言語化することの難しさと大切さです。

6期生はこれまで、"Speak out with logic"を掲げながら、改憲問題や社会保障問題、など様々なテーマを議論してきました。

たしかに意見の根幹を成すのは "logic" であり、事実間の関係を把握して主張までの最も適切な道筋を立てることが "with logic"を実現するベースであると思います。

しかし、そうした議論を繰り返していくと、価値観やものの捉え方・考え方がしばしばその人の主張の根幹に大きく影響しており、それが個々人の主張の違いとなって現れることに何度も気付きました。

こうした個々人による違いは、あとで触れる領土問題のように国家間の根本的な考え方の違いとして表面化するかもしれません。
いずれにせよ、多くの社会問題において、個々の価値観やものの捉え方という暗黙の部分が問題の底流となっており、解決を阻む大きな障壁になっているのではないか、と感じています。

こうした違いに直面したときに大切なのは、相手の価値観や考え方を早計に右派か左派かに振り分けたり、「〜主義」という言葉で片付けたりしないことではないでしょうか。

「自分/相手はなぜそのような価値観を持つのか?」
「自分/相手はなぜそのような考え方をするのか?」

を粘り強く言語化しようと努力しつづけること。
そしてその努力を通して、相手の根本や自分自身の根本を理解しようとすることが、あらゆる問題解決の「小さいけれど重要な一歩」だと考えています。

領土問題

さて、薮中塾での半年間で向き合ってきた問題以外に、私自身が最も強く関心を抱いている問題は、日本の領土問題です。
とりわけ私は日ロ外交やロシア政治に関心が強いため、北方領土のことをよく考えてきました。

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↑ロシアの修道院にて

では、領土問題において、個々人や国家間で異なる価値観や捉え方を生むものはあるのでしょうか。

例えば、「主権」という言葉を考えてみましょう。

主権を「絵の具で色を付けた水」に喩えると、私たちのイメージするその水は、いつもガラスのコップという固い国境の中に入っているものです。
コップの底から水が溢れることがないように、主権はいつもその国の内部でしか適用されません。

しかし、容器が強固なガラスではなく薄い浸透膜になっている国ならどうでしょうか。
色の付いた水が膜の外に少しずつ染み出るように、自分たちの主権を少しずつ外部に行使していくことになるのです。

このように、私たちが当然だと思っている「主権」の範囲が、他国では全く違う可能性があるのです。
そして私自身は、北方領土問題においてそれが現実に起こっていると考えています。

そうだとすれば、その島がどちらの国のものか、どうすれば返ってくるのかを議論する前に、互いの国の主張の根幹にある「主権観」の違いを正しく認識する努力が大切なのではないでしょうか。

そのような問題意識のもと、薮中塾では11月勉強会で日本の領土問題を扱おうと考えています。
グローバル教育が広まり世界に目を向ける若者が増えた今だからこそ、「主権とは何か」「国境とは何か」そして「国益とは何か」を考え直すことが大切であると思います。
勉強会を通じて、自分たちの足元に目を向ける機会を塾生に創り出したいと私は考えています。

この国は、大丈夫か

この半年間、私自身は周囲の塾生から刺激を受けて晴れ晴れとした気持ちになることが多かった反面、様々な社会問題に向き合う中で、日本は到底「大丈夫」な国ではないと痛感してきました。

将来、自分がどのようなフィールドで社会の一端を支えるのか、現時点では分かりません。

しかし、50年後あるいは80年後に、夢の中で自分の国を見つめる少年に「国は、大丈夫だ」と自信を持って話せるような日本にしたい。

今は強くそう思っています。

それでは最後までお読みいただきありがとうございました!

6期生 長﨑 真拓

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