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【一般向け】夫婦のことを相談していただきたい理由

 これまで多くのご夫婦の相談に応じてきて思うのは、やっぱり夫婦関係上の難しい話は、是非とも相談してもらいたい、ということです。

 私たち家族療法家には、他の心理療法家にはない「関係」の視点があります。そして、夫婦のことを考える上でこの視点は必要不可欠です。

関係の修復

 やはり、もっとも多いご相談は、難しい状況になってしまった夫婦関係を修復したい、というものです。一口に「難しい状況」といっても、その内実はさまざまです。DVの問題、浮気の問題、セックスレスの問題、暴力の問題、あるいはこういった問題はないけれども、なぜか夫婦関係が上手くいかなくなってしまった、という問題。

 これらの問題を解決して、関係を修復するためには、専門的な知識が必要です。というか、ご自身でなんとかなるのであれば、すでになんとかなっているのだと思います。いろんな努力をしてみたけれども、うまくいかなかった。そんな難しい状況こそ、私たち専門家を使っていただきたいと思います。

「難しい状況」とまとめていいましたが、これらにはそれぞれ、専門的な対応が必要になります。DVの問題と浮気の問題は、同じ方法で解決することは出来ません。骨折と胃腸炎を同じアプローチで治せないのと同じことです。DVにはDVへの、浮気には浮気へのアプローチ方法があります。

「もう夫婦関係は修復出来ないと思っていた」「すでに夫婦関係は壊れてしまったと思っていた」という方が、さまざまな困難と格闘しながら夫婦関係を再構築へ進んでいく。そのプロセスに立ち会わせていただくと、やっぱり夫婦関係を修復したい方は、諦めないでどうぞご相談ください、という気持ちになります。

関係の終結

 一方で、夫婦関係はなんでもかんでも修復するとよい、というものではありません。様々な事情があって、夫婦関係を継続したり修復したり再構築したりするのが難しい場合は、関係を終結するのがよい場合があります。

 離婚によって夫婦関係を終結する際、お子さんがいらっしゃるかどうかで、話は大きく変わってきます。お子さんがいる場合には、さらにその子どもの年齢によっても、検討しなければならないポイントは変わってきます。

 子ども中心の考え方が、現代の主流の考え方です。親同士は大人同士なので、自分たちで考えて相談して判断すればよいですが、子どもにとって親の離婚は、トラウマとなるような非常に胸の痛む出来事になる場合が少なからずあります。

 ですから、もし離婚を選択する場合には、子どもにどんな影響があるのか、また起こりうる悪影響を最小限に留めるために出来ることは何かなど、実にさまざまなことを検討する必要があります。

 お子さんがいらっしゃらない場合は、大人同士の話ですが、それも「離婚してよかった」などという単純な話ではありません。好きで結婚した二人が、どうして離婚をせざるを得ないのか、離婚によって何を喪失するのか、一方で離婚によって得られるものは何なのか、それは喪失するものよりも大きなことなのか、など色んなことを検討する必要があります。

夫婦で希望が異なる場合

 夫もしくは妻が離婚を望み、その配偶者は再構築を望む、という場合があります。夫妻二人の希望する内容が真っ向から対立するので、なかなか話を進めていくのが難しくなります。

 司法的に決着するには、調停をしたり裁判離婚にしたりと色々な手があります。が、その前に、心理の専門家がお役に立てることがあります。それは、丁寧に経緯を紐解いていくことです。

「離婚したい」あるいは「離婚したくない」というのは結論なので、そこで話をしても決着しません。

 そうではなくて、結婚前の交際期間も含めて、二人の関係がどのように始まって、どんな風に展開して、どんなことがあって今に至るのか。そこを丁寧に紐解いて、夫妻で共通認識を持つことで、色んな変化が生じます。忘れていた色んなことが思い出されます。そうして、二人の関係をどうするかという話も展開していきます。

「夫婦のこと」といっても、ご夫婦ごとにそれぞれのご事情があります。が、再構築を目指す場合、離婚する場合、あるいはそもそもどうするかを決める場合、いずれにの場合にも心理職はお役に立てることがあります。どうぞご相談ください。

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