デザインだから解決できるもの
お孫さんが住みたい、と羨ましがるような施設にしたかったんです。
昨日出張で訪れた介護施設を見回っているとき、代表の方がそうポツリと話してくれた。
自分が住んでもいいなと思えるような施設じゃないと、おじいちゃんおばあちゃんが住むのってなんだか嫌じゃないですか。遊びにも来たくなくなるし。だからデザインはとてもとても重要視したんです。
この話を聞いて、ふと、祖父が高齢者のための介護施設に入っていたことを思い出す。
僕は幼稚園とかそのくらいの年齢だったと思う。そもそも介護がなにか分からないレベルだったからかもしれないが、祖父の新しい住処は家というより、まるっきり病院という感じがして近寄りがたかったことだけは覚えている。
だから「デザインが素敵な建物ですね」と伝えて返えってきたこの答えは、すごく身に染みるものだった。
デザインは見た目が素晴らしいことは大切だ。ただ、それだけじゃなく、本来はこういう課題を解決するもの。
常に心がけているし、分かっているつもりでいるけれど、やはり体現しているものに触れると我に返る。
僕は施設に携わる身ではないけれど、やっぱり自分の携わるものにおいては、少なくともそういうものを作りたいし、身を置きたいと思う。
デザインが、解決できるもの。
デザインだから、解決できるもの。
代表の方に改めてお礼をし、施設を後にする。弾丸ではあったものの、大切なものを持って帰ってこれた、そんな出張であった。
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