辞めることで始まることがある

はい、もうリハビリはおしまい!よく頑張りました!

今からちょうど2年前。アキレス腱断裂のリハビリを終えた。完治するまでの生活は不便だったけれど、同時に素晴らしい期間でもあった。

というのも、よく「〜〜を始めたことで変わった」という話があるが、僕はその逆だったからだ。つまり、アキレス腱断裂で色んなことができなくなり、それが変わるきっかけになった。

仕事をするのにオフィスに行く。たくさん働く。友達に会う。そんな当たり前な生活が一瞬にして崩れ去った。

まず、オフィスにいけなくなった。松葉杖期間中に転んだら足首の人生が終わるので、電車やバスに乗れない。雨が降ると外にすら出れない。

だから初のリモートワークになったのだが、驚いたことに仕事に全く支障がなかった。クライアントさんとも遠隔ミーティングを行うし、困ることがない。今までなぜオフィスに行っていたのか本気で分からなくなったくらいだ。

次に働く時間が減った。移動時間がなくなり、必要最低限のミーティングしか出なくなり、誰かに話しかけられることもなくなった。

仕事がめちゃくちゃ捗り、気づけば19時くらいには暇をもてあそぶ。今までの残業は何だったのか。余暇を楽しむことを思い出し、働き方を見直すきっかけになったのだ。

最後に友達に会う機会が激減した。寂しい気持ちではあったけれども、家でいかに楽しく快適に過ごせるかを追求するようになった。

特にご飯。外食は命がけだし、宅配食が毎日なのもつらいので、自炊に切り替えた。片足ケンケンで、カレーやご飯を作り、彼女(現妻)とゆっくりと家族のような夕食をとる。寝に帰るだけの家から、過ごすための家に変わった。

こうして、色んなものがアキレス腱断裂をきっかけに整理されていった。リハビリが終わる頃には、入籍し、会社も辞めた。

「そんなに生き急がなくてもいいのに」と何度言われたか分からない。確かに大きく暮らしは変わったけれども、生き急いだ感覚は今でもないし、幸福度は上がったと思う。

総じて、自分を変えるために〜〜〜を始めた!という話はよくあるけれど、〜〜〜を辞めるということも大切なきっかけじゃないだろうかと感じている。

行き詰まったパズルに無理やりねじ込むのではなく、一回白紙に戻す。もうそんなことはできないと思うかもしれないけど、何歳になってやっても遅いということはない。

自分を空っぽにして、それでも大切に思えることや生まれてきたもので、少しずつ埋めなおしていくことの大切さを今、改めて感じている。

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