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戯言⑤『じてんしゃの6がつ』


じてんしゃのって

ペダルこぐ

はっぱがもえる

あのなみきみち


ひなたを ゆけば ぽかぽかと

こかげを ゆけば ひんやりと


きのうのあめと

まざりあう

きょうのみどりが

かおりだす


ひなた とおれば ぽかぽかと

こかげ とおれば ひんやりと


オイルのにおい

とおりすぎ

ガスのけむりが

とりかこむ


ひなた つっきり  ぽかぽかと

こかげ  つっきり  ひんやりと


やわらかいかぜ

あつまって

みんなでアーチ

でむかえる


ひなた わたれば  ぽかぽかと

こかげ わたれば  ひんやりと


やさしいかぜが

そろったら

みんなおうえん

せなかおす


ひなた すぎれば ぽかぽかと

こかげ すぎれば  ひんやりと


きづけばそこは

さかのうえ

やまのてっぺん

かおをだす


ひなた こえれば ぽかぽかと

こかげ こえれば ひんやりと


まもなくそこは

もくてきち

ちいさなしあわせ

めにのこる


ひなた ぬければ ぽかぽかと

こかげ ぬければ ひんやりと


じてんしゃとめて

よりかかる

はっぱささやく

けやきのしたに


ひなたに うかび うとうとと

こかげに もぐり ぐうぐうぐう



【あとがきのような何か】

今日から6月だっていうのに、ずいぶんとさわやかな天気だったので、恐縮ながら投稿させていただきました。

今朝の道すがら、なんとなく頭に浮かんだのでつぶやいてみた戯言です。

今回は自転車で走っているときの「風があつまってくる」感覚を表現したいと思って書きはじめてみました。

この言葉は、視覚障がいを持つ少年が初めて自転車を体験したときにその感覚を表したものです。

たしか、ずいぶん前に放送された、NHKの朝のニュース番組かなにかの特集だった思います。少年のお母さんは、何事にもチャレンジする大切さを教えようと、自転車に乗ってみることを勧めました。最初は嫌がって消極的だった少年も徐々に前向きになって挑戦することに。体験会では、大人がタンデムの後ろ、少年は前に乗って走ります。そのとき少年は、自転車で風を切る感覚を「風がどんどんあつまってくる!」とはしゃぎながら表現しました。ボクは鳥肌が立つほど感動したと同時に、思わずその言葉にはっとさせられたのです。

少し話は飛びますが、ボクははっぴいえんど『風をあつめて』という曲がとても好きで、何べんとなく聴いてきました。ただ、これまでは音の響きをただ愉しんでいただけで、”風をあつめる”という感覚はよく理解していませんでした。しかし、少年が大きな声で発した「風がどんどんあつまってくる」という表現のおかげで、はじめてその感覚を掴みかけることができたような気がします。

結局、珍しくもまっすぐで非常に"らしく"もない、戯言とは呼び難い戯言に落ち着いてしまったわけでありますが、たまにはご愛嬌といったところで。と、相も変わらずひねくれてはいますが、有難いことに、今日もなんとか生きながらえさせてもらっています。

あなかしこ、あなかしこ


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