ママンに送る詩㉔『梅と嘘』
「病院に連れて行ってほしい」
あの日も庭の梅がキレイに咲いていた
去年の今ごろ
あなたは僕に頼んだ
慣れない僕の運転で
大学病院へ
半日以上待たされて
ようやく検査
すぐによくなりますよ
医者はそう言っていた
翌日からは検査入院
次の週
余命半年との電話
あなたには伝えないことにした
そして退院
自宅での看病
死の恐怖に苛まれるあなたに
思わず口をついて出たあの言葉
「絶対に治るから…。僕が絶対に治すから」
結局それは
二度と果たせない約束となってしまった
今年も庭の梅がキレイに咲いている
母さん
あの日ついた僕の嘘
あなたは許してくれただろうか…
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