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ストレンジテトラ

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#創作大賞2024

ストレンジテトラ ♭.11 (2)

ストレンジテトラ ♭.11 (2)

♭.11 丸い水槽**

(3)

別れも告げずに夏が去ってしまった。
パーカーのポケットに手を突っ込んで歩く。 
あれだけこの惑星を煮えたぎらせた迷惑な季節も、いざその終わりを感じると少しの寂しさがあるものだ。

西の空に陽がストンと落ちていく。
ついさっきまでお日様だったそれはいつの間にかお月様と入れ替わった。

わたしたちと同じように。
お日様もお月様も代わりばんこに仕事をしてるんだ。
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ストレンジテトラ ♭4.

ストレンジテトラ ♭4.

♭.4 占術日和

 ⑴

「先輩はこっちの桜のやつでいいですか??」

別にいいけど。
というか、ダメと言ってもきっとオーダーするのだろう。

後輩ができるなんてさっき知った。
ぜんぶぜんぶ、編集長のせいだ。

「私持って行くんで、先輩は席とって座っててください。」

にっこりと微笑む、まだ素性の知らない女。
気の乗らないまま、口をへの字にしてわたしは席に向かった。

名前は潮田優香。
歳はわた

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ストレンジテトラ ♭3.

ストレンジテトラ ♭3.

♭⒊ 一文菓子
         



趣味はなんですか?
と聞かれるのがどうにも苦手だ。
うんうん、と共感した人にはわかると思うが
理由は一つ。
特に思いつかないからだ。

わたしの休日は八時くらいにゆっくり起きて、とにかくダラダラ過ごす。
その姿は〈ダラダラ過ごす〉以外に表現する言葉をわたしは知らない。

語彙力の欠落。記者失格だ。
へへへっ、と力無く笑う。

ダラダラするのに飽きたら、特

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ストレンジテトラ ♭1.

ストレンジテトラ ♭1.

♭.1 千載一遇



「あの もしかして 当たり屋さん ですか?」
口から飛び出た自分の言葉にわたし自身驚いた。
いつの間にか身に沁みついた悪癖なんです、
とでも言い訳しようか。

早起きは三文の徳、なんて やっぱり嘘だ。

 

部屋に大音量が響き渡る前に目が覚めた。
一秒前は夢の中にいたのに三秒で忘れる。
だいたいいつもそうだ。
枕元の目覚まし時計の音を先んじて止める。
鯨の形の電波時計は

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