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コロナ禍で考えた、「当たり前」と「変わる」。

 コロナ禍の厳しい環境は、ある意味もっともクリエイティブな期間でもあった。バブル崩壊後に社会人人生を始めた自分にとって、新しいことがこれほど次々実現した実感を持った時期はなかった。社会やコミュニティ(企業含む組織)の「当たり前」が認知されて初めて「変わる」ことができる。
 日本最大級の異業種プロジェクト「ALIVE」、多様性を武器に企業組織の変容につなげる「OTD」を主宰しながら、この一年感じたこと。

1. 「OTD(組織変革のためのダイバーシティ)」で考えた「当たり前」 

 OTDワークショップ(東大の授業で使っていたグループ対抗のゲーム ’クイズ&ギャンブル・ゲーム' を企業組織向けに再編成)を核に、多様性を武器に組織の変容を促進する「OTD」。自分の置かれた社会や組織の「当たり前」(時にいびつさ)に気づけない人間の弱さへの体感をベースに、企業組織の変容を一緒に考えます。
 コロナ禍で私が思ったことは、多くの企業人が、個人の置かれたコミュニティ(企業組織)と社会の今の「当たり前」が唯一の「当たり前」でないことを感じ、それが積み重なり組織として新しい「当たり前」=ニューノーマルが必要だと感じた、ということ。今までもあったであろう通勤列車や書類作業へのひとりの個人の違和感だけでは変えられなかったことが、企業組織の中で「当たり前」への違和感が積み重なり組織としての認知となることで、リモートワークやはんこ文化をはじめ今まで変えれないと感じていた「当たり前」を変えニューノーマルを取り入れることにつながった。 
 これは、組織内で新しいことをやる時に、一人の気づきだけでは足りなくて、組織全体の現状の「当たり前」への気づきが必要だということ。大変難しいことではありますが。大企業というこの失われてきた20年の中で唯一勝ち続けてきた(比較的負けなかった)コミュニティならではの「当たり前」への気づきの難しさが、コロナという外圧によって組織としての気づきにつながり、個人とコミュニティ・社会との関係性変化のきっかけになったということだと思います。

2. 「ALIVE(異業種混合型社会課題解決プロジェクト)」で考えた「変わる」

 企業の次世代リーダー60人が異業種混合でチームに分かれ、リアルな社会課題に取り組むことで、自分の「当たり前」を疑い企業に変化を作り出すリーダーになっていく「ALIVE」。大企業の今後を担う層が、社会のリアルな課題に対し自分の「当たり前」が通じない異業種のメンバーと競争しながら共創する。そこでの違和感への内省やお互いのフィードバックで、自身の「メタ認知力=自分の認知していることを認知する力」を強化し、今まで気づいていなかった強みと伸ばしたい点を認識することを支援します。
 コロナ禍の企業組織や社会が「変わった」ことで気づいたのは、ひとりが「変わる」だけでは、勝ち続けた企業組織の「当たり前」は「変わらない」こと。最大級の異業種プロジェクトとしてのALIVEがするべきことは、一部の意識の高い人だけでなく数多くの企業人を巻き込み、勝ち続けた企業組織ならではの変わりにくい「当たり前」を「変える」こと。
 ALIVEを通じて個人のメタ認知力を強化し個人が「変わる」だけでなく、そのひとり一人が結びつき「当たり前」を疑う集団となり企業組織としてのメタ認知力を強化し、それで企業が「変わり」、社会が「変わる」ことにつながるためにやっている、ということ。

3.  「当たり前」が組織の中で「変わって」、初めて新たなことが始まる。

 一年前では思いもよらなかったほど新しいことができたこの一年。ひとりでは変えられない。ひとりの個人が「変わる」に止まらず集団として核を作ることで、その置かれた環境の「当たり前」を認知する組織としての認知力が上がり、組織や人それに社会が「変わる」一歩になるということ。

 『社会課題とビジネスをつなぎ変化を巻き起こす』。ビジョンに対しては、まだまだ点でしかない自分達の小ささ・・・。もっともっと多くの企業や企業人に関わってもらえるように、来年は一歩づつさらに広く伝える努力もしていかなければ・・・。

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