夜を撮るということ〜鉄道写真において〜
鉄道写真というと、とかく昼間に撮るイメージを持ちがちではないでしょうか。鉄道を普通に撮影する場合、動いているものを撮影するわけですから、明るい昼間の方がシャッタースピードを稼いで撮りやすいのは間違いありません。
昼間に撮るメリットは十分に分かっていて、実際以前は昼間しか撮らなかったのですが、今は夜の鉄道写真を多く撮影しています。一般に暗い夜に撮影するためには、被写体ブレを許容してシャッタースピードを遅くするか、画質低下を許容してISO感度を高くする必要があります。それは鉄道写真においても変わりません。
わざわざ厳しい環境で撮影する縛りプレイか？とも思われそうですが、夜の撮影ならではのメリットがあって夜に撮影しています。
メリット1 主題以外のものが目立たなくなる
夜に撮影する場合、明暗差に目がいくので、主題は発光しているか光が当たっているものになることが多いでしょう。運行中の鉄道車両はライトを付けているので、発光しているものに該当します。
発光しているものが強烈に目立つということは、裏を返せば光っていないものは目立ちにくいということです。上の東京駅の写真も、夜であることで本来背景に映るはずのビルの姿はほとんど見えず、新幹線の造形がより強調されたと思います。
メリット2 光を読みやすい
写真を英訳した時の「Photograph」は「光画」と訳すこともできます。そのくらい写真において光は重要です。昼間の太陽はあまりにも強い光源なので、太陽の光一灯だけではなく、反射光も考慮しなければなりません。また、雲の量や濃さ、季節によって光の強さや当たり方も変わるので、実は光読みが難しいです。それに対し、夜の光源となる街灯や列車のライトは、一定の強さの光が一定の方向に光ります。
さらに光が不足しているとき、迷惑にならない場所限定にはなりますが、ストロボや携帯型ライトを使って光を足すこともできます。たとえば下の写真は花壇に弱いライトを当てて花の明るさを補っています。
※乗り物が多く通る場所で運転手に向かって強い光を放つことは危険です。場所は十分に選んでください。
夜の撮影を行う時の機材や設定
夜の鉄道写真を撮る時に使っている機材や設定を軽く紹介いたします。この辺りの考え方は人それぞれなので、「私はこうしている」というメモ書きくらいに思ってください。
・機材について
なるべく明るいレンズを装備したカメラを準備します。よく使っている組み合わせはZ6iiに50mm f1.8や24-70mm f2.8です。コンデジならGR3を使うことが多いですね。解放f2.8があるとだいぶ設定の幅が出てきますが、f4より暗くても撮れなくは無いです。
・設定について
後で編集することを前提とし、明るさをやや暗めに設定しておきます。編集で露出を持ち上げると多少ノイズが増えますが、光源付近(鉄道車両)が救えないレベルで白飛びしてしまうことを防止する方が重要だと考えています。駅で停車中の列車を狙う時など、露出を事前に確認しやすい場合は、撮って出しに耐えうる露出で撮るのもアリです。
続いて各パラメータの設定ですが、まず写し止めるのか流すのか決めてシャッタースピードを決めてしまいます。次に必要なシャッタースピードを稼げるまでフルサイズならISO12800、APSCならISO6400に上限設定してのオートで感度が上がるようにします。ISOを上げても明らかにアンダーな時はケースバイケースでシャッタースピードを下げるかISO感度を上げます。高感度でノイズが発生してもLightroomである程度リカバリできますが、意図しないブレは全く救いようがないため、まずはシャッタースピードを優先します。
夜の鉄道はカッコ良い
子供の頃、私は夜行列車が大好きでした。夜を走る特別な列車に心惹かれ、親に頼んで急行銀河やサンライズエクスプレスに乗せてもらったことは今でもよく覚えています。
夜の鉄道の世界に惹かれたのは、単にカメラの高感度性能が上がったからではなく、鉄道のロマンをより強く感じて心動かされるからかもしれません。これからも夜の鉄道を数多く撮っていくつもりです。
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