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トランス女性からフラれた話

pairsでお相手探しをしていたところ、即座にマッチングした女性がいた。

数多の男性からいいねが飛んでくるマッチングアプリで、繋がれるだけで心は跳ね、メッセージも走るので即レスになる。
何往復かメッセージをしたところ、会う約束とLINE交換までこぎ着けて喜びでその場で小さくガッツポーズをした。

そして、関東某県の大きめの駅で待ち合わせをした。

出会い

待ち合わせ後、大体は男性側がカフェや食事の場所を選ぶケースが多いが、彼女からカフェを指定してくれて、現場に直接向かった。

身長は170cmくらいだが体格は華奢でスラっとしていて、化粧気はあまりなく、服装もジーンズにシンプルなトップスにスニーカーだった。いい意味で自然的で飾らない美しさだと感じた。

顔たちはかわいらしく、年齢の33歳には到底見えず、好印象だった。

趣味の話で盛り上がる

相手の趣味の話を一方的に話された。
オタク気質が強く、好みのネタをひたすら話し続ける姿を眺めていた。
相槌と適度な共感で乗りこなして、気持ちよくなってもらい、2時間経過したところでフィニッシュ。
次回はお酒でも飲みに行こうと予定はfixしないような軽めの約束をした。

この段階では、オタク的嗜好の強いかわいい女子だなとしか思っておらず、次のアポに繋げたい卑しい心を見せないように慎重になっていた。

この段階ではワンチャン付き合いたいなと思ったし、お互いの年齢的にもちょうどいいとも思っていた。

観光地デート

次は飲みに行こうと言っていたが、話の流れで彼女が趣味で月1行っている観光地で食べ歩きしたいと提案があった。その観光地を案内してくれるという。
断る理由もないので受けた。

初っ端から大正浪漫溢れる純喫茶でランチメニューを食べてお腹を膨らませすぎて、神社までお腹を空かせるために歩いてから、ご当地のお菓子をつまみながら歩いた。
夜は軽くお酒を飲んで若干の酔いもあって色々聞かれた。

「並行して誰かと遊んでいる?」
「将来、結婚は考えているの?」
「子供は・・・」

マッチングアプリで軽く恋人を探すのではなく、将来を見据えて話をしたがお互い腹のさぐりあいで肝心な手札はオープンせず、場を締めた。

同棲を考えていると打ち明けられる

「並行している男性と同棲を考えている」
と打ち明けられた。

初っ端のカフェでも感触がよかったし、2回目の観光地デートでも好印象を残した実感があったのでショックは大きい。

そういえば、LINEの返信が遅くなっていたな。これが原因だったのかとスピードで負けたことに膝を折って後悔した。

付き合って間もなくか付き合う前から同棲の話というのもなかなか重いし、そんなに良い男性だったのかと。そのあたりが気になったのとあわよくばひっくり返せるのでは?と考え、観光地デートで紹介してくれたお礼がしたいといい飲みに誘ってみたら、応じてくれた。暗いトンネルにうっすらとだが希望が見えた。

池袋にて真実を知る

不定休の彼女がたまたま土曜日が休みというので、金曜日の夜にアポを取った。

前回は前フリで観光地巡りをしたが、今回は初っ端から飲みで彼女とがっぷり組み合うつもりで、できればその彼から奪うくらいの気概で向かった。人のものほど奪いたくなる本能に抗えない。人間の業だ。

池袋の、静かな静かな居酒屋で横並びの席に座り、お互いビールで乾杯した。その日の仕事に、趣味の話を少しした後に本題である恋愛の話に。

彼女と同棲する彼は持病があるらしく、彼の通いやすい病院の近くに住むのだとか。そこまで急ぐ理由は?と問うと。

「今まで言えなかったけど、トランスジェンダーなんです」

理解できなかった。
目の前にかわいい女の子がいる。ネタで言っているのか?と疑ったがそうではない。

ただ、ここで引けないと思って、「トランスジェンダーはわからなかったけど好きには変わりない」といい、平静を装った。
内心は理解できておらず、動揺したままお会計をした。

最後に

トランス女性なんて人生で関わることはないだろうと思っていたから、意識の外だった。
すぐそばにいるし、付き合った相手がそうだったなんてこともある。

実際に彼女も同棲予定の彼には早い段階でトランスジェンダーであることを打ち明けて、受け入れてもらい次の段階に進む話もしているのだから何も問題はないのだ。

僕も彼女の仕事や趣味、価値観を知って、トランス女性だとしてもぐらつく部分がある。ああ、でも、思い切って奪いにいくまでの勇気はないなと思ってそっとLINEの返信をそっけなくしてしまう僕はそんな小さい男だ。


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