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フィンランドの教育はなぜ世界一なのか

日本の児童が抱える問題は多岐に渡る。そんな、社会課題を解決するヒントが福祉国家のフィンランドにあるのではないかと思い、この本を購入した。
実際に読んでみると、日本とフィンランド違いから、日本の課題が分かったような気がする。



感想

日本はこどもへの義務意識が多くて権利意識を持たせることが少ないように感じた。フィンランドでは、しばしば教育の無償と平等が強調される。例えば、学習義務はあるが、学校に行く義務はなく、自宅などで学ぶことができる。年齢毎の学習到達点を国が決め、それに達していれば学校に行く必要はなく、自由に学ぶことができる。

また、教育が無償であることに加え、国が17歳以上の人に給付型奨学金、学習ローン、家賃補助からなる学習支援を行う。この中で返済の必要があるのは、学習ローンだが保証人は国なので、親や親族が保証人になる必要はない。このように、フィンランドでは子供に対しての義務を最低限度にして子供の自由を尊重し、子供に選択の余地を広げている。

しかし、このような社会文化は子供達だけで築いた訳ではない。フィンランドの保護者組織が学校生活のウィルビーイングを高めようとして、子どものために活動し、行政に影響を及ぼそうとした事も大きい。また、子供たちにも政治や社会に対して考え方を持つように促し、早期から子供たちが政治などの社会に対し問題意識を持たすようにしている。

これらを踏まえて、これからの日本に求められることは一体何であるのだろうか。私は子供に対する自由な選択肢の拡充と、子供が権利意識を強く持つことが重要であると思う。現在の日本では、子供が果たすべき義務ばかりが強調される。一方で、子供たちの選択肢は少ないように思う。義務教育のような画一的な教育ではなく、子供が興味関心があることに積極的に取り組むことができる環境の整備が必要である。ゼネラリストの教育に力を入れる段階は終了し、スペシャリストの育成に力を入れるべきである。だが、現在の日本では、教育の公的負担が少なく、十分な教育投資ができていないことが問題である。2018年のOECDの調査では加盟国中の公的支出は最下位であった。企業が中長期的に業績を伸ばす為には人材への投資が必要であるように、国が経済力を高め、諸外国との競争力を維持する為には、子供への投資が必要不可欠であると思う。

だから、親世代の所得の有無が子供達の学習環境や教育環境を左右する社会構図を変革し、子供に対する自由な選択肢の拡充と、子供が権利意識を強く持つことが重要であると思う。その為には、官民が連携して課題解決に取り組む必要がある。行政が持つ家庭の所得状況や教育環境などのデータを積極的にNPOなどの組織に共有し、課題解決への直接的なアプローチを実施することが求められるのではないかと思う。




メタ情報

・フィンランドでは、教育の無償と平等が強調される

・フィンランドには学習義務はあるが、学校に行く義務はなく、自宅などで学ぶことができる

・フィンランドの校則は、「授業中人の邪魔をしない」「いじめない」「学校の備品は壊さない」など、基本的なことを述べている。服や髪についての校則はない

・日本は、教育の公的負担が少ない。2018年のOECDの調査で、加盟国中の公的支出は最下位。

・ウェルビーイングとは、幸福で肉体的、精神的、社会的すべてにおいて満たされた状態。

・フィンランドの保護者組織は、学校生活のウィルビーイングを高めようとして、子どものために活動し、行政に影響を及ぼそうとする。日本のPTAは、子どものためと我慢して、したくもない活動に参加させられる。親同士が「ずるい」などといがみあい、入会しなければ子どもに不利益があると脅される

・フィンランドの付加価値税は最大24%である。

・教育が無償であることに加え、国が17歳以上の人に給付型奨学金、学習ローン、家賃補助からなる学習支援を行う。この中で返済の必要があるのは、学習ローンだが保証人は国なので、親や親族が保証人になる必要はない

・ゼネラリストとは広くなんでもできる人
 対義語=スペシャリスト



niceセンテンス

・市民に知識を得る能力や動機、可能性がない場合、民主主義は単なる選挙権の行使に終わってしまう。養育と教育が、批判的に考える市民を育てることを可能にする。

・日本は学歴社会というよりも学歴名社会である。何を学び、何を残したが大切である。

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