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エンターテインメントをはじめとした「表現の自由」を守る必要がある

今年はコミケに参加します

【2022年8月14日りんかい線駅前での「エンターテインメント表現の自由の会(AFEE)」主催C100コミケ合同街頭演説会参加に際して、その原稿として作ったものです。なお、2022年12月31日土曜日東ポ24aで金子洋一コミケ事務所を出展します。例年同様、一日中おりますのでよろしければサインなどさせていただきますのでよろしくお願いします。】

さて、私は「金子洋一コミケ事務所」という名称でこれまでコミケに3回サークル参加してきました。国会議員経験者としては一番早く自前のサークルで参加したのではないかと思います。AFEEのコミケ街頭演説会には今回初参加です。この機会にエンターテインメントをはじめとした表現の自由について考えをまとめたいと思います。

これまでコミケの参加では「デフレ脱却戦記」というタイトルで自分で作った評論本を皆さんと一緒に並んで販売をさせていただいてきました。2020年春にコロナが始まってからはサークル出店を自粛していましたが、C101では「デフレ脱却戦記4:安倍晋三元総理追悼号」で何とか参加することができそうです。コミケに合わせて新刊本を作ることはスケジュール的にはなかなか厳しいのですが、私が政治や経済について考えていることを皆さんに直接お伝えできる楽しさ、嬉しさを感じてコミケでの活動を続けてきました。

2022年夏の参議院選挙では藤末健三さんを応援

まず、2022年夏の参議院選挙では表現の自由やコミケの開催の問題で頑張ってくださった元経産省官僚である藤末健三さんの応援をいたしました。昔からの友人であるということも理由の一つです。山田太郎さんも現職ですが、改選は三年後です。新人で漫画家の赤松健さんのような知名度が非常に高い方も立候補していましたが、おそらく確実に当選するだろうと思いましたので、知名度では劣るが政治家としての実績がすでにある藤末健三さんを応援をしました。残念ながらわずかに当選までは足りませんでしたけれども、きっと捲土重来を果たしてくれると思っています。

エンタメをはじめとする表現の自由を守っていく

さて、「表現の自由」は、憲法で保障されており民主主義の根幹に関わる重要な問題です。民主主義のインフラだといっても言い過ぎではありません。日本の周辺を見渡しても中国、北朝鮮、ロシアなど表現の自由がない国がたくさんある。そういう国は表現の自由がないがために平然と政府が人権侵害を行っています。またロシアのように国連安全保障理事会常任理事国の一国が隣国であるウクライナに攻め込んでいる。なんとしても表現の自由は守らなければなりません。

そして表現の自由の中でどこが一番弱いところかというと、つまり表現の自由を踏みにじりたい人々は一番弱いところを狙ってくるわけですから、エンターテインメントに関する表現の自由が真っ先に狙われるでしょう。特に好き嫌いが分かれる問題について、表現の自由の立場に立つ人間と言うのはどうしても攻め込まれてしまう。

例えばVtuberの戸定梨香(とじょうりんか)さんへの圧力がありました。松戸警察の広報のキャラクターとしてコラボをしたのですが、特定の思想を持った方々や自治体議員が、「キャラクターのおへそが見えているのがけしからん、過度に性的である」などといってそのデザインを非難し、警察に圧力をかけた結果、コラボ自体が行われなくなるという事件がありました。戸定梨香さんは松戸市の地元の会社の所属ですので、地元の経済の活性化につながり、素晴らしいアイディアになったはずです。それを何だかわからないいちゃもんをつけて、引っ込まざるを得ないことになってしまった。いわゆるキャンセルカルチャーがわが国でも非常に盛んになってしまっています。こうした動きとは対決をしていかなければなりません。

日本の周りの国を見ていても、表現の自由、言論の自由がない国は、決して良い方向に進んでいきません。憲法でも本来保証されているのですが、今の日本をより良い方向にしていく、住みやすい国にしていく。そのためには最初に守らなければならないものは表現の自由だと考えます。

ネット・ゲーム規制には反対

さらにもう一点は、香川県ネット・ゲーム規制条例の問題です。私は、国会の超党派eスポーツ・オンラインゲーム議員連盟を事務方としてお手伝いしています。その活動の中で問題意識を持ちました。一部の医師や学者の皆さんが「ゲーム障害というのがあるんだ。ゲーム依存になるんだ」、「中高生の約7%がゲーム依存なんだ」というようなことをおっしゃってますけれども、これは根拠が薄いものであるとしか思えません。

香川県では、2020年春に県単位でゲームを規制する条例が作られてしまいました。ゲーム依存症対策と称する条例であり、インターネットとコンピュータゲームの利用時間を規制するものです。ゲームを1時間以上やらないようにしてくださいなどの内容です。

これまず手続きがおかしかった。世界保健機関(WHO)で定義されたゲーム障害という概念は確かにありますが、このゲーム依存が病気であるとしているのは、アルコール依存とか麻薬依存とか、そういったものと並立をさせるほどひどいものでなければならないわけなんです。アルコール依存や麻薬依存でしたら、麻薬やアルコールを手に入れるために、例えば犯罪を犯してでも手に入れたい状態に陥るものですけれども、果たして中高生の7%もの人々がそういうことをするんでしょうか。例えば一日中、家に引きこもってゲームばかりしているということは、若者の将来を考えれば決して幸福なことではないと考えますが、WHOの定義には当てはまらないのではないでしょうか。

また、情報公開請求によって明らかになった県によるパブリックコメントでの条例への賛成意見は「賛成します」、「賛同します」という同じ内容のものが圧倒的大多数で、しかも短時間の間に集中的に送信されているものあり、また、件名には「依存症」を「依存層」と書きながら「ネットゲーム依存症対策条例が通る事により、皆の意識が高まればいい」との表現が含まれているものが21件あるなど、組織的な投稿によることが強く疑われるものばかりでした。パブリックコメントの公募も通常よりも短い期間で、かつ県民に限られており、きわめて恣意的な運用がなされたとしか考えられません。

自治体単位の規制や条例だけでなく、国によるものにも反対です。ゲーム、エンタメ、漫画といったわれわれが親しんでいるジャンル、日本が世界に誇ることができる存在が、薄弱な根拠で批判され、否定されてしまい、過剰な制約をかけられてしまうことは表現の自由の観点からだけではなく、産業政策の観点からも絶対に避けていかなければなりません。

クリエイターのお給料を引き上げるためにもデフレ脱却は必須

最後に、クリエイターのお給料や処遇の問題があります。マンガやアニメゲーム、そうしたエンターテインメントに携わるプロフェッショナルの皆さんは金銭的にも労働環境としても大変に厳しい中で働いておられます。「労働時間が長い、お給料もあまり良くない、でもやりがいがあるかな」と思って働いておられるんだろうと思います。大変ありがたいことです。でも視点を変えてみるとそれは典型的な「やりがい搾取」ではないでしょうか。やはりすばらしい作品を後世にも残るアートとして作り上げていくためにはそれ相応の報酬が必要ではないでしょうか。そうしたクリエイターに対する敬意はやはり金銭的な処遇を伴うべきだと考えます。

一方で、制作会社もその作品で不当に大儲けしているわけでもありません。クリエイターのお給料や処遇を引き上げて、その分を制作費として上乗せするならば円盤やグッズが売れないと言う現実があることも事実です。この「賃金引き上げ分を製品に上乗せすることができない」という現実が「デフレ」と呼ばれる経済現象です。最近は、エネルギーや食料品といった輸入品の価格が急上昇していますが、その一方で人手不足なのに賃上げができない現象が生じています。これはデフレ状態そのものです。アベノミクスの第一の矢、異次元の金融緩和については、私も同じ内容を初めて選挙に挑戦した2003年から主張し、参議院議員現職時代には時の政権の幹部や当時は一衆議院議員だった安倍晋三さんに党派を越えて直接提案しました。異次元の金融緩和の目的は、日銀などの官僚の抵抗を排除して強力な金融政策を実現することによってデフレを退治し、賃上げや価格転嫁ができるようにして経済を活性化することです。ですから過去のコミケの参加も「デフレ脱却戦記」という名称の評論本(アマゾンでお求めいただけます)で参加してきました。デフレを退治して一人一人が豊かに暮らせる日本を作って行きたい。もちろんエンターテインメントをはじめとした表現の自由を守っていける日本を作っていきたいとの思いでこれからも政治活動を続けていきます。どうかこれからもご支援よろしくお願いします。


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