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Books:日本企業の勝算


開始:2020/6/30
読了:2020/7/8

今までの日本の産業構造を見つめなおし、これから世界という舞台で戦っていくうえで日本が何をすべきなのかをデータをベースに記載されている。
周りの危機が揃っていなかった時代、日本の労働力は世界で注目が集まるものであった。しかし、世界は時間と共に設備・機器・IcTという手法を使っていきながら生産性を上げてきた。そこに乗り遅れてしまったのが日本である。
労働力=稼ぐ力であった時代、国力は労働者数のみで定義された。結果として、とにかく雇用の場が求められ、企業数こそが成長の原動力であった。日本の政策自体も中所企業優遇のものであった。
しかし、今は違う。世界と戦うためには、今活用できるものを活用し生産性を上げていくことが求められる。しかし、企業数ばかりを増やしてしまった日本は構造的に非効率の極みになってしまった。中小企業が多い為に規模の経済が働かず、また、レベルの経営者が増えてしまったために本来あるべき方向性に進もうにも進めない。それが日本の現状である。
これから、日本は人口減少の時代に入る。今まで通りでは世界と戦う力は
さらに弱まっていく。今こそ構造から見直していくべきなのだ。

第一章「実力はあるのに結果が出せない日本企業」

□日本企業はGDPでは世界5位だが、生産性では世界28位である。
□労働生産性が一定であれば、労働者人口が増えれば生産性は向上する。
 ・第二次安部内閣が実践してきた生産性向上施策はこれであり、つまり、今まで労働してこなかった層を労働者に入れることである。それが、女性活用であり、シニア層の活躍である。
□日本の生産性向上にも限界が来ている。それは、もう女性の社会進出は当たり前になり、さらに人口減少の流れが来ているためである。
□これからは本当の生産性向上に取り組むことが求められる。生産性のポイントは3つある。
  1)人的資産の生産性 ⇒人や時間で測れるもの
  2)物的資本の生産性 ⇒資本金を使う投資に対するもの
  3)全要素生産性   ⇒上記にカテゴライズされないもの
□全要素生産性を左右するのは経営者のレベルである

第二章「沈みゆく先進国」の企業には共通の課題がある

□大前提として、大規模の経営者ほど経営者のレベルは高い。
 ・大学以降の教育レベルが低い
 ・低レベルの経営者生まれる
 ・中小企業が増える
 ・生産性が低い

第三章 日本企業の生産性が低いのは、規模が小さいからだ

□結論、日本企業の生産性の低さは大企業の構成比の低さにある
 ・事実、大企業の生産性は小規模クラスの企業のほぼ倍になる

第四章 中小企業を守る政策が日本企業の首を絞めている

□日本企業の上場平均社員数はアメリカの45.3%
□EUでは全企業の93%が従業員数10名未満に対し、アメリカの場合は50%
□日本の生産性が低い原因は業種の構成比に問題があるのでも、サービス業の生産性が低いわけでもなく、規模の小さい企業が多く、また、そこで働く人の人数が多いことが挙げられる
□日本において中小企業が多いのは、伝統的なものではない。
 ・理由は1963年の中小企業基本法(別名「中小企業救済法」)
□結論、中小企業の優遇対象が問題であった
 ・製造業は300名未満、ほかは100名、50名未満。
  ⇒製造業の方が生産性が高い裏打ちにもある

第五章「低すぎる最低賃金」が企業の競争を歪めている

□日本は優秀な人材を安く雇用することができる国である。
 ・これは能力測定と賃金の相対値を他国と比較した際に明確である
□「雇用側が強く労働者が弱い」という関係性に目を向けるべき
 ・日本は労働者側が強いと思いがちだが、その逆
 ・生み出す利益よりも賃金が高ければ解雇するというのは当たり前
 ・最低賃金が上がらないという事はこの関係が存在しているため
□最低賃金を上げるても、その分だけ生産性を上げれば問題ない
 ・逆に問題なのはそれで生産性を上げられない事業であるという事実
□「雇用側が強く労働者が弱い」を脱却する本当の方法
 ・労働組合を強くする(そもそも定義が曖昧)
 ・最低賃金を上げる
 ・労働者のスキルを上げ、それを賃金に反映させる
□「雇用側が強く労働者が弱い」を脱却する為の最低賃金アップの影響
 ・生産性の低い企業の企業ができなくなる
 ・既存企業の刺激
 ・生産性の低い企業から高い企業への転職が促される
□「雇用側が強く労働者が弱い」を放置すると新しい市場も生まれない
 ・このままでよいかの流れからAI領域も後手を取る
□非効率的な産業構造の特徴である日本(効率良いはこれの逆)
 ・中小企業の定義が小さい
 ・中小企業の優遇が厚い
 ・中小企業以外への厳しい規制
 ・最低賃金が安い

第六章 「経営者の質が低い」のは制度の弊害だ

□経営者のレベルと従業員規模は比例関係にある
 ・経営者の力量を定量化する取り組みと企業の生産性は相関関係
 ・中小企業が多い=質が低い経緯者が多い
□経営者でいるのか従業員でいるのか、その差異は賃金にある
□経営者としての力量は後天的であり学べるものである
 ・インドでのコンサルティングの事例
□生産性を上げるためのツールも経営者次第で生き死にが決まる
 ・生産性を上げる為のIcTも熱量と経営者の質によって定着する
 ・IcT技術はあるのに生かされていない日本の摩訶不思議

第七章 人口減少で「企業の優遇政策」は激変する

□働き方改革は生産性向上の根本的な改善策ではない
 ・日本国内の生産性が向上しないことに対する対症療法でしかない
 ・労働人口を増やす目的から労働の在り方を変えるというアプローチ
□本質的な課題は日本国内の産業構造であり中小企業が多いという事である
 ・一人当たりの労働負荷が上がるから、欠員が許されない
 ・そういった考え方が労働人口を増やせない根本的な課題
□「中小企業だから優遇する」は「中小企業から成長するな」と同義
□中小企業を減らし、生産性を向上させる為の本質的なアプローチ
 ・中小企業の人数定義を増やすこと
 ・大企業化こそを促すこと

第八章「人口減少時代の日本企業の勝算」

□これから人口が減少していく中で、求められるのは生産性の向上である
□日本は生産性が上がりにくい風土がある
 ・雇用を維持することを目的として中小企業優遇政策がある
 ・最低賃金が上がらない 安い人を使う事が常態化している
 ・生産性を挙げたくても規模から上げることに上限がある
□本当に支援をすべきなのは中所企業ではなく中堅企業である
□レベルの低い経営者が多いという事実も課題
 ・会社の数そのものを減らして経営者の全体レベルを上げることが必要

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