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選社基準|本音と建前のお話

1.はじめに

こんにちは。山口です。今回は、面接に於ける、本音と建前について私の考えるところをお伝えしたいと思います。

面接時、面接官に求められるのは「見極め」と「動機付け」であると、一般的には良く言われます。端的に言えば「見極め」とは、ペルソナに合致するか、「動機付け」とは、資質ある人財の離脱を防ぐため、企業の魅力を伝え、引き付け、口説くことです。

順番が前後しますが、「動機付け」に重要なのは、面接官の「魅力」であると考えます。魅力ある面接官がフロントに立たなければ、応募者の離脱を防ぐことは難しいでしょう。実際、面接官の印象が左右し、内定辞退を量産してしまうことはよくある話です。

では、次に「見極め」について、重要なことは何でしょうか。この点を考察することが、今回の記事に於けるメインテーマとなります。

2.面接に於ける「見極め」について

現職で企業HRの方であれば、誰しもが慎重に考え、また、一度は悩まれたテーマではないでしょうか。もちろん私も同様です。自信を持って採用した方が、いざ配置された後、現場サイドに於けるミスマッチが原因で早期退職になったことは過去に何度も経験しています。職場でこの話を耳にするたび、胃を痛めておりました。

ある時、某ネットニュースの記事で、DMM.com 創業者・亀山会長の記事を読み、大変救われた記憶があります。亀山会長曰く「面接にどれだけの工程、時間を費やそうが、応募者の本音や資質を完全に見極めることは出来ません」とのことでした。亀山会長といえば、人事職に分厚いキャリア背景をお持ちのビジネスパーソンです。その方が、難しいと仰っているのならば、私が簡単に解を求められなくとも至極当然の話です。つまり、そもそもが「見極め」には、絶対解は存在しないと開き直りましょう。

と、ここで「なーんだ、そっか。スッキリしたー♪」で結論付けてしまっては、HRとしての資質を疑われてしまいますw採否を決める立場として、これではあまりに無策です。では、私が実践している一つの手法を例示したいと思います。

例えば、面接時に於ける頻出質問の一つに「志望動機」があります。あなたが応募者に対し志望動機を質問した際、下記のような回答があったとき、あなたはどのように採否判断を下すでしょうか。

・「御社の企業理念に共感し…」

・「社会に貢献できる仕事であると考え…」

・「自己成長できる環境を求め…」

いかがでしょうか。私の答えは「どれも信用できない」ですw正確に言えば、「真実(本音)なのか、嘘(建前)なのか」判断に迷ってしまいます。もちろん嘘偽りなく、正直に、素直に回答してくださる方がいるのはわかります。しかし、本当に全ての方が企業理念、社会貢献、自己成長のみで、これから勤める会社を選べるのでしょうか。大変うがったフィルターであることは、重々承知しておりますが、やはり、「お金」、「勤務地が近い」、「会社のブランド」、「第一志望に落ちた」など、本当は自分にとってのメリットを考慮し、生々しい本音が隠されているように思えてなりません。

重複になりますが、これは決して本音の回答を否定しているわけではありません。問題の焦点は、面接官が判断に迷ってしまう点についてです。そこで、私の場合は、志望動機の他に下記の質問を併せて質問することにしています。

3.選社基準|本音と建前

Q :「選社基準を教えてください」

実際の質問の仕方としては、「給与も高い、勤務地も近い、福利厚生もたくさんあり、会社の知名度もある。全てを兼ね揃えたパーフェクト会社を見つけることは難しいのではないでしょうか。その中でも、あなたが会社を選ぶ際、これは絶対に外せないと思うポイント(基準)を何でも結構ですので教えてください」

【 解 説 】

①はじめに、給与、勤務地、福利厚生、ブランドなど、こちらから本音になり得るであろう選択肢(カード)を事前に提示してしまいます。自分の本音のカードを並べられてしまうと、ついつい合致するカードを引いてしまうのが人間の心理です。

②また、仮に提示されたカードの中に、自分の本音が含まれていない場合、提示されたカード以外で、自分の手札の中から、本音のカードを見せてくれるはずです。

③更に、志望動機ではなく、会社選びのポイントと、言葉を言い換えている点にも工夫があります。応募した会社の良いところではなく、世の中に無数にある会社の中から、何を基準に会社を選ぶのかを問われれば、より深い答えを出さなければ、会社選別の理由にはなりません(例 社会に貢献している会社は世の中にたくさんある)。

④最後に、「志望動機の回答」と「選社基準の回答」を見比べ、二つの回答に乖離がないかを検討すれば、「本音と建前の見極め」は完了です。

ここまで記事をお読みいただいた方の中には、「腹黒いHRやなー!」と、一歩、二歩引かれた方もいらっしゃるかもしれませんwしかし、ご理解いただきたいことは、「見極め」とは本当に困難であるといういことです。だからこそ、面接を担当するHRは、見極めに迷ってしまう質問をするのではなく、「なるべく嘘をつけない質問」を事前に用意しておくことが大切なのです。

4.おわりに

最後に、本記事はHR側の視点に立った内容が多く含まれていますが、この視点は、きっと応募者の方にも参考になる点が多いのではないかと考えています。面接とは「歩み寄り」の場です。取り繕った、その場しのぎの回答を用意するのではなく、自分の本音を真剣に見つめて、追求し、是非、面接官にお伝えください。洗練された言葉は、きっと人の心に響くはずです。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。コメントお待ちしております。

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