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心理学を学びたいと思っている学生へ

この時期の高校3年生はもう進路はとりあえずの方向性が決まり受験なり就職なりしていると思う。
なかには特に決めずに卒業をむかえる人もいると思う。おそらく、時期が来ていないだけなのでそんなに焦らなくてもいいと考える。
高校2年生以降はもしかしたら進路をぼんやり考え始めているかもしれない。
今回はそんな人の中に心理学を学びたいと思った人に対して耳よりの情報を伝えられたらと思っている。

カウンセラー志望の人へ

先に言ってしまうと心理カウンセラーっぽい心理学は大きな領域のあくまで一部。なので、学校で思ってたものと違う話を聞くことになる。それは正直なところ我慢して聞いて欲しい。確実に言えるのは知っていて損はないし、いずれ役立つことは確実である。
願わくは「全然興味なかったけど面白い」と感じるような体験になってくれたらと思う。

そして、心理学をカウンセラー経由で知った人が興味を持つのは臨床心理学だと推測する。これも内容が多岐にわたるので結局のところ自分に合う合わないは生まれてくる。

ただ、この時の感性と教える先生の熱量は重要で、もし、順調に心理カウンセラーとなった場合にはこの時の体験があなたの若手の頃の武器になる。

コスパを求めてる人へ

ここまでは高校生には少し先の話だと思う。進路を決定する上で役立つ情報として伝えるとしたら、まずは稼ぎの問題だと思う。
これに関してハッキリ言えるのはネットの情報はそこそこ合っているし間違っている。

良く言われるのは資格を取るためのコストに対して収入が良くないという話だが、これに関しては確かにそうかもしれない。ただ、どこの業界でも同じだが稼げる人はめっちゃ稼ぐ。ちなみに平均値を超えて稼いでいるからと言ってその心理カウンセラーが悪どい手段を取っているとかでは決してない。シンプルに人気がある人はいる。

勿論、そういうのは一部の例外と考えたとしてもやはり働き方次第なのではと思う。
あえていうとしたら資格のコスパは良い方ではないとは思う。

  • 就職するまでのコスト(勉強量や学費、時間など)

  • 就職してからのパフォーマンス(稼ぎや労働時間、働きやすさ)

この二つを考えて、単にコスパが良い仕事につきたいと考えるならネットで探せば色々と書いてあり、そのなかで自分が興味を向いたものを選択して欲しい。

また、心理学を勉強して営業や接客業等のビジネスに応用したいと考える人もいると思う。それに関しては素直にビジネスのノウハウを学べるところへ行くことをオススメする。
なぜなら、売れているビジネス書を何冊か読めば分かるが使える心理学のノウハウは既にビジネス業界に輸出されており、ビジネスの世界でしっかり熟成されている。なので、わざわざ心理学を学んでビジネスの世界に行くよりかはそちらの世界で始めから学ぶことの方がコスパが良いと推測する。
その上で最新の心理学を学びたいと思える人は大変素晴らしいと尊敬する。ただ、何を学ぶかを選ぶにしてもやはりビジネスの世界に身を置く必要があるのではと感じる。

高校卒業後に心理学に触れたい人へ

ここまで、地味に逆プロモーションになって心理学を学ぶのはよした方がいいみたいな風に読めたかもしれない。
私としては求めているものが就職前後のコスパやビジネスへの応用を考えているなら、個人的にさらにコスパや学びやすい場所があると考えているので伝えさせていただいた。
なので、心理学への進路を止める気はない。むしろ、ここからは心理学への道を純粋に考えている人向けに話が出来ると考えている。

心理学を大学で学びたいと思った時、大学選びで目を通して欲しいのは「臨床心理士」や「公認心理師」の大学院に繋がっている、資格が取れるかどうかである。
これは臨床心理士や公認心理師が良い資格と言っているわけではなく、それを取れるということは心理学を学べる環境がしっかり整っていますよというひとつの指標になる。
あとは、受験方法や自分のレベルや通いやすさ、大学の雰囲気などから考えるという一般的な選び方と変わらない。色々と調べてみてあなたが気に入ったものを探してもらえたらと思う。

もし、大学ではなく専門学校で心理学で学ぶとしたら得られる資格と就職先に注目して欲しい。
専門学校というのは基本的には仕事につくためのスキルや知識を学ぶ場所だと考えられる。なので、学ぶ心理学もおそらく対人援助に必要なものを中心になり、そのエッセンスを使って仕事で活躍をすることを期待されている。
そこで専門学校選びの話になると、直接的な心理相談というより、保育や看護、福祉、介護、医療などのような対人援助に関わる仕事を中心になっている。まずはあなたがどの対人援助職に興味があり目指すかが明確になれば選びやすくなると思う。

向いている向いていないの不安

ここまでは学ぶ先の選び方を紹介させてもらった。大学か専門学校、就きたい職業のイメージがぼんやりと思い浮かべられたら現実的な条件とオープンキャンパスなどの情報収集、家族や教師との話し合いで自ずととりあえずの目標が見えてくると思う。

ただ、繊細な人は心理学を学びカウンセラーになることに躊躇が生まれるのではとイメージする。特別に繊細でなくても10代は色々と将来に不安を感じるかもしれないので、そこに対して私なりの考えを伝えたい。

躊躇する一つの理由に「私は向いていないのではないか」という不安があるかもしれない。
これに関しては明確な答えはないが、おそらくこの疑問を思い浮かべると言うことは自身に人を支援する能力に欠けているかもしれないという思いからだと考える。
結論を言うと、その不安は正しい不安であり、その不安を原動力にして専門的な知識やスキル学ぶ姿勢を作るのが王道だと考えている。
勿論、いつも頑張ることは出来ないのは承知しているし、そんなことを言うつもりはない。
加えて、可能な限り自分に心理学を学ぶ才能やカウンセラーの資質が高くあり、労力をかけるコストが少なく多くの成果をあげることを期待したい気持ちも想像できる。
だからこそ、自分が進む道が“向いている”ものであることを願うのも当然の思いと考える。なので、不安だからこそ学ぼうという考えは見当違いな励ましにもなると思う。
ただ、才能があるかどうかは自身でわかるものではなく他人の評価から生まれるやすいものだと考えているので、自分で才能があるかどうかを考えるのは意地の悪い言い方だが、少々時間を無駄にしているように思う。

ひとつ励ましを言うとしたら、心理学に興味をもち独力でネットや書店で情報収集をして自身のなかで心理学の理解を深めることができ、さらに先の興味を持ったりスキルを磨きたいと考えられるのは素晴らしく“向いている”証拠だと思う。
安心して心理学を学ぶと良いのではないかと考える。

オススメの心理学の領域とは

コスパ、選び方、向いているかどうかの話題の次に興味が出てきそうなのは、どのような心理学を学ぶのが良いかどうかということを予想する。
これに関して学生時代は図らずとも薄く広くになりやすいので、その中から興味のある分野を見つけてゼミに入るのが一般的であり、それが一番良いのだろうと思う。また、就職まで見据えるならメジャーな心理検査の使い方を知ることも少しだけ有利に働くこともある。
また、心理療法としては大きく2つに分けて力動系と認知行動療法系の療法があるが、これに関しては学校による。
最近は認知行動療法系が多いと思われるが、昔から心理学の看板を掲げている大学は力動系が強い。
結局はどちらのエッセンスを知識としては習得しておいて損はないが、新人が現場に出て使いやすいのは認知行動療法ではないかと感じているので、専門の先生がいるならしっかり学びに行くと良いかもしれない。
勿論、精神分析や、分析心理学、来談者中心療法が劣っている訳ではない。おそらく、カウンセラーとしての姿勢や作法に関しては力動系からの方がわかりやすいと感じている。
特にロジャースの来談者中心療法を頭にいれておくことは初心者にとっては重要なことであるし、精神分析の防衛機制も知っていると状況把握に役立つ。
ただ、初心者がいきなり色んな療法を組み合わせてカウンセリングにあたるより、一つの療法から取り組む方がカウンセリングの出来不出来がわかりやすく、先生からの指示も受けやすいと考えている。

もしも学びたい心理学じゃなかったら

この可能性に関しては大学の場合だと転編入などの大学をかわるというコストのかかる手段もあるのだが、現実的ではないかもしれない。
臨床心理士や公認心理師の資格も考えているならば、大学院進学の際に学びたいものが学べる大学院を探すことも出来るだろう。
おそらく、高校時代より情報収集力や選別する力も上がっているだろう。なので、ある程度は的確なところを選べると予想される。
その際は大学のゼミの先生にも色々と聞いていると良いかもしれない。
大学院進学を考えていない場合は、大学を変わったりやめる前に学びたい心理学の本から著者の略歴などをみて何をしている人かや研究分野を見ることをオススメする。
もし、大学の先生なら連絡を取れる可能性もあり、自身が学生の身分なら別の大学でも話を聴けるかもしれない。
勿論、なにもなしに話を聞きに行くのは失礼かもしれないので自分なりの疑問などを考えていくことは大切である。
その上で、その分野を学ぶにはどうしたら良いのかを尋ねると何かしらのヒントはもらえる。
要は何かを学ぶということに関して、大学生という立場は意外と役に立つし、大学の名前は個人で動く分にはあまり影響が少ない。
まず問われる資質はシンプルな知識量と情熱である。大学を変わるかどうかはその後で良いだろう。
ただ、就職や大学院入試を考えるとなると簡単には言えないが、コストをかけた分のものが返ってくるかと言われると疑問がある。
その場合は大学院入試にエネルギーを注ぐのが王道のように思う。

学びは多い学問と思っている

最後に心理学を学ぶとなったら、どうしても資格とセットと考えやすい。カウンセラー志望の方はそれで良い。個人的にはカウンセラーになるつもりがなくても心理学を学びたいと思って進学するのはありだと思っている。
そもそも心理学系の大学に入学して臨床心理士の資格をとるのは多くても3割いくかどうかである。ほとんどが一般企業就職や教師を含む公務員になっている。
就職においてコミュニケーション能力が重点を置かれて長い、それは一時期はただのノリの良さと勘違いされたこともあったが、しっかりとしたコミュニケーション能力を求められるようになるとノリの良さだけでは太刀打ち出来ない。
その時に心理学のなかにあるエッセンスは役に立つと感じている。精神分析の防衛機制も行動心理学の条件付けも知っていると大いに役立つ。
心理学とは日々の人間の営みを一つ一つ抽出し分類、抽象化し普遍性を持たせたものであると考えている。
そうして人の生活の見えざる部分を見えるようにして世界を広げていく。だからこそ心理学はカウンセラー志望だけではなく、日常の人の営みに興味関心がある全ての人に学んで欲しい学問である。

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