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32/100 『論理と感性は相反しない』山崎ナオコーラ



西加奈子さんの『まにまに』で
紹介されていて気になってポチった本。

表紙が印象的で とても惹かれた。

山崎ナオコーラさんの
『人のセックスを笑うな』の映画は拝見したんですが(松山ケンイチがメチャメチャ可愛かった♡)
小説を読むのは初めて。

このナオコーラという名前
コーラが好きだから付けたペンネームだそう。
レゲエパンチというお酒が好きだったからTwitter名をレゲパンにしていた私は
一気に親近感を覚えた。
(今だったら ジンジャーハイボールになっていたと思う)
そして 私はコーラが好きだ。
だから更に親近感が湧いた。
(そんなナオコーラさんは この名前にしたことを今は後悔しているらしい)

これはナオコーラさん本人の叫びなのでは?と思う文章が出てきて 心をグッと掴まれる。
その後も 話に出てくる作家の女性は
自身を描いているのだろうかと思うエピソードが興味深かった。

そして

「文章以外のことはどうでも良かった。すると 人情をなおざりにしてしまう。つい優しさを忘れてしまう。」

という一節に昔の自分が重なった。
私は昔 テレビのリサーチの仕事をしていた。
主な仕事は テレビの企画に合った
素人を探すこと。
例えば 大家族の番組なら大家族を
探し 出演交渉をする。
しかも 大家族であるだけでは
ダメでトラブルやらイベントやら何かしら起きそうな(起こせそうな)大家族を
探さなくてはならない。
そのためには 家族全員から
根掘り葉掘りと何かテレビ映えしそうな話はないかを聞き出す。
それを無理やりにでも成立させ
企画書を仕上げ 会社の会議でプレゼンする。
正直 その企画が通ろうが通るまいが
どっちでも良かった。
決められた期限までに企画書を仕上げられさえすればそれで良かった。

わかりやすく大家族を例にあげたが
他にもいろいろな企画で 常にテレビに出演してくれる素人を探していた。
雪降る渋谷で声をかけ続け
寒さに意識が朦朧とし
「あ 私 死ぬかも」
と思ったこともあった。
毎日終電まで働き 自分に与えられた
ノルマが終わらなければ休みはない。
(20年前の 働き方改革クソ喰らえ時代の話←そもそもそんな言葉もなかった)

いつしか私は 友人や知り合う人すべてを「使える・使えない」で判断するようになっていた。
それで失った友人も少なくない。

あの時のことがよみがえった。
全然違う話なんだけど なんか思い出した。

あぁ いつもの事ながら私の感想文は
感想文ではないな…。

小説はもちろん面白いのだけど
あとがきが こんなに魅力的な人を
私は初めて見た。
とかいうと すんごい本読む人みたいになっちゃって
私はすんごく本読む人でもないし
全然読まない人でもないっていう
中途半端なところにいる人間で
アレなんだけども…。

西さんの『まにまに』では
この山崎ナオコーラさんの作品を
「私は愛していて それは自由だからだ。自由を輝かせるセンスが 爆発しているからだ。」
と書かれている。
そして 読んでわかった
この表現の的確さ。

お二方ともやはりすごい!
←「すごい」で片付ける
私の語彙力のなさが光る。
私も サラッとセンスのいいフレーズ
出せる人になりたい。

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