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"家族になるということ"

昔、勤めていた会社の同期が結婚式を
するというので6~7年ぶりに連絡があった。

近況報告も兼ねて
身の上話に花が咲いた。
懐かしかった。

彼女は異性でありながら
どことなく男性のようなさっぱりした部分と
女性らしい繊細さをあわせ持ち、
芸大卒の天才肌でもあった。
よきも悪きも何でも言い合える同期だった。

当時のように特に隠し事をすることもなく
些細なことから離婚から再婚したという
一般的にはナイーブな報告もした。

彼女も相手が女性であるということを
報告してくれた。「クラブで引っ掛けた」という
なんとも男前なエピソードだ。

二人で花嫁衣装を来て、同期であった彼女が
バージンロードの先で待つ姿は
正直なんとも形容し難い光景に映った。

彼女はわたしに言った。
「正式な形で籍を入れ家族になるという自由を
羨ましく、身勝手だ。」

もちろん別れるがために
籍を入れたわけではないし、
わたしにも理由があるのだ。
しかしながら"籍を入れ家族になれない"という
葛藤が目の前に立ちはだかったことが
なかった。

愛する相手が同性であったが故に
家族になれない。
わたしは言葉にならなかった。
世の中にはまだまだ知らない葛藤や矛盾が
混在する。遠い存在ではないのだ。

「幸せ?」
「は?もちろん。」

わたしが知っている彼女とは別人のように
大きく成長していることに驚いた。

もちろん当日、結婚式中のふたりは
笑顔で一杯の式典となった。

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