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わたしだけのネット会議

ぐるぐるまわるまわる。
天と地がわからなくなる。
右も左もわからない。

わたしは目が回っている。
ネットを通じても目はまわり、
少々吐き気を催すのだ。

わたしはネット会議に参加している。
ネット会議と言っても "わたしだけ"
パソコンを通じて参加しているのだ。

新型コロナの影響で本社へ足を運ぶことが
できずやむなくネットを通じて参加する
運びとなった。

本社の人間たちはネットの世界から覗く、
顔見知りの人物を丸椅子に乗せて
回しているのだ。

遊んでいるわけではない。
ついでに遊ばれてはいるが
パソコン越しだと会議の内容がまるっきり
入ってこないため丸椅子に乗せられ
ソーシャルディスタンスをとった
報告をする人物のもとへと
むかっているのだ。

スピーカーの前で話をしてもらうことで
解消されそうなものだが
そうではない。

近すぎると音は飛び、
少し遠ざかると何割か聞こえなくなるのだ。

わたし以外は距離をとった状態で
リアルタイムなタイミングで討論が
繰り広げられるわけだが話に参加することは
難しく、そういった会話は
ほぼ聞こえないことになる。

"まさに話にならない"

初回は諦めた。
書記を担当しているものから
議事録をもらい二時間の会議の内容を
はじめて聞いたかのように読み直すのだ。

翌月、改善を申し出、
全員パソコン越しでの参加を試みた。
ネット会議をネット会議として
行うことで改善を試みたというわけだ。

やはり問題は起きた。
実際、近くにいる東京の連中は
直接会話を繰り広げるのだ。
代表のパソコンから専務の声がはいり
専務のパソコンから代表の声という
混線が起きる。

パソコンからの音声のみが便りな
わたしにとって
ストレスでしかない。

挙げ句の果てにどこからともなく
ハウリングをお越し、
耳はバカになる。

またしても
"話にならない"

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